釣り堀というイメージが払拭され、エリアフィッシングという呼び名で周知されるようになったのが、今から20年より少し前のこと。そのころから首都圏近郊をはじめ、地方にも新規のエリアが続々とオープンしていった。そして、エリアフィッシングが釣りのジャンルのひとつとして、その地位を築き始めたちょうど20年前の2003年にPRESSOが誕生した。
当時は、エリアフィッシング専用タックルは乏しく、質も量も現在のそれには遠く及ばない状況だった。そんな中で、エリア用ルアーはもちろんのことロッド、リール、ライン、そしてアクセサリー類までエリア専用のタックルがラインナップされている、いわゆるファミリーブランド・PRESSOの登場は、多くのエリアアングラーを驚かせた。
デビュー時のブランドコンセプトは、トラウトを釣り上げることだけを目指すのではなく、スタイリッシュにエリアフィッシングを楽しむ、ということ。イメージカラーには目立ってアピールするオレンジを採用し、さらに、蝶をモチーフにしたロゴマークはPRESSOのPとSをベースにデザインするなど、スタイリッシュさを前面に押し出してデビュー。このスタイリッシュに釣りを楽しむというコンセプトは、一切ブレることなく現在も引き継がれている。
PRESSOは、イタリア語で『身近』を意味する。エリアは自然に囲まれた場所だけでなく、住宅街に隣接しているような場所にもあり、他の釣りに比べるとそのフィールドは身近。そして、手軽に楽しむことができる。そんな身近な釣りということもあり、日常のファッションとコラボさせたスタイリッシュな釣りをPRESSOはコンセプトとし、提唱しているわけである。
エリアフィッシングの黎明期に誕生したPRESSOは、それと歩みを共にし、現在に至っている。20年前に比べると昨今のエリアフィッシングは、大きく変わってきている。ポンドへのトラウトの放流量は多くなり、また、大型のハイブリッド種が放流されるようになり、数釣りやビッグトラウト狙い、特定の魚種に絞り込んで狙うなど楽しみ方のバリエーションは増えた。しかし、その一方でエリアアングラーは年を追うごとに増えてきて、ポンドへのプレッシャーが大きくなってきた。ルアーのチョイス、釣り方のセレクトを的確にアジャストさせていかないと満足のいく釣果は得られにくく、テクニカルなコンディションになってきている。
さらに、この20年で大きく変わったのが、トーナメントの開催が圧倒的に増えたこと。ここではフィネスな釣りの必要性が上がり、また、新たなテクニックが開拓された。マイクロスプーンの使用頻度のアップ、ミノーイングの縦の誘い、ボトムでの多彩なアクションなど、トーナメントがもたらしたものは少なくない。トーナメントは、エリアフィッシングの進化に拍車をかけたといっても過言ではない。
このようにエリアフィッシングは、ここ20年ほどの間に驚くようなスピードで変遷してきた。しかし、PRESSOはそんな進化と発展に後れを取ることなく、多くのエリアアングラーのニーズに確実に応え続けている。PRESSOがそれをできたのも、追従を許さないDAIWAテクノロジーがあったからこそ。20年前に比べると、ロッドやリールの性能は格段に向上しているのだ。
ルアーからロッド、リールまでエリア専用タックルすべてをラインナップするファミリーブランドのPRESSOは、これからもエリアフィッシングをけん引し、アングラーたちを後ろからサポートしていく。継続は力なり。その力の源であるPRESSOクオリティとテクノロジーは、これからも発展し続けるエリアフィッシングと共に歩んでいく。
高田達也とPRESSOの出会い。
そして、共に築き上げてきたPRESSOの歴史。
エリアフィッシング、エリアトラウトという言葉はまだ浸透しておらず、釣り堀といったニュアンスが色濃かったころから、すでに高田はこの釣りに魅了されていた。30年近く前の話である。
