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TECHNOLOGY STORY

STORY #01

磁性流体という唯一無二。防水、ここに極まれり。磁性流体という唯一無二。防水、ここに極まれり。

駆動部こそが防水の要所

マグシールドが果たす駆動部の防水

ページ上のイガグリのような物体が磁性流体。下から磁石を近づけた状態で、磁力線に準じて形状がコントロールされている。磁性流体の中でも最も防水性の優れた「マグオイル」を磁場調整された駆動部に1~2滴。これで防水を果たしている

  • LINE ROLLER(ラインローラー)

    LINE ROLLER

    ラインローラー

    回転性能の劣化がスピニングリール最大の弱点とも言える糸ヨレに直結する重要箇所。唯一目視できる露出したマグシールドとなるが、精緻な磁場設計がマグオイルの膜を長期的にキープする

  • BALL BEARING(ボールベアリング)

    BALL BEARING

    ボールベアリング

    小さなステンレス・スチールボールの動きに干渉しないわずかな磁力でマグオイルを制御すること。この難題をクリアして生まれたのがマグシールドボールベアリング。現在はハイエンド機種のみに採用される

  • MAIN SHAFT(メインシャフト)

    MAIN SHAFT

    メインシャフト

    スプールを駆動させるメインシャフトの軸受け部は、ピニオンギアやドライブギアの納まるボディへの浸水を防ぐ前衛。マグシールド以前は摩擦の生ずるパッキンで防ぐ以外に手はなかった

2010年、ハイエンド機種セルテートに、ダイワがもつ最新テクノロジーの粋を集めた防水・防塵機構が搭載された。磁性流体という聞き慣れない素材、NASAによる開発。その機構を支えるすべてが未来を想像させた。

「すべてのリールが過去になる」と謳われた、マグシールドの誕生である。

リールとは水辺で使う精密機器だ。言うまでもなく精密機器は水に弱く砂塵にも弱い。それを外部でプロテクトして侵入を防ぐ機構は例えば時計やデジカメにも施されている。だがそれらとリールが根本的に違うのは回転等の駆動をともなう点だ。しかも動けば良いというわけではなく、駆動には、軽さと滑らかさが高次元で求められる。

駆動時の摩擦を生じさせずに密閉し、水や砂塵をブロックする――そんなことは既存の常識では不可能だ。密閉には物体を接する必要があり、いくらクリアランスを突き詰めても、接すれば駆動時の摩擦が生じてしまう。

ところがだ。NASAが開発した磁性流体が、それを可能とした。磁性流体とは磁性を帯びたオイルのこと。すでに市場では回転系精密機器であるハードディスクの軸受け部に用いられ、見事な防塵機能を発揮していた。防塵が可能ならば防水はどうだろう?そんな柔軟な発想が矛盾を打ち破った。

駆動軸の隙間に防水性に富んだオイルの膜を張り、それを磁力で精密に統御する。液体ゆえに摩擦は生じない。

奇策妙計にして唯一無二。水を防ぐのは、磁性を帯びたオイルだったのだ。