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第4回
ぶっとくてジャラジャラうるさい…
非常識なルアーで釣れた。
プラグの奥行き

プラグを使ったメバル釣りは「大から小まで、いろんなサイズが食ってきますよ。不思議と小さくてもプラグだとはしゃいでます」とりんたこさん。

というと小さな個体を相手にするの?

「そ、そうじゃないです(汗)。小さなメバルでも本物のエサだと思ってルアーにアタックしてくる。そのギミックがプラグの最大の持ち味かと」

りんたここと岩崎林太郎さんは、「ジグヘッドはメバルとの真剣勝負」とし、「プラグはしてやったりという達成感の高さ」だと例えた。

メバルの大小を問わず、反応させた時に得られるトリック感覚はプラグ特有のゲーム性だ。ことミノーやサーフェスルアーに強く備わっている。

もちろん大きい個体も釣れる。良型に迫るには、ルアーのハードやソフトとは別に、ふさわしい釣り場選択や時期にフィットしたアプローチのほうが重要だったりするのだ。

反応がある場所と反応しない場所ははっきりしている。粘ったから釣れるという感じでもない。釣れる場所は案外数投でケリがつく

シンキングタイプのプラグを沈めれば、足元のリフト&フォールでも誘える。魚の様子が丸見えなので、それを動画で収めるユーチュバーの顔も持つりんたこさん

想定シチュエーション

りんたこさんは実際にさまざまな状況でプラグを使う。

プラグは「地域限定の特殊なメバルを引き出すためのものではない」のだ。

もっとも、強さが発揮されやすい使用環境はある。

夜の常夜灯周りがそれで、月明かりの夜の磯がそうである。

実績的には夕マヅメに訪れる短時間時合でもヒットするが、りんたこさんの経験では「夜のスペシャリティルアーに位置づけてよいのがプラグ」だ。

漁港内、ゴロタ、地磯、消波ブロック沿いのチェックにはもってこいだ。着水と同時に沈んでしまうリグやルアーと違い、浮くプラグなら水面や水面直下をキープしてくれるので根掛かりロストの心配なくトレースできる。

日が暮れて常夜灯が点灯してからがプラグのプライムタイム。点灯してしばらくしたほうが魚の集まりも反応がよい

常夜灯はプラッギングに大きな意味を持つが、ストラクチャー周りをタイトに通せる磯ならば闇夜でも反応してくる

常夜灯を頼りにする場合は、月明かりがないほうがベターだ。月明かりの下でやるなら磯やゴロタに切り替えると確率を上げられる

常夜灯の明暗の境界をチェックする。沖だけなく堤防沿いの足元の影も要チェックだ

藻はメバルが大好き。これがあるかないかで釣り場のポテンシャルが判断できる。藻は日中の釣りで重要なポイントになる

アフターで炸裂

ただし、ここが重要だが、プラグを使うときは時期を考慮したほうがよい。

メバルのシーズナルなサイクルはこうだ。

シーズン初期はプリスポーン、シーズン中期から後期はスポーニング及びアフターが交錯する。

もちろん、シーズン初期のプリスポーン個体もプラグで釣れるが、よくヒットするのは年が明けてからである場合が多い。

メバルにとって年明け以降は、言わばアフターの時期だ。そして、2月になってもグッドサイズの抱卵個体がいたりして、それがしばしばプラグにヒットする。

誤解を恐れずに言えば、「プラグはアフターにこそハマる!」のだ。そこには「食性が関係している」とりんたこさんは考えている。

メバルからすれば、プラグのボディはその時期によく食べるアミの集合体に見えるのだ。

メバルの表層系プラグが透過性の高いボディに仕上げられているのは、「夜、浅いところを流れるプランクトン系ベイト、それを下から見上げるメバル、周辺の光の存在、周囲にとけ込むシルエットといった、漂うアミをイミテートするのに欠かせない要素が1つのボディに集約できるから」である。