「それまでネイティブトラウト狙いで湖や渓流には頻繁に通っていたんですけど、機会があって初めて管理釣り場へ釣行したんです。目の前にはたくさんのトラウトが悠々と泳いでいて、楽勝だろう、と思って釣り始めたんですが…… トラウトのルアーゲームにはちょっと自信はあったんですけど、思ったように釣れないんですよね。なぜ? どうして? の連続です。悔しくて、それから管理釣り場へ足繁く通うようになって、この釣りにどっぷりとはまっていったんです」
その後、通うたびに新たな発見があり、エリアフィッシングのスキルと経験値は順調に伸びていった。そして、歳月が過ぎPRESSOがデビューする数年前、高田のもとにDAIWAから連絡が入った。内容は「今度、エリアフィッシングのブランドを立ち上げるんですが、協力していただけないだろうか?」と。高田はそれまでDAIWAと面識はほとんどなかったが、話だけは聞こうと担当スタッフと面会した。
「そのころは、かなりエリアの釣りというものがわかっていました。ただ、わかってくるほどに、使うタックルに対して物足りなさを感じるようになっていたんです。既存のタックルではエリア攻略は頭打ちになって難しい。そう感じていた矢先にDAIWAからお声がけがあったんです」
DAIWAのスタッフと初めて面会したときである。高田は、いきなりで失礼と承知しつつも、エリアフィッシングで要求されるリールの性能について説明し、それを形にしてほしいとリクエストを出したのである。高田はその要求をあっさりと断られるかと思ったが、DAIWAのスタッフはそれを快諾。数日後、形にして高田に届けてくれたのだ。
「#1000の最小サイズのスピニングリールで、ハンドルサイズは45mm。それでいてハンドルとボディの間隔はできうるかぎり狭めて、全体的にコンパクトにする。ラインは100mも巻く必要はなく、スプールは浅溝。さらにギアはローギアでハンドル1回転あたりの巻き取り長さを60cm未満にする。そんな自分からのリクエストを予想以上に早く形にして持ってきてくれたのには驚かされましたし、DAIWAのエリアトラウトにかける熱意というか、本気度がひしひしと伝わってきました」
こうしてできたのが初代のPRESSOである。
ロッドのテストも高田が担った。当時のロッドテクノロジーの極みともいえるSVFで成形したブランクを採用し感度と軽さを両立させた。さらに、高田がこだわったのがグリップである。
「その当時のルアーロッドのグリップといえばコルクかEVAが相場でした。でも、グリップ素材をカーボンにしてほしいとリクエストしたんです。斬新でスタイリッシュ。初めて目にしたアングラーは、『エッ⁉』とした顔を必ずしましたね。でも、カーボンのグリップは、デザインをスタイリッシュにするためだけに採用したわけではありません。感度の向上が第一でした」
カーボングリップの内部は中空になっている。ブランクから伝わってきた振動が、グリップの中で共鳴し増幅されて手へと伝達。つまり、圧倒的ともいえる優れた感度を実現したのである。その当時の既存のエリアロッドの中でここまで感度にこだわったロッドは他にはない。それが現在でも銘竿と語り継がれているPRESSO 60UL-SVFである。
エリアトラウト専用ラインも高田がテストを繰り返した。当時は、ナイロンが主流で現在のようにPEやエステルは、まだエリアフィッシングには登場してきていない。
「ナイロンラインでは、伸度に徹底してこだわりました。感度を損なわず、喰い込みのよさやバラしにくさも持たせるバランスの取れた伸度にしたかったんです。伸度25~35%の間で、2%刻みで伸度の異なるナイロンラインを用意してもらっていろいろと試しました。それで、エリアフィッシングに最適な伸度を持ったナイロンラインに仕上げることができたんです」
こうしてできたのがPRESSO LINEだ。また、PRESSO LINEは150m巻きではあるが、50m、75m、100mにマーキングを施して使いやすさをさらに向上させている。
こうして2003年、PRESSOはファミリーブランドとしてデビューに至った。
「いろいろと大変でした。でも、そこで一切妥協せずにテストを繰り返して、納得のいくタックルができました。ちょっとでもつまずいていたら、PRESSOは20年も続かなかったでしょうね」
