藤田京弥
B.A.S.S. ELITEルーキーイヤーを戦い終えて


話=藤田京弥
2022年の人生初渡米からわずか3ヵ月後のB.A.S.S.オープン参戦。
その年にいきなり勝ち取ったELITEシリーズ行きのチケット。
そして2023年の藤田京弥は、ELITEルーキーイヤーでの初優勝と、シーズン終盤にAOYを射程に捉える大躍進を見せ、世界最高の権威と歴史をもつBassmaster Classicへの出場も決めた。
藤田本人に、この激動の2シーズンを振り返ってもらった。

ポジティブマインド

 ELITE初年度を戦い終えて、いま思うことはふたつです。ひとつは、とにかく悔しい。1ポイント差でROY(ルーキー・オブ・ザ・イヤー=新人王)を逃しましたが、ねらっていたのはそこではなくてルーキーイヤーでのAOY(アングラー・オブ・ザ・イヤー=年間最優秀選手賞)だったので……。チャンスはあったのに、シーズン開幕のオキチョビ戦でドン底といっていい順位(79位/104名)を取ってしまって。この試合では、場の雰囲気に呑まれていたし、緊張もしていました。1日目のスタートから1時間はキャストもぜんぜん決まらなくて、クランクベイトで陸の草ばかり釣ってましたから(笑)。“試合で緊張する自分”が久しぶりすぎて新鮮でした。なのでオキチョビ戦は、まぁこうなりますよねという結果です。
 自分のミスは、このオキチョビ戦の結果を受けて、第2戦以降の各試合で、完全に「勝ちだけをねらう展開」へシフトしてしまったことです。初戦でコケちゃったからAOYはもう難しいだろうな、それなら優勝するゾ、と。
 前年(2022年)のオープンでは、とにかくELITE行きの権利を獲ることを最優先して、シーズンを通してずっと「大きく外さない展開」を選択していました。やぶれかぶれはもちろん論外ですけれど、攻めて攻めて、攻めきる展開は、イイ精神状態で試合ができるんです。それに対して「1シーズンきっちり守り抜く」「とにかく外せない」というのは、試合が始まる前から追い詰められている、ポジティブになれない精神状態です。そんな感じなので2022年のオープンは辛かったし、フラストレーションも溜まっていました。
 冷静に考えれば、オキチョビ戦は全9試合あるELITEのうちの1試合なんですけど、なぜかJBトップ50の感覚(全5試合のうちの1試合)で捉えてしまった。年間ランキングにおける各試合の重要性は、試合数が倍近いELITEのほうがトップ50より断然低いのに、1試合外したくらいで自分のなかでスイッチが切り替わって、「優勝だけをねらって思いっきり戦うゾ」というほうへ気持ちが振り切れてしまいました。AOYを獲れなかった大きな原因がコレです。
 ただ……、第2戦(レイク・セミノール戦)以降は試合がめっちゃ楽しくなりました。開催地に精通したスーパーロコやシャローのスペシャリストたちを相手に、自分が勝てる、自分のだけのエリアと釣り方を探して、思いきり勝負する。この自分本来のスタイルに立ち返ったことで、とてもポジティブに試合に臨めるようになりました。余談ですけれど、この精神状態じゃないとアメリカでは勝てないと感じています。アメリカ人って陽気な人が多くて、やっぱり身体的に強いのか疲れをぜんぜん顔に出さない。そんな元気の塊みたいな選手が100人以上いるなかで、パワーで劣っている自分が心まで負けてしまったら、技術うんぬん以前の問題で勝負にならない。劣っている部分をそのままにしておくつもりはなくて、いまフィジカルも鍛えています。アメリカの肉は赤身で美味しいんですよ。それがパワーや筋肉になっている感じがします。脂肪が少ないからバクバク食べても太りませんし。でも、肩幅がでかくなってウエアのサイズが合わなくなりました(笑)。

You are the big proud of bassmaster crew.


