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最初にMCに触れた時、まずはその全体的なデザイン、細部の仕上がりに目を奪われた。それは前MCとは完全に別物で、気品さえ漂うその仕上がりは、大いに釣り心をかき立てた。早速ベイトリールをセットしてみると、全体の重心はピタリとフォアグリップ部となり、それはゼロテンション時、極限まで振れの無いロッドティップを約束してくれる。柔軟なティップは、湾フグなどの極微細なアタリも、トップガイドの振幅として目感度に反映、なめらかにつながる粘りのあるベリー(胴中)~バットでフッキングも難なくこなすことができる。
東京湾内のフグのことを釣り師は通称「湾フグ」と呼ぶが、その代表格がショウサイフグだろう。釣り方は外房などとは異なり、概ね浅く潮が緩いエリアでありオモリは10号を基準にそれ以下、エビをエサとして使う。なので摂餌中のフグは居食いし易く、柔らかなエビの尾を、その爪切りのようなクチバシ状の歯でサクッと噛み取って行く。その極小さな挙動となるアタリを、MCのティップは難なく目感度として出してくれるので、後は即アワセ、要はフグをカットウに掛ければ良いのである。
一方東京湾の冬の風物詩でもあるアカメフグは、同サイズではショウサイフグよりも口が大きく、胴中が大きく張り出しフットボールのような体形で、大型はその容姿から別名「ガマガエル」と呼ばれる。口が大きいだけあり、誘い下げの動作中でも、エサを口に入れたり出したりと、ティップをフワフワと揺らすアタリを出す。アタリを感じながら底まで連れて行き、カットウがアカメフグの腹の下にある状態を作り出し、次のアタリで間髪入れずにカットウで掛けに行く。 |
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柔軟なティップに粘りのあるバットを兼ね備えたMCは、湾フグの他、マルイカのゼロテン釣法はもちろんのこと、やはり微妙なアタリのアナゴ、オモリを宙で背負うマゴチ、餌木スミイカ、エビスズキ、浅場でオモリが軽い夏タチウオ、もちろんキスやイシモチ、カサゴなど、ゲームロッドに恥じない守備範囲の広さとポテンシャルの高さを兼ね備えている。 |
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