優れたテクノロジーなくしてPRESSOの歴史は語れない。
20年の歴史の中で、PRESSOはいくつものニュータックルを世に送り出し、エリアフィッシングと共に歩み、進化を遂げてきた。
「新製品、特にロッドとリールが新しくリリースされるたびに思うことがあるんです。軽さにしても感度にしても、もうこれ以上のものはできないだろう、って。でも、その数年後に、それ以上のものを作ることができる。これは進化を止めないDAIWAのテクノロジーの賜物です」
20年の間に、様々なテクノロジーが発表され、それがニュータックルのリリースを支えてきた。
「新しいテクノロジーが出るたびに驚かされるんですけど、なかでもエリアの釣り方や攻略法を大きく変えてしまうんじゃないか、と思ったものがいくつかあります。そのひとつがAGSです」
ガイドのフレーム素材は金属、というそれまでの概念を覆し、カーボンを採用した斬新なガイドのAGS。このAGSがPRESSOロッドに初めて搭載されたのが2010年のこと。AGSの採用によって、それまでのガイドでは出し得なかった感度を生み出し、さらに軽量化によってキャスト時の振り抜けがよくなり圧倒的にキャストフィールが向上した。
「AGSがもたらした優れた感度は、それまでキャッチできなかった水の中の情報がわかるようになりました。トラウトがルアーに近づいてきて、バイトする直前の前アタリがハッキリとわかるようになったんです。AGS搭載ロッドを初めて使ったアングラーの中には、バイトがあるのに乗らない、といった迷いが生じることも珍しくなかったほどです。フッキングさせられるバイト、フッキングさせられないバイト(前アタリ)の違いを、はっきりとアングラーに認識させてくれるすごいテクノロジーでした、AGSは」
フッ素系特殊プレーティング加工で抜群の刺さりを実現したSaqSasの登場も、それまでのエリアフィッシングを変えたテクノロジーのひとつだと高田は言う。SaqSasの刺さり性能はそれまでの塗装フックに比べて最大40%(平均約20%)向上させた。
「刺さりがいいので、ワンランク太いワイヤのフックを使えるようになりました。うまく初期掛かりさせられないで掛けきることのできなかったフッキングミスが、これで激減しました。ただ、刺さりがよすぎて、フッキングさせてからのホールド性をさらによくするために、全体のフック形状を再考しなくちゃいけないなど、少々テスター泣かせのフックテクノロジーではありましたが(笑)」
このほかにも高田を驚かせ、そして感心させたタックルテクノロジーはいくつもある。これらの優れたテクノロジーがあったからこそ、PRESSOは進化するエリアフィッシングと歩みを共にでき、20年という長きにわたる歴史を築き上げていくことができた。
「20年はひと区切りであってゴールではありません。PRESSOはまだまだ成長を止めることなく、これからも多くのアングラーが驚くような素晴らしいタックルをたくさんリリースしていきます」
PRESSO HISTORY2003-2023
2003
エリアトラウトブランド「PRESSO」デビュー。
初のエリアトラウト専用タックル誕生。
ローギアリール「PRESSO」&カーボングリップロッド「PRESSO 60UL-SVF」。
旗艦となるスプーン「PRESSO RAVE」も同時発売。
2004
「PRESSO LIVE CICADA」をリリース。
エリアトラウトの世界にひとつのジャンルを確立した。
2005
エリア専用ベイトリール「SC PRESSO」登場。
2006
人気を博したKP CRANKにディープレンジ攻略可能な
「PRESSO KP CRANK DR」を追加ラインナップ。
2007
コンパクトサイズの表層攻略スプーン
「PRESSO GRAIN」をラインナップ。
2008
二代目「PRESSO」登場。
ボディとローターを『ZAION』化してリニューアル。
2009
ブランド初の専用フック、
「PRESSO SINGLE HOOK」をリリース。
