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第1回
メバル用にしては短すぎ!?
ショートロッドがいい理由
自由と満足

月下美人エアAGS68L-Tのブランクをたとえるなら、さしずめしなやかな筋肉だ

ユーザーには好きな道具を選べる自由がある。理想は、惚れ込む道具に出会えること。満足できる道具を手にすることだ。

メバルハンターとして知られるりんたここと岩崎林太郎さんは、釣り場の地形やシチュエーションに応じてさまざまなロッドを使う。目的はもちろん、メバルを釣るためだ。

従ってロングロッドも使いこなせる。だが、自身のスタイルから誕生したのは6ft8inのロッドだった。

新スタンダード

これが、りんたここと岩崎さんが監修したメバルロッド月下美人エアAGS68L-T。リールはバリスティックLT2000SS-P、ラインはPE0.2号、リーダーはフロロ6Lbを40cm強

6ft8inという長さはアジングではスタンダードになったが、メバルロッドでは短めといえ、言い方を変えると〝新しいレングス〟となる。

りんたこさんによると「メバルロッドの長さは74ULソリッド、78LS、83~86MLあたりで構成されることが多く、せっかくロッドを監修させてもらえる機会を与えられたのだから、この流れに新しさを吹き込みたかった」ようでもある。

ヘビーユース上等

当然、長さや調子といったロッドの個性にはアングラーのスタイルが投影される。

りんたこさんのスタイルは、まず釣行回数が多い。短時間しか割けなくてもちょこちょことフットワーク軽く動く。行き先は、堤防、河口、地磯、ゴロタやサーフとそれに続くガレ場、道路脇にある小磯、自身が所有する遊漁船などさまざまだ。そうした選択肢から潮回り(月齢)や干満時刻、日の出や日没といったタイミングを重ね合わせて決める。

「6ft8inという長さは、数値から受けるイメージ以上に多くのロケーションをカバーしてくれる」

その言葉は、りんたこさんが挙げた数々の行き先からも裏打ちされる。

ゴロタやサーフ、地磯はロングロッドの独壇場といったイメージが先行するが、朝夕のマズメというキーファクターを絡めれば、ロングキャストが釣果の明暗を分けることにはならず、むしろ近距離勝負が高効率な場合も少なくない。

現にりんたこさんは、夕マズメのゴロタにおいて近距離から魚を出した。

ゴロタやサーフ、ガレ場でも、浅場にベイトを追い込むタイミングはフィットする

風がある日はサブサーフェスから中層あたりを探ったほうがストライクを取りやすい。その言葉通り、プラグを少し沈めてヒットに持ち込んだ。これはボートでもショアでも同じだ

堤防での使用がベストマッチなのは言うまでもない。6ft8inの取り回しのよさとキャストアキュラシーの高さが活かせるフィールドだ

ロケの最後にサイズはともかく奇跡的にメバルがヒットした

小型ルアーの強み

メバルは小型プラッギングで戯れるように釣れる

アプローチはこうだ。

カケアガリが落ちたくらいの地点にルアーを投入し、そこから浅いほうへルアーをトレース、ポイントをブレークエッジよりも浅いゾーンに絞り、ヒットに持ち込んだ。

これは、日が沈む前に浅場にベイトを追い込んで捕食しているフィッシュイーターを想定してのことだった。小型ルアーが真価を発揮するシチュエーションでもあるだろう。

魚がメッキだったのは高水温期だったためで、近場の釣り場でも季節は巡り、釣れてくる魚の違いは、季節の移ろいを物語っている。

メバルシーズンは例年10月後半~初夏まで。その頃ならば、釣り場は同じでもメッキではなくメバルになった可能性も高い。

言葉よりも早く

テスト中も十分な釣果をたたき出した

りんたこさんが「なによりこの点が重要だと思います」と言って話し始めた部分は特に印象的だった。

りんたこさんは、「可能性を求めてちょこちょこ釣りに出ること自体が楽しい」と言った。

季節を通していろいろな魚と遊ぶほうが自分の釣り生活にリアリティが出る、と。メバル用だからアジには向いてないとか、他魚は釣っちゃいけないとか、そんなことにはならない。季節と釣りを満喫する。取り回しがよい長さはいつもそこに寄り添ってくれる。月下美人エアAGS68L-Tが持つ長さや調子、感度を確かめれば、言葉よりも早く手が理解するはずだ、と。

しなやかな筋肉

ティップ径1.1mm、タイプはチューブラー

メバル、メッキ、アジ、カマス、マゴチ、クロダイ、シーバスなどなど、身近なところに生息する魚の多くが、この月下美人エアAGS68L-Tで遊べてしまう。

九州の大分県に暮らすりんたこさんは、さらにヒラスズキのセイゴやフッコサイズ、ハゼ、カンパチの若魚までが対象だ。

魚が掛かって荷重が乗ると、持って振ったときとはまた異なる「芯の強さ」が顔をのぞかせる。これを使う人は、あたかも「57gのしなやかな筋肉」を手にするわけだ。

先径1.1mmでティップはチューブラー。「昔のようにチューブラーは太いというのはなくなった。なんならもっと細くできるくらいです。そのくらい製竿技術は進歩しているようです」と言っていた。

全体的に張りのある仕上がりながら、適度にティップが入るような設計のため、プラグからジグヘッドまでリグを幅広く扱える。言うまでもなく、プラグも使うしジグヘッドも使うのがりんたこさんのメバリングスタイルだ。

満足度という尺度

キャストは軽く振る感じで瞬発力を活かしたい。特にライトゲームは力を込めてフルキャストしても飛距離は変わらない

バットは意外と軟らかめに設定した。ここを強くしていると「全部が硬いロッドになっていたかも」と開発時を振り返りつつ、「もうひとつ恩恵があって、感度が想定していたよりも磨かれています」と満面の笑みを浮かべた。

釣りをしているだけで気分がよくて、釣ったらもっと充実する。片や、釣ってもどこかもの足りなさが湧いてくる感じ。

この差は、満足できる道具を使っているかどうかでわかれる。

特にロッドはリール以上の選択肢だ。しかし、どんな道具にせよ、目のつけどころは根本的に同じである。スペック、プライス、コストパフォーマンス、そして満足度だ。

りんたこさんが手がけた月下美人エアAGS68L-Tは、満足度の高い1本として、あなたの釣りを充実させてくれるはずだ。

岩崎林太郎Iwasaki Rintaro
メバルハンターとして名を馳せ、特に尺メバルへの造詣が深い。遊漁船ジンベイを操り、佐賀関から大分県南までガイドする船長でもある。大分県在住