ダイワに頼んだら復刻してくれたw
そのスピード。ハリ掛かりしたあとの突進力は、大の大人が無我夢中になる。瀬際の攻防は、ライトゲームという響きとは世界が異なる。そんな印象を抱かせるのが尺メバルだ。ちなみに撮影でもなかなかお目にかかれないサイズである。いや、取材となるとここは確実に出るという場所や状況でも出てこないってのは〝取材あるある〟だが、今回は出た。カメラの目の前でランディングされ、りんたこさんの足元で踊っていた。釣ったそのメバルをりんたこさんがそっとかかげると、その大きさが、よくあるサイズとはかけ離れているのが目に飛び込んできた。
それを獲ったのが月下美人ビームフィッシュ1.8(復刻)というワームである(以下ビームフィッシュ)。これを使えば、尺アップはもう目の前かもしれない。
精悍な面構えをした尺メバル。存在感はもちろん、風格も漂う。メバルの口元にあるのがビームフィッシュ。まさに復刻のあいさつがわりの1匹だ
ビームフィッシュのカラーはレッドグロー、ジグヘッドは月下美人SWライトジグヘッドSS夜光3g
ビームフィッシュには3つの特筆すべき点がある。
1つ目は、一度生産が終了し、今年復刻された点である。
2つ目は、デカメバルいわゆる尺上の捕獲数がスバ抜けて高い実績を誇っている点。
3つ目は、見ての通り1.8inのシャッドテールワームである点だ。
これらの3点は互いに関係し合っている。つまり、三位一体と言い換えてよい。
日中、マズメ、夜間といった時間帯のほか磯や漁港など使用場所選ばずオールマイティに使える煌クリア
向かって左(右手)に持っているのが、りんたこさんローテの一角に入っているカラー。左から煌クリア、グローみかん、玉露クリア。右(左手)に持っているのが使用頻度の高いカラーで、右からイカゴロBK、レッドグロー、桜ドットG
りんたこさん曰く、「うれしいですね~。念願でした。悲願でした。ボクの想いが届いて復刻されましたよ。この喜びをみなさんにわかっていただきたいですね。てか、復刻された喜びもですが、ボク的にはそもそもなぜ一旦生産終了になったのかが謎ですらあるんですが、まあいいです。復刻された理由はただ1つ。このワームはデカメバル、特に30cmオーバーの念願のサイズがよく釣れるからで、ヘビーユーザーだった私はもう作らなくなったというのを聞いて大変驚愕しました。そこで、復刻してくださいと訴え続けていたのであります」
デカメバルを求めて止まない人にとり、ビームフィッシュは〝なくしてはいけないワーム〟であるようだ。
ボディバランス、シルエット、テールの大きさ、素材の硬度、なにもかもがベストバランスで、もう何もしなくてよい!と大絶賛するりんたここと岩崎さんであった
ビームフィッシュがどのくらいデカメバルに効くのか。岩崎さんの経験を踏まえた例えでは、「1000匹尺を釣っているとすれば、500匹はビームフィッシュによるもの。そのくらいの感覚です」という。
尺メバルはビームフィッシュで獲る。岩崎さんは、それがごくごく当たり前になっている。そうでなければ復刻を強く訴えたりしないよね、と妙に納得した。
取材時にお目にかかった尺メバル。産卵前、これからいよいよ本格シーズンというタイミングでりんたこさんがキャッチした
釣行時に持参するワームカラーの構成は、クリア、ソリッド色、中間色の3タイプを押さえるとムラがなくて死角を出しにくい。詳しくは本シリーズ第2回をご覧あれ
どうしてそんなに尺アップの大型メバルに効くのか、りんたこさんと同じようにこのワームを愛している釣友と話し合ったことがあるという。そうしたところ、よくよく考えてみると、どこか1つ突出した要因があるからではないことに気づいた。例えば、「スピンテールのブレードが効いてる、というような感じではない」のだ。
ビームフィッシュをまじまじと見て思うのは、「動き、大きさ、波動など、デカメバルを誘引するのに必要な要素がベストなバランスで備えられているからとしか考えられない」ということだったらしい。
中でも、このシャッドテールが「マジ絶妙」という抜群の仕上がりなのだとか。
シャッドテールといえば強い波動を出してアピール力に富むととらえられる。そのため、スレるのも早いというイメージだ。しかし、ビームフィッシュのシャッドテールは、潮流や巻き抵抗など、ある程度負荷がかかってこないとブルブルと震えないという。弱い流れではあまり動かない。その加減が大型に強くアピールしていると体験的に考えている。
操作法は、主に4パターンで使うのがりんたこ流だ。
まず表層のただ巻き、次にリフト&フォール、シモリが点在するシャローエリアではカーブフォールでストラクチャーにコンタクトし、日中にはワインドも繰り出す。ワインドはテールがほどよくブレーキになってくれ、ワインドからのフォールで食わせの間を作る。