2010
革命的テクノロジー『AGS』を初めてエリアロッドに搭載した「PRESSO LIMITED AGS」登場。
キャスタビリティと感度が飛躍的に進化。
2011
「PRESSO SINGLE HOOK」に驚異の貫通力『SaqSas』採用。
フッキングミスを激減させた。
2012
エリアミノーの火付け役になった
ロングリップミノー「PREESO DOUBLE CLUTCH 60F」はこの年リリースされた。
2013
『AGS』を搭載した軽量ロッド「PRESSO AGS」発売。
2014
滑らかなドラグ『UTDフィネスチューン』を搭載した三代目「PRESSO」登場。
2015
軽さにとことんこだわったリリーサー「PRESSO CARBON RELEASER」満を持して登場。
2016
現在も人気の高いポッパー「PRESSO POPPIN' BUG」リリース。
この年はHMKLとのコラボの「PRESSO DOUBLE CLUTCH tuned by HMKL」も登場。
2017
回転の軽さをさらに追求したリール「PRESSO LIMITED」誕生。
2018
「PRESSO AGS」モデルチェンジ。
コルクストレートグリップを採用。
2019
初中級者もターゲットにした「PRESSO ST」発表。
2020
カーボンストレートグリップを搭載。
「PRESSO LIMITED AGS」
2021
「PRESSO」リール、リニューアル。アンダー150gを実現。
2022
アンダー50gの領域へ。軽量化にこだわった「PRESSO AIR」が斬新なデザインでデビュー。
2023
PRESSO生誕20周年。
3名のテスターの愛竿を昇華した「PRESSO LIMITED AGS 20th Anniversary」と復刻の「PRESSO RAVE 2」を発表。
PRODUCT 01
20年、研鑽の証。
テクノロジーを惜しみなく搭載した完全武装モデル。
誕生20年の節目のシーズンに高田達也、 三浦敬児、そして和田浩輝のPRESSOプロスタッフの三人がそれぞれ『20周年モデル』をプロデュース。高田が63UL、三浦は58ML-S、和田が61MLFの3モデル。ロッドに対するこだわりや釣りのスタイルなど、三人がこれまで培ってきたエリアフィッシングのキャリアを余すところなくフィードバックさせ、開発した特別モデルである。
高田は、PRESSOと歩んできた20年の間で最も愛着のあった一本を昇華させるかのようにして開発。最新のロッドテクノロジーを搭載し基本性能が確実にアップしている。三浦は、自身のソリッドティップに対するこだわりを詰め込んで形にしたロッドを具現化。三浦自身、絶対の信頼を寄せている2段テーパーソリッドを搭載している。そして、トーナメントに軸足を置いてエリアフィッシングに取り組む和田は、試合で勝てる性能に徹底してこだわり、テストを繰り返した。和田がベースにしたのが、トーナメントでも一番使用頻度が高く、愛用しているPRESSO AGS 61MLFである。
三人が思い思いに具現化した3モデルは、最新テクノロジーを惜しみなく搭載。各モデルの詳細は後ほど解説するとして、この3モデルに搭載されているロッドテクノロジーについて高田、三浦、和田にその印象を語ってもらう。
最新テクノロジーの前に、各モデルの統一されているデザインから解説しよう。
フォアグリップ&エンドナットに新形状の軽量アルミパーツを採用。マシーンをイメージさせるような、スタイリッシュなデザインを実現している。グリップはセパレートタイプを採用。少し長めのミッドグリップは、軽量性を確保しながら高いホールド性を持つ。
エンドキャップには20周年のロゴを刻印した新形状を採用。これには『目立たない部分でも、きちんとスタイリッシュな気配りがなされていていいですね』と三人とも大いに満足。
では、搭載しているテクノロジーについてそれぞれの印象を語ってもらう。
SVF COMPILE-X NANOPLUS