 優勝したレイク・シャンプレイン(第8戦)のステージ上で、ファンとスポンサーとB.A.S.S.の運営にお礼を言ったら、MCが「あなたは我々運営にとって大きな誇りだ」と返してくれました。そのMCは、ほかの試合でも「コーヤ(京弥)は、文化も言葉もまるで違う国でよくやっている」と言ってくれたり。嬉しいですね。やっぱり、アメリカで戦ううえでは“そこ”がいちばんたいへんなので。
 ELITE初年度を終えて感じることのふたつめは、文化や言葉……、英語はまだぜんぜんですけど(苦笑)、陸上のことに少しずつ慣れて、水の上で釣りと試合に集中できる状態になってきたことです。オープンに出ていた2022年は、釣りはご褒美みたいなもので、いろんな手続きとか移動はもちろん、普段の生活さえ覚束なかった。日本にいればちょっとしたトラブルで済むことも、アメリカで起きたら大ごとなので、常に切迫していて、気持ちにまるで余裕がなかった。そのうえで「絶対に外せない」「守らなきゃ……、守らなきゃ……」の試合が続いたので。今だから言えることですが、自分はそう長くはアメリカで戦えないだろうと思っていました。
 そこで折れずに、乗り越えてよかった。今は、釣りがめっちゃ楽しいし、練習も試合もイイ感じです。河口湖で年間365日練習していたころや、トップ50に出始めたばかりのころの、わくわくしながらアレコレ試していたときと同じ気持ちで日々を過ごせています。SNSなどを通じて応援してくれる方々やスポンサーさん、一緒に楽しく真剣に製品開発をしているDAIWA WORKSの皆さん、釣り仲間や友人、家族、支えてくれる皆に感謝しています。

Bassmaster Classicと来期ELITEへ向けて

 クラシックは、自分にとってほかの試合と同じ。数ある試合のなかの、ただの1試合です。だから普段どおり、全力で勝ちに行くだけです。出てみたら(クラシックを)特別な試合だと感じるかもしれませんが、今はまだ、そういうのはないですね。
 来期ELITEでは今期のミスはくり返しません。勝てる、勝つチャンスがあると感じた試合では思いきり攻めますが、「9試合すべてで3日目以降へ進む(50位以内に入る)」のもAOYを獲るためには必要なことですので、判断を間違わず、1戦1戦だけでなく1シーズンを通した勝負(=AOYレース)も楽しみたいと思います。
 とはいえ、さっき話した身体の強さや、フィールドへの精通度合い、ボートのドライビングテクニック、ラフウォーターへの慣れ、ほかにもいろいろ自分はアメリカ人に負けているところばかりで、こうして話していてもヘコんできます(苦笑)。
 そんな自分が唯一、アメリカ人に対してアドバンテージを持っているのが、タックルです。DAIWAさんのインタビューでコレを言ったらビジネストークにしか聞こえないでしょうね。けれど、事実です。最高のタックルがあるから、自分はアメリカで戦えているし、2年続けて結果を残すこともできている。監修に携わっているSTEEZ REAL CONTROLや偏光グラス(TLX015)はもちろん、STEEZ SV TWやEXIST、ZILLIONなど、DAIWAとDAIWA WORKSには世界最高のタックルでサポートしてもらっています。来年もまた、今年のようにブルートロフィーを持ってグローブライド本社へ凱旋報告に行きたいですね。

RESULT

Tournament Location Dates Results
2023 SiteOne Bassmaster Elite at Lake Okeechobee Lake Okeechobee, Okeechobee, Florida February 16–19 79
2023 Gamakatsu Bassmaster Elite at Lake Seminole Lake Seminole, Bainbridge, Georgia February 23–26 2
2023 Marathon Bassmaster Elite at Lake Murray Lake Murray, Columbia, South Carolina April 20–23 3
2023 AFTCO Bassmaster Elite at Santee Cooper Lakes Santee Cooper Lakes, Clarendon County, South Carolina April 27–30 100
2023 Whataburger Bassmaster Elite at Lay Lake Lay Lake, Shelby County, Alabama May 11–14 34
2023 Folds of Honor Bassmaster Elite at Sabine River Sabine River, Orange, Texas June 1–4 19
2023 AFTCO Bassmaster Elite at Lake St. Clair Lake St. Clair, Macomb County, Michigan July 27–30 7
2023 Dakota Lithium Bassmaster Elite at Lake Champlain Lake Champlain, Plattsburgh, New York August 17–21 1
2023 Minn Kota Bassmaster Elite at St. Lawrence River St. Lawrence River, Clayton, New York August 24–27 3
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MEMORY

2023 SiteOne Bassmaster Elite at Lake Okeechobee
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2023 Gamakatsu Bassmaster Elite at Lake Seminole
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2023 Marathon Bassmaster Elite at Lake Murray
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2023 AFTCO Bassmaster Elite at Santee Cooper Lakes
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2023 Whataburger Bassmaster Elite at Lay Lake
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2023 Folds of Honor Bassmaster Elite at Sabine River
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2023 AFTCO Bassmaster Elite at Lake St. Clair
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2023 Dakota Lithium Bassmaster Elite at Lake Champlain
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2023 Minn Kota Bassmaster Elite at St. Lawrence River
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