福田 豊起
今回の新しいメタリアライトヒラメの特徴はズバリその使いやすさ。フィールドの条件を選ばない汎用性の高さとライト感の両立を見事に高いステージで実現している点だろう。その性格をレングスが象徴している。今回のメタリアライトヒラメもMとMHの2モデル。短いⅯ-230はエンジン流しや凪の条件に適しており、調子もしなやかなライトヒラメを象徴するモデル。先代よりもややレングスを伸ばしているので、快適に釣りが出来る条件が大きく広がっている。それゆえエキスパートであれば横流しの釣りでも十分対応出来るはずだ。MH―245は長さを伸ばした分、ややバットに張りを持たせて操作性を高めている。強風下での横流しやウネリの高い悪条件であっても余裕をもって釣りに集中できるはずだ。だが「なんだ、使いやすさを優先して平凡な竿になったんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれない。今回のメタリアライトヒラメ、その問いに対する答えはノーだ。ライトヒラメロッドに対して人一倍ライト感にこだわりをもつ私が違和感なくフィールドでのテストにOKを出したのには訳がある。メタリアの象徴である高弾性チタンのメタルトップはそのままに穂先部分にはAGS、リールシートもスリムトリガータイプのエアセンサーシートを採用。軽量化と感度アップに余念は無い。そして、注目はなんと言ってもブランクスのカーボンにHVFナノプラスをおごったことだ。今までDAIWA船釣りロッドのフラッグシップである極鋭を超えるスペシャルモデルである極鋭EXシリーズのみに採用されていた高密度カーボンナノプラス。私も、紅牙テンヤゲームEXや極鋭ヒラメEXでその軽さの違いをまざまざと感じていた。そしてその軽さからもたらされる異次元の感度。実釣での手感度で知ることの出来るアタリの領域を大きく広げたそのスペシャルマテリアルがHVFナノプラスとしてアッパーミドルクラスであるメタリアに採用。その圧倒的な軽さはスペックを見れば一目瞭然。先代のM-215の103gに対して今回のM-230が99gと軽いばかりでなく、MH-245が105gとほぼ同等とは驚くしかない。実釣においても、手にした瞬間に感じるその軽さ。オモリが底を叩く感覚と手に伝わる情報量の違い。ヒラメのファーストインパクトをまず手に感じる場面がグッと増すはずだ。また、モタレ具合もハッキリ手に伝わることでアワセ時を判断することに自信が持てることだろう。さらにフッキングさせてからも手に伝わる情報量の多さから、ヒラメを暴れさせない先手を取った理想のヤリトリを実現してくれる。ロッドにとって軽量であることから受ける恩恵の大きさに改めて教えられた思いだ。また、HVFナノプラスは軽さだけでなくパワーにも優れている。大ヒラメを掛けた時その真価は発揮される。大ヒラメを底から離す時、ウネリをかわしながらの巻き上げ、水面近くで不意な突込みを見せた時などそのパワーを実感して頂けるはずだ。今回のメタリアライトヒラメの完成度がここまで高いと私の想像力は否が応でも膨らんでしまう。昨今短めが主流となっているゲームロッドに対して、少し長めのレングスのモデルとしてM-230。横流しに対応して固めの調子が主流になっているノーマルヒラメロッドに対して、しなやかなモデルとしてMH-245。なんだかワクワクして欲張ってしまうのは私だけで無いはず。新しいメタリアライトヒラメは最新のDAIWAテクノロジーをまとった野心的なモデルであると同時に、この性能を手にしやすいアッパーミドルクラスで実現してしまったのは驚きの一言。その一方、実釣ではあくまでもスマートで使いやすく。このワクワク感をぜひ実際に手に取って体験して頂きたい。 |