この4手法は別に難しいことはなく、すぐに実践できるので今日にでも取り入れられる。
光量がある時間帯におけるりんたこさんの釣りシーン。注目はロッド角度。ワームの動きが伝わり、なおかつバイトに対して速やかに応じられる角度を保持している
ロッド角度はナイトゲームになっても同じ。この直後に尺メバルがヒットする
今回、りんたこさんが向かったのは地磯。その理由は大型が出る可能性が高いためといういたってシンプルだった。もちろん岩崎さん自身、何度もここに通っており、地形や潮位、危ない風向き、風力など安全面を最優先して釣り場を選んでいる。取材時も明るいうちに釣り場入りした。さらに、大潮の満潮時と重なるタイミングだったため、ルートが水没する箇所は回避した釣行だった。
まず安全を第一にする。これはすべての釣りに言えることだ。
カメラマン「山道のような場所ですね」
りんたこ「山道のようなではなく、山道です(笑)。でも、こう見えて海まですぐですよ」
このへんでも出ますが、向こうで出るかもしれないと思うと勝手に足が動くんですbyりんたこ
シャロー×点在するシモリ×あと1つの要素。その要素とは……次の見出しをご覧あれ
夕マズメを過ぎてナイトゲームに突入。この日は向かい風で、時折波のセットが岩場に打ちつけていた。釣っているときは、潮が上げているのか、下げているのかを意識を強く持って、昼間以上に慎重に行動すること
デカメバルをキャッチするのに覚えておきたい3要素はシャローと点在するシモリ、そして残るあと1つの要素は「時間帯」だった。夕マズメ、朝マズメはメバルの活性が急速に上がりやすく、ちょっと時間が経つと「時合終了」というのがよくある。高活性が続く長さはその日によって異なるが、夕マズメのうちでも、さらに日没直後の30~40分は濃密な時間帯である
まさに尺メバルとのファイトを繰り広げるりんたこさん。風向き、風の強さ、潮位の関係から「こんなにシモリだらけの釣り座でしかできません」と立ち位置を決めていた。普段はもっとアングラーにとって有利な立ち位置で釣っている。有利な立ち位置とは、足場が過度に高くなく、シモリの点在数も控えめなスポットだ。取材時はかなりシモリが多い場所でおこなわざるを得なかった
尺メバルには尺メバルのロッドが必要だ。メバルはハリ掛かりすると根に鋭く突っ込むゆえ、その走りを食い止め、顔をこちらに向けるロッドのパワーが必要だ。そのファイトすべてが釣趣となる。
りんたこさんがこの日使ったタックル。
ロッド・月下美人AIRAGS(メバルモデル)78ML-S・R
リール・バリスティックLT2000SS-P
ライン・PE0.3号
リーダー・フロロ7Lb/70cm(結束FGノット)
スナップなしの直結(できるだけ強度的死角を作りたくないため)
ジグヘッド・月下美人SWライトジグヘッドSS夜光/フックサイズ#6の3.0g
ワーム・月下美人ビームフィッシュ1.8(復刻)レッドグロー
自身が監修した月下美人AIRAGS(メバルモデル)68L-T・Rよりもパワーのあるロッドだ。メバルの重さ、引きの強さ、磯での使用が多くなるなどを考慮した結果だ
リールは軽さと巻き感度、パワーを考慮して、今回はバリスティックLT2000SSを使用。ちなみに前回、前々回も同じだった
今回の撮影は、第2回の撮影時から1ヶ月と10日後だった。その間に海はすっかりメバルシーズンのオンタイムに様変わりしていた。「やっぱりメバルは11月後半ですね」とりんたこさん。
メバルは大きくなるのに年数がかかる魚なので、必要なとき以外は積極的にリリースする。写真は、風と波を勘案し、さらに確実に撮影するために少し高いところからリリースしてもらったもの。普段はもっと低い高さからリリースする。ただし、不意の波やウネリには要注意。ランディングやリリース時が波を被るなどのアクシデントに遭遇しやすい。
撮影時のキャッチは1匹で、バイトは3回あった。ほかの2回はいずれももっとよいサイズだった可能性が高いという。大型メバルの魚影を改めて確認した
今回のメバルのランディングは打ち寄せた波に乗せておこなったが、普段はタモ網を使うのがりんたこさんの流儀。これを持って歩くと「まあまあ存在感のある手荷物になるのは間違いないのだけれど、こいつの出番がきたときの『あってよかった』という安心感は絶大です」とりんたこさんが言うだけあって、備えておくのがベターだ。無論、りんたこさんはマストだと断言する。それってつまり、昔痛い思いをしたからにほかならないのである。
りんたこさんの愛用品は全長3.0mの月下美人ランディングポール30。タモ枠とネットはヒラスズキの成魚もランディングできる大きさを備えていた