「感度が確実に上がっています。それとヒットしてからのトラウトの動きへの追従性が、これまで以上にシャープになった感じ。シャキッとしてキレのあるイメージのブランクに仕上げることができました」(和田)
X45 フルシールド
「6フィート3インチの長さとの相乗効果で、これまで以上にルアーの飛距離を稼げるようになりました。この遠投性は大きなアドバンテージになること間違いありません。特にプレッシャーでトラウトが沖に溜まっているときなんかは、この遠投性は頼もしい限りです」(高田)
※X45 フルシールドは58ML-Sと63ULに採用
AGS & CWS
「キャストしたときの振り抜け感がすごくよくなって、そのとき軽量化の恩恵が実感できます。ソリッドティップとの相性もかなりいいし、感度は確実に上がっていますよ」(三浦)
V-JOINT
「暴れるトラウトとのやり取りの中で、ここでトラウトの強烈な引きのパワーをいなしてほしい、と思った瞬間にブランク全体が確実に曲がってくれて、その動きに追従してくれます。トラウトとのファイトをじっくりと堪能できますし、クランクベイトでヒットさせたときなんかもバラすリスクを大きく軽減してくれています」(高田)
エアセンサーシート
「軽さからくるのか、形状なのか⁉ とにかく、握ったときにしっくりと手になじんでくれます。感度もよくなっていますが、それ以上にロッド操作がしやすくなった感じです」(和田)
PRESSO LIMITED AGS 20th Anniversaryモデルは、単に20周年を記念してリリースしたお飾り的なロッドではない。
DAIWAの誇るロッドテクノロジーが凝縮され、エキスパートアングラーたちをも唸らせる高い実戦能力を備えたハイクオリティロッドなのだ。
PRESSO LIMITED AGS
20th Anniversary MODELLINE UP
PRESSO LIMITED AGS 20th Anniversary
58ML-S
Produce by Miura Keiji
三浦 敬児プロデュースモデル
三浦 敬児Miura Keiji
緻密な理論でパターンを構築してヒットに結び付けるベテランアングラー。
ルアーのポテンシャルを100%引き出す実力派。
最新テクノロジーで感度がさらに向上
2段テーパーソリッドを搭載しているオリジナルのPRESSO LIMITED AGS 58ML-Sをベースに、20th Anniversaryモデルの58ML-Sを開発。2段テーパーソリッドは三浦自身、全幅の信頼を寄せているティップパーツで、20th Anniversaryの58ML-Sにも搭載し、その優れた性能をさらに引き出すべく改良が施された。
「ソリッドティップってしなやかで、トラウトがフックを口の中に入れても違和感を覚えさせることなく、オートマチックに初期掛かりさせることができますが、若干感度が鈍る、という弱点があったんです。でも、2段テーパーソリッドはそれを克服し、優れた感度を見事に実現させてくれたんです」
従来のソリッドは、テーパーがストレートで真っすぐだが、2段テーパーソリッドはその名の通り段差が設けられている。この段差によって、圧倒的ともいえる感度を手に入れたのである。
「オリジナルの58ML-Sは、自分の中では完成し尽くされたロッドで、手を加える余地はない、と思っていたんです。でも、SVF COMPILE-X NANOPLUSのブランクに2段テーパーソリッドを搭載させることによって、さらに感度がアップしました。正直、自分でも驚いているんです」
感度のアップは、タフコンディションでありがちな繊細なバイトをキャッチできるだけでなく、ルアーの動きもハッキリとわかるほど。例えばトラウトがルアーに近づいてきてバイトする直前に、ルアーのテンションがフッと抜ける前アタリさえ、確実にキャッチできるようになった。
「相性のいいルアーはマイクロ系ですね。特にマイクロクランクとは抜群の相性です。バイトしても弾くことなく優しく初期掛かりしてくれて、フッキングさせやすくなりました。ラインは、エステルがいいですね。エステルでも使いやすいように、ガイドセッティングにもだいぶこだわりましたから」
