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熟成するDAIWAベイトフィネス“AIR”質実剛健の系譜、満を持してフル新型へ

実に16年もの長きに渡り、バスフィッシングシーンの第一線で活躍を続けてきたミドルクラスのコアモデル・アルファスが、いよいよ事実上のフルモデルチェンジを果たす。新たなボディフォルムを纏い、内部コンストラクションを刷新したフル新型は“AIR”の称号を戴冠すると共に、最小径φ(ファイ)28mmスプールを搭載。2020年初頭にスタートしたばかりの次世代DAIWAベイトフィネス機のラインナップが急速な展開を見せる。その従来に無いコンセプトは、新たな釣りの楽しみ、そして可能性を提案したいDAIWA開発陣の強い意志の表れとも汲めるだろう。
注目すべきはまず、その中核を成すエンジン部。超小口径のφ(ファイ)28mm、マテリアルは超軽量かつ高剛性を誇るG1ジュラルミンを採用した“AIRスプール”を搭載。これが次世代DAIWAベイトフィネス機の象徴とも言える主要駆動部。先ごろリリースされた上位機種、STEEZ AIR TWと同マテリアルかつ同規格が採用され、自重も同じく6.6gと超軽量な低慣性スプールが積み込まれている。

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「マイルドなセッティング。投げ方を選ばず、存分な飛びを魅せてくれる」

こう語るのはSTEEZ AIR TWの開発プロジェクトにおいて多大なる協力を得たK.T.F.主宰・沢村幸弘氏。実は、同機の開発を煮詰めていく段階で浮上してきた、もうひとつのベイトフィネス機構想、そうアルファスAIR TWは同時進行で温められてきたことは今でこそ語れる事実だ。

STEEZとアルファスは同仕様のAIRスプールを搭載するが、インダクトローター周りは各機専用設計でスプール互換性はない。厳密に言えば組み込むことこそできるが、その場合、本体側マグネットブレーキの規格差異から、キャスト性能をDAIWAは担保していない。仕様が異なる、いや全く別物のエンジン部と認識しておきたい。
それぞれ使用面での差を例えるなら、前者がパーツひとつまで磨き込んだF1マシンの領域に迫るレーシングスペックに対して、後者は常に最高速で走れるオートマチックなトランスミッション。サーキットか公道かの差があるとはいえ、共に今までに無い目が覚めるような優れたパフォーマンスを発揮することは言うまでもない。
果たしてアルファスAIR TWの存在意義とは何か。STEEZ AIR TWとは似て非なるもの。開発コンセプトの出自が、実は大きく異なっている。

大型ドライブギアとフルメタルハウジングバスのみならず、対応フィールドを拡大

「近年ベイトフィネスの優位性はバスフィッシングのみならず、トラウトやソルトでも広く耳目が注がれている。全てのアングラーの要望に応えていくのが我々DAIWAの使命」
DAIWAベイトリールエンジニア野口雅司はこう語る。ひとことで言うならば「アルファスAIR TWはバス専用ではない」という明確なコンセプトが存在している。

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「フル新型となるべき理由があった」

不用意なフルモデルチェンジではない。すべてのコンストラクションに意義があることも明らかになる。
例えば、ドライブギア。優れた飛びの要となったマテリアル・G1ジュラルミンは、巻きを司る要にも採用され、その素材特性をまた際立たせる。超軽量かつ高剛性を発揮するギア素材は、大口径化と比例して巻き取りパワー高めた一方で、大幅な軽量化にも貢献した。
その外寸は先代アルファスAIRのMAXφ(ファイ)31.4mmに対して、AIRはMAXφ(ファイ)37.3mmと18%アップ。重量は12.1gに対して、6.8gとおよそ2分の1にも迫る数字をマーク。DAIWA強度基準を軽々とクリアする存分な耐久性をキープしながら圧倒的な軽量化という、パラドックス的なアドバンテージを得ている。
またパワーアップを図ったドライブギアが組み込まれるフル新型ボディにも刮目したい。表面にビス無しで組み上げたフレーム、そしてギア側とダイヤル側それぞれのセットプレートは、いずれもAL(=アルミニウム)素材を採用して大幅に剛性感を高めたフルメタルハウジングへと昇華している。
加えて、ボディフォルムは、さらなるロープロ化及びコンパクト化を実現。高さで2.4mm、幅は3.4mmとそれぞれダウンサイジングを図り、サムレスト両サイドのブランキングなど先代のイメージを残しながらも、劇的な進化を遂げていることがわかる。

