去る2018年4月20日(金)~22日(日)、和歌山県串本出雲崎の磯にて「第25回 ダイワグレマスターズ2017 全国決勝大会」が開催された。本来は3月に行われる予定だったが、度重なる悪天候で2回の延期を余儀なくされ、約1カ月遅れの4月開催となった。
参加したのは全国の地区予選・ブロック大会を勝ち上がってきた12名(残念ながら関東・東海I地区と中国地区大会は悪天候のため開催できず)と、昨年上位入賞のシード選手4名の計16名。
20日の前夜祭で行われた組み合わせ抽選会では、計16名が翌日の予選リーグを戦う4名1組、4グループに振り分けられたが。前年度優勝を飾った福原健選手と、今大会で全国大会出場5回&第18回グレマスターズ優勝の江藤義紀選手が第2グループに選出。さらに、前年度準優勝の川村崇選手、予選Aブロック1位の武田一平選手、予選Bブロック1位の木村真也選手が同じ第3グループという組み合わせに……。昨年に続き波乱の抽選会となり、前夜祭会場からは驚きの声が上がった。このほか、昨年度3位の元ダイワスーパーフレッシュアングラー・池田翔悟選手が第1グループ、同3位の藤田賢治選手が第4グループに選出。ここへ地区予選を勝ち抜けた猛者達がどのように絡むのかが注目だ。
21日に行われた予選リーグ戦は、4人1組のグループで1試合2時間×3試合を戦う総当たり形式。25cm以上のグレ5尾の総重量で勝敗を決定する。勝者は勝点3点、引き分けは釣果のある場合は2点、釣果のない場合は1点が与えられ、グループ内で最も勝点の多い選手が準決勝へ勝ち進むことができる。
試合前、大会競技委員長の鵜澤政則氏は、「3~4月の串本は食い渋りの時期。いつもどおりの釣りは通用しないかもしれませんので、選手のみなさんは心してかかってください!」とエールを送っていた。そして予選リーグが始まると、予想どおりの厳しい状況……。ポイントをよく知る選手ですら答えを導き出せず、0対0の試合が続出する波乱の展開に。しかし、場所によっては食い気のある魚が見受けられ、1試合で規定の5尾を揃える選手もちらほら。しっかりとパターンをつかみ、確実に釣果を積み上げられた選手との差が明確となっていた。
第1グループからは、2勝1敗で屋田選手が勝ち抜け。総重量4,355g(8尾)で予選リーグ最多釣果を叩き出した池田選手に勝点で勝り、勝点同点の服部選手には対戦時の勝敗で勝利。見事準決勝進出となった。
続く第2グループは優勝経験者である福原選手と江藤選手の一騎打ちとなり、直接対決で江藤選手が福原選手を4対0で圧倒。その結果、2勝0敗1分で江藤選手が準決勝進出を決めた。
第3グループはハイレベルな接戦が予想されたが、各対戦で0対0が続出。Aブロックを1位で通過した武田選手、そして昨年度準優勝の川村選手の総釣果が共に“0”という、予想だにしない展開となった。そんな最中、対嶋田選手の試合でパターンをつかみ、5尾を揃えることに成功した木村選手がわずかにリード。嶋田選手に競り勝って準決勝進出。
第4グループも第3グループ同様、宮村選手と高橋選手の総釣果が共に“0”となるなど、厳しい試合展開に。ここは唯一全国大会の経験が豊富な藤田選手がしっかりと釣果を上げ、勝点7で準決勝進出が決定した。
翌22日の準決勝はやや北寄りの風が強く、昨日よりも水温が低下。状況はさらに厳しさを増す気配だが、準決勝進出の4選手はどう切り抜けるのだろうか。
準決勝は午前6時30分から2試合が同時スタート。前日の中夜祭で行われた抽選により、江藤選手対屋田選手、藤田選手対木村選手の組み合わせが決定。
江藤選手と屋田選手の試合が行われたのは「カナトコ」。まずは海に向かって右側に入った屋田選手が、沖に流れる潮スジで1尾目をキャッチ。しばらくこのパターンで打ち返すとポツポツ食ってきたが、25cmに満たないサイズが混じっている様子だ。
一方、江藤選手の入った左側の釣座はサラシの流れと風に翻弄され、仕掛けを思うように入れられずに苦戦。なんとか1尾仕留めた後に釣座を交代したが、ここから江藤選手が反撃開始。潮スジからポツポツながらグレを拾い、奥田選手との差を詰めていく。負けじと屋田選手も追加していくが、江藤選手のほうが明らかに型がよかった。そして検量の結果、江藤選手が倍以上の総重量で差を付け決勝進出を決めた。
藤田選手と木村選手の対戦が行われた「アシカ」では、魚の反応はあるもののキーパーに届かないサイズが続出。前後半を通して両選手とも2尾の釣果を持ち込んだが、藤田選手は2尾とも規定サイズに届かず……。一方、木村選手は2尾とも規定サイズをクリアし、念願の決勝へと駒を進めた。
決勝戦の舞台は「武八(ブハチ)」。前日、木村選手が予選リーグでキーパー5尾を仕留めた磯だ。今大会で一度竿を出しているだけに木村選手が有利かと思われたが、この日はガラリと状況が変わっていた。
前半がスタートし、黙々と仕掛けを打ち返す2人。ポイントを徐々に変えながら状況を探るが、しばらく沈黙が続く。そして開始から約30分、口火を切ったのは右側の釣座に入った江藤選手。本命らしき魚を掛け、慎重に取り込む。タモに収まったのは、30cm以上は確実にありそうなグレだ。その20分後、再び江藤選手の竿が弧を描く。落ち着いたやり取りの末、仕留めたのは1尾目と同サイズ。そして前半が終了し、2対0で後半を迎えた。
ここでなんとか追い付きたい木村選手。普通なら焦りが出てくる頃合いだが、落ち着いた動作で仕掛けを打ち返す。そして後半開始から20分、ついに木村選手の竿が曲がった! やり取りからして本命のようだが、引きの様子から江藤選手の魚よりも型が良さそうだ。タモ入れして振り返ると、網の中には丸々とした良型グレ。もう一尾キーパーが出れば、江藤選手に並ぶかリードしそうな気配だ。
「これは出るかもしれない……」そういった雰囲気が会場に漂うなか、再び木村選手の竿が大きく曲がった! 竿先は叩かず、ゆっくりと距離が詰まっていく。「これはグレだろう」誰もがそう思っていたが、海面を割ったのはまさかのサンノジ……。期待が大きかっただけに、ギャラリーが一時静まりかえる。
その後は残念なことに沈黙が続き、2尾対1尾のまま試合終了。検量の結果、1,410g対864gで江藤義紀選手が勝利。第18回大会制覇以来、7年ぶりの優勝(2回目)を成し遂げた。