最新のブランクテクノロジーで、三浦お気に入りの2段テーパーソリッドの性能は、さらに磨きがかかった。
PRESSO LIMITED AGS 20th Anniversary
61MLF
Produce by Wada Kouki
和田 浩輝プロデュースモデル
和田 浩輝Wada Kouki
トラウトキング選手権で3回のマイスターを獲得。前人未到の4回目のマイスター獲得が最大の目標。押しも押されもせぬトップトーナメンター。
トーナメントで勝つためのロッド。
和田がトーナメントシーンを含め、これまでのキャリアの中で最も愛着を持ち、信頼を置いて使っているロッドが『PRESSO AGS 61MLF』である。トーナメントでは、和田に数々の勝利をもたらしてくれた銘竿と呼ぶにふさわしい秀逸なモデル。これをベースに開発したのが、この20th Anniversaryモデルの61MLFだ。
「常にトーナメントを意識しながら釣りをしています。自分のスタイルは、アグレッシブに掛けていくのがほとんど。なので、使っているラインはエステルをメインに、状況に合わせてPEを使うといった低伸度のラインです。今回の61MLFは攻撃的に掛けていける、さらに低伸度のPEとの相性をさらに高める、といったところに着眼して開発を進めてきました」
ブランクに採用しているのはSVF COMPILE-X NANOPLUSである。和田はこのロッドテクノロジーに感服。軽くなっているし、感度は大きく向上。さらに、キャストやフッキング、そしてルアーを操作するときなど、ロッドが思い通りに、そして、シャープに反応してくれるのである。
「遠投して沖を直撃するときなんかで、ちょっと離れた場所でバイトがあると、アワセてもタイムラグが出て遅れることがまれにあったんです。でも、この61MLFは確実にフッキングさせることができます。トーナメントでは、かなり頼もしい相棒が仲間に加わった、っていう感じです。勝利に導いてくれるロッドだと思います」
推奨ラインはPEで、ルアーは2g以上のスプーンとフルサイズのクランクベイト。また、アグレッシブに掛けていける性能は、放直でも如何なく発揮される。
「エステルをセットした場合、ポッパーなんかのトップウォータープラグでもいい働きをしてくれます。ぜひ、試してみてください」
ちなみに、サイズを6フィート1インチにしたのは、和田にとって使い慣れた長さだから。ルアーを操作するにしても、ネットランディングするときにしても、安心してやりとりができる。一番バランスのとれたサイズ、と和田は言う。
PRESSO LIMITED AGS 20th Anniversary
63UL
Produce by Takada Tatsuya
高田 達也プロデュースモデル
高田 達也Takada Tatsuya
エリアトラウトフィッシングの黎明期からその楽しさと奥深さを伝えるカリスマ。D.Y.F.Cの講師も務め、育成に尽力している。
トータルバランスに優れた
モデルを再現。
PRESSOと歩みを共にして20年。高田が開発に携わったロッドは膨大な数にのぼる。すべてのモデルに愛おしさを感じているが、中でも特に愛着をもっているのが2011年リリースのPRESSO LIMITED AGS 63 ULである。
「何か一つに突出した性能があって特定のルアーや釣り方に特化している、というロッドではなく、投げる・掛ける・曲げて寄せるといったロッドに求めるすべての基本性能のバランスがものすごくいいんです。特に感度に関しては、それまでのどのロッドよりも、圧倒的に優れていました」
高田が展開する釣りのスタイルはとてもシンプル。投げて巻く、といったルアーフィッシングの基本に忠実ではあるが、レンジはキッチリと数センチ刻みで攻め分ける、ルアーのレスポンスを100%引き出すなど、そのスキルは非常に高い。そんな高田のフィッシングスタイルにしっかりとアジャストしたモデルがPRESSO LIMITED AGS 63ULだったのだ。そして、この20th Anniversary 63ULは12年前の63ULを昇華するような形で開発を進めた。