「海水を被るシチュエーションや山岳渓流など、ハードな使用も想定内」

大型ドライブギアとタフなボディ、そしてクラッチやピニオンの固着を防ぐギミックさえも兼ね備えたアルファスAIR TW。淡水のみならずソルトウォーターへの対応力にタフさを持ち合わせたフル新型は、ベイトフィネス機としてはオーバースペックとさえ感じる仕様へと到達している。
バス、ソルト、そしてトラウト。果てはまだ未開の分野へと挑むアングラーの要望も満たすべく完成したアルファスAIR TW。その用途は無限の可能性を秘めている。

フィールドも使い手も選ばない快適性能。いわば、ベイトフィネス・バーサタイル

アルファスAIR TWの優位性は、そのタフなハウジングを始めとした質実剛健なコンストラクションだけに留まらない。各部に最適化された機構が共鳴して、ベイトフィネス専用機としてさらなる高みへと導かれている。
エンジン部となるAIRスプールは、先にも解説した通り、レーシングスペックのSTEEZ AIR TWと遜色ないポテンシャルを発揮。DAIWAと共に開発を手がけた沢村氏の言葉が、それを裏付ける。

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「投げるウェイトは、STEEZ AIRと等しく1g台でも何ら問題がない」

AIRスプールが魅せる高回転性能は、アルファス史上で初搭載となるTWSとのセットアップでキャスタビリティを大幅に向上したことは想像に難くない。放出されたラインは失速することなくスムーズに送り出され、軽量ルアーを軽快かつクイックにピンスポットへとプレゼンテーションすることが可能だ。
ベイトフィネスにおける基軸ウェイトとなる3〜5gクラスのルアーは無論自在。それ以下ですらも難なく扱える。ラインは「適正量を収納」することを前提に、主力のフロロカーボンのみならず、同強度ならより細径となるPEとの相性も良く、さらなるポテンシャルを発揮。キャスティングテストでは先代モデルとの比較で、実に7.5%の飛距離アップを実現することにも成功した。

「ピッチングとフルキャスト、その双方でブレーキを微調整することなく即座に対応できること。それが何よりのDAIWAの強み」

AIRスプールの中枢、AIRブレーキシステムはかつて沢村氏がDAIWAと共に築き上げたストレスフリーな使い心地を実現する画期的な構造。外部調整マグダイヤルを一度セッティングするだけで、キャスト方法を選ばず順応するメカニズムは、いわばエンジン回転数を制御するトランスミッションの役割を果たす。その軽快な飛びは無論、スピニングでは到底及ばない領域の優れた操作性に、Mr.ベイトフィネスは及第点を与えたのだった。
その自重は、先代アルファスAIRを5g下回る160gへと到達。フルメタルハウジングで剛性感を高めながらも、各部のパーツやセッティングの見直しで大幅な軽量化へ繋げたことは特筆だろう。またボディのビス無し構造による滑らかな指当たりと、手にしっかりと収まるコンパクト感はさらに快適なハンドリングを実現することにも繋がっている
ギア比は、厳選された8.6:1の一択。左右同時ラインナップされたハンドルを巻けば、1回転当たり75cmのスピーディーな回収が可能。既存のDAIWAベーシック機が採用するφ(ファイ)(ファイ)34mmスプールの7.1:1ギアとほぼ遜色ない回収力は、ベイトフィネスを次なる戦力に求めて持ち替えるアングラーの手にも即座にアジャストする。
いわば、ベイトフィネス・バーサタイル。真の意味で多才なモデルがここにある。
撃ちと巻きを隔てず網羅できるオールマイティなギア比は、各部の質実剛健なコンストラクションと共に真価を発揮。バスフィッシングで最新性能を享受するのもいい。はたまたカテゴリーを限定せず、旬のターゲットを常に追い続けるマルチパーパスなアングラーの愛機にもなり得る。1台ですべてのフィネスフィッシングに対応できるアルファスAIR TW。次世代DAIWAベイトフィネス機が切り拓く新たな世界は、すぐそこにある。