プラグの透過ボディは常夜灯の明かりとのマッチングが抜群によい。表層あるいは表層近くで漂うように流せるひとまとまり、それがプラグだ。

潮流で流されるプラグ。巻くのを止めても実はプラグは動いている。その光跡もメバルを刺激している可能性はある

マズメのライズ。こうした状況はプラグが効きやすい環境と言える

産卵前のシーズン初期に、数少ないチャンスを拾ったりんたこさん

夕方の陽射しに浮かび上がる紅葉。メバルのプラッギング好シーズンは、この紅葉が落葉したあたりだ

スペック

月下美人源五郎Zは36Fと36Sがある。

FはフローティングタイプでSがシンキングモデル。どちらも36mmの中空ボディだ。

内部には重心移動シンカーのほかにガラスラトルが内蔵され、これがジャラジャラとしたサウンドを立てる。音はメバルを遠くから寄せるのに有効だ。

アクションはウォブリングで強い波動を出す。ボディのボリューム感もあってアピールの強いルアーに仕上がっている。

月下美人シリーズの他のルアーとの比較で飛距離を稼げるところもストロングポイントだ。重量はFが2.7g、Sが3.1g。どちらもサクサス#14フックが標準装備されている。

月下美人源五郎Z。黒目がフローティング、赤目がシンキング。カラーは9色

操作法

投げたらただ巻きし、ブルブルを感じ取りながら速度を変化させる。基本はそれだけでよい

月下美人源五郎Zは「FもSもただ巻きに速度変化をつけるのが基本中の基本」だ。

巻くとブルブルと感触が手に伝わってくる。アクション過多と思ったら、巻き速度をゆっくりにしてそのブルブルを落とせばよい。スピードを緩めたときにバイトするのがよくあるパターンだ。

続いてFタイプは巻きからの止めもよい。潜行したボディが浮上して波紋ができるときによくヒットする。小イカパターンのときは5~10秒放置させても効く。

Sは、F以上に飛距離を出せるため、磯やゴロタでの使い勝手がよい。浅くて根が荒いところではただ巻きだけでよいし、流れていれば止めて流すのもよい。

りんたこさんの使用タックル。

ロッド・月下美人エアAGS68L-T
リール・バリスティックLT2000SS-P
ライン・PE0.2号
リーダー・フロロ6Lb/70cm(結束FGノット)
スナップ#00

プラグのバリエーションの意味

プラグは、強みを発揮する状況がそれぞれに違っている。守備範囲がプラグの性格によって変わるのだ。その点ジグヘッドは広いカバー力が強さだ。

りんたこさんは、「プラグのそういう突出した特長って、ハマれば強く効くということなんですね」と言う。「タイプの異なるプラグをいくつか持っておけば、それだけハマるケースが用意できる」のだ。

りんたこさんが釣行時に月下美人源五郎Zとワンセットにしてケースに入れて持ち歩くプラグは、夜霧Z、小次郎、澪示威ソリッドのトータル4種だ。

「この4つのどれかが主役になると、あとの3つはフォロー役になってくれます。プラグはマッチザベイトによって反応の度合いがはっきりと分かれるじゃないですか。だから、実はサーチベイトの効率がいいんです。プラグを使うことでこのベイトを食っているな、というのが洗い出せます。ここがプラグのよいところです。そのあとからワームを投入することで、もう一段階釣果が伸ばせるでしょう」と教えてくれた。

りんたこセレクトの月下美人プラグ。左から夜霧Z、源五郎Z36F、同36S、小次郎、澪示威ソリッド

デイライト下に澪示威ソリッドでキャッチしたメバル。可愛いサイズだが、釣った感は得られるのがプラグの味だ

澪示威ソリッドはジグヘッドと同じように扱えるプラグ。さらに、ジグヘッドでショートバイトで終わるときに使うと掛かるようになるケースが多い。同じくスリムな小次郎はフォール姿勢がよく、エギのようになプラグだ。アクションを入れるとダートし、巻くとスッと動く。ストラクチャー周りのピンポイントで決めたいときに最適

夜間帯にいい手応えの貴重なバイトを逃がしたりんたこさん。マジで悔しがった。藻がある釣り場では、フッキングしたあとに藻に引っ掛かると口に掛かったフックが外れやすいという

源五郎Z36Fでキャッチ。源五郎Zは夜霧Zでカバーできないエリアで使うと効率のよい釣りになる、とりんたこさん。夜霧Zは常夜灯周りの見え個体に強い最終兵器のひとつだ

今回の記事の連動動画を撮影しているときのひと幕。足下まで丁寧にリトリーブすると、ピックアップ寸前で「バシャッ!」と激しくアタック。
上がってきたのは大型のクロメバル!ヒットルアーは源五郎Z36F(クリアグリッター)。
興奮のファイトシーンは、ぜひYouTube『りんたこ』でチェック!

岩崎林太郎Iwasaki Rintaro
メバルハンターとして名を馳せ、特に尺メバルへの造詣が深い。遊漁船ジンベイを操り、佐賀関から大分県南までガイドする船長でもある。大分県在住