「12年の間にエリア事情は変化しました。エステルラインの普及や、マイクロスプーンの使用頻度のアップなど、12年前と同じ感覚ではロッドの開発はすすめられません」
20th Anniversaryモデルの63ULでは、エステルラインとの相性を考えつつ、キャスト性能の向上を目指して開発。その開発の中で、特に神経を注いだのがガイドセッティング。リールから放出されるラインのスパイラルを少しでも短い距離で解消するガイドセッティングにしたことで、エステルとの相性はよくなり、またマイクロスプーンのキャストもストレスなく投げられるようになった。
「感度や操作感といった部分は、SVF COMPILE-X NANOPLUSのおかげで、圧倒的によくなりました。スムーズに曲がってくれるし大型トラウトとのやり取りでもベリーからバットでしっかりと踏ん張ってくれます。基本性能のバランスのよさは12年前の63ULのロッドフィールのままだし、それぞれの性能はこの12年間で進化したロッドテクノロジーのおかげで、確実に向上しています」
PRESSO LIMITED AGS
20th Anniversary MODELMOVIE
PRESSO LIMITED AGS
20th Anniversary MODELSPEC
品名 | 全長 (m) |
継数 (本) |
仕舞 (cm) |
自重 (g) |
先径/元径 (mm) |
ルアー重量 (g) |
ライン | カーボン 含有率(%) |
価格(¥) | JANコード | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(lb.) | PE(#) | ||||||||||
58ML-S | 1.73 | 2 | 89 | 51 | 0.7/6.9 | 0.4-4 | 2-4 | 0.15-0.4 | 99 | 79,000 | 3 340512* |
61MLF | 1.85 | 2 | 95 | 53 | 1.1/7.4 | 0.6-5 | 1.5-5 | 0.15-0.4 | 99 | 79,000 | 3 340529* |
63UL | 1.91 | 2 | 98 | 51 | 1.3/5.9 | 0.4-3 | 1.5-3 | 0.15-0.3 | 99 | 79,000 | 3 340536* |
*スペック表は横スクロールしてご覧ください。
*生産数限定アイテムとなります。
PRODUCT 02
ダックテールを採用し、初代の性能を踏襲。
20年前、PRESSOがファミリーブランドとしてデビューしたときに、レイブもエリア専用スプーンとしてデビューしたが、その数年後、多くのエリアアングラーに惜しまれつつ生産が中止になった。しかし、それから10年が経った今年、PRESSOの20周年に合わせてRAVEがRAVE 2として復活。
「生産が中止になったときには、行く先々で多くの方から『もう売ってないの?』と声を掛けられました。私自身も、PRESSOがデビューしたときにリリースしたルアーなんで、かなり愛着は持っていたんです。ですからRAVE 2として復活できて、心の底からうれしいと思っています」と高田。
2代目となるRAVE 2は初代RAVEと比べ、性能的にほとんど遜色がない。人気の秘密のひとつであったダックテール(テール部分がせり上がった特殊な形状)はそのまま採用され、立ち上がりの速さや多少の引き重り感があるリトリーブフィールは初代をそのまま踏襲している。
「初代と大きく違うところは、ウエイトバリエーションが増えたこと。20年前に比べると、今のエリアはかなりタイトに攻めていかないとなかなか結果が出せないことも多くあります。ウェイトバリエーションが増えたことで、より繊細なパターンを組んで攻略していくことが可能になりました」
基本アクションはハイロールピッチ。低速でもレンジキープさせやすく、ビギナーアングラーでも扱いやすいスプーンである。