コンセプト1 ストレスフリーなルアー操作性
ショアジギング・プラッギングにおいて重要なことは、数少ないバイトチャンスをものにするために、ルアーを常に操作し続けていることだ。ロックショアの主戦場となるのは潮当たりのよい磯。操るのは100gを超える大型プラグやジグ。これらのルアーを時にシャープな、時にマイルドな入力を入れて、潮を感じ、魚を誘う。ミスアクションは一瞬で見切られる。体力と神経を使うこの操作は楽なことではない。あらゆるフィールドであらゆるルアーを使い、ティップの素材やテーパーを様々な観点から細かく突き詰め、荷重移動の滑らかなテーパーと、絶妙な反発を突き詰めた。これにより、ルアーの操作性が大きく向上。最適な反発力によってロッドがルアーに最適な水押しをするためプラグにおいては、「ヌメヌメ」と泳ぐ新領域の感覚に到達した。さらにミスダイブが大幅に減少。従来品よりもロッドをサビく幅が減少し、より楽にプラグを引くことができるようになった。ジグ専用ロッドにおいては、より手前側まで荷重が入り込むので、シャクり心地がより軽快になっている。また、穂先の調子をプラグロッドと変えることで、ジグの泳ぎを適度に抑え、青物が素直に口を使うアクションの入力をサポートする。
ジグに特化した910H-3 とプラグをメインにしたオールラウンドモデル100H-3の比較。100H-3は、プラグが水をしっかりとまとうようにするため穂先はしなやか。一方、ベリーから穂持ちまでの張り強くすることで、プラグを正確なストロークで引けるテーパー設計となっている。
ジグスペシャルの910H-3は荷重がベリーに入ってくるので、ジグのシャクリ心地が軽いのが特徴。水流の早い釣り場、水深の深い所でのバイトを想定し、ファイト時のベンドもやや胴調子に振ることでロッドをノサれず、タメきれるようになっている。また、穂先にあえてテーパーが寝ているセクションを作ることで、ジグの余計なアクションを抑え、ナチュラルなルアースイムを実現する。
コンセプト2 圧倒的なファイト性能
DRAGGERの開発にあたり、ショアジギングロッドのパワーランクの大幅な見直しを実施した。ただし、上級者の選ばれし者が扱うロックショアロッド「BREAKTHROUGH」において、魚とのファイトはまさに死闘。極限ファイトのなかで大型魚をコントロールするためには、最後の砦となる強靭なバットパワーを要する。「BREAKTHROUGH」は元節を太径にすることで、さらなるロッドパワーを確保した。これにより、暴力的なファーストランを強引に止める、根際での主導権の獲得、スムーズな抜き上げを実現。鋼の肉体を持つ選ばれしロックショアマンに相応しい、大物にも主導権を与えないロッドに仕上がっている。
前作のSHORE SPARTAN BREAKTHROUIGHとDRAGGER BREAKTHROUIGHのHパワーランクのアイテムの比較。DRAGGER BREAKTHROUIGHはワンランク上のパワーを持っている。これにより、大型化・重量化するプラグの操作を軽快にこなす一方、さらなる大物対応力を実現した。
フィールドテストを続ける中でたどり着いた3ピース構造
ブランクス、グリップ、ガイドセッティング……すべてをゼロベースで開発。丸二年の歳月を要した。一本のロッドを作るために、いったい何本試作し、何回の釣行を繰り返しただろうか。結果、二つの開発コンセプトを実現するためにたどり着いた基本設計が、印籠と並継ぎを組み合わせた3ピースという複雑な設計手法だ。#1と#2を印籠構造にすることで、荷重移動がスムーズになり、艶めかしく切れのあるルアーアクションを実現する穂先、極自然に、意のままにプラグやジグを操作できるベリーが完成した。一方、#2と#3は並み継ぎ構造を採用。元節を太くすることで強靭なパワーを備えた。これにより、遠投性と強いリフトパワーを実現。操作性とパワーの相反する要素を高次元で両立することに成功した。一回の釣行に持ち込んだサンプルの一例がこの写真。これを何回も繰り返し、テスターと共に細かなところまで理想を追求した。
さらなるこだわり
ガイドセッティングもゼロから見直しを実施。ブランクスの能力を最適に引き出す数・ポジション、モンスターと戦うための強靭なラインシステムやトラブルレス性能など、あらゆる方面から検討・テストを重ねた。1つ加え、2つ加え……、サイズも細かく上げ下げして細かなテストを実施。結果、ステンレスフレームのMNガイドをメインとしつつ、トップガイドとバットのRVガイドは軽量なチタンフレームを搭載。ガイドの付け替えでブランクスとのバランスが崩れることもあり、それによりさらなるブランクスのテストも繰り返し、練りに練り上げたセッティングとなっている。結果、大口径のガイドを多数搭載しながらも、軽快な操作性能を確保した。また、ジグスペシャルとなる910H-3に関しては、さらにストイックな操作性をもとめ、ティップ部分にシングルフットのKガイドを配置。ティップ部分が大きく軽量化され、緩急を自在に操る操作性能を具現化している。
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