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2022.01

トレーラーハウスと海辺の暮らしへ

バリスタでモデル信太美月の好奇心の源泉を探るインタビュー

今回の主役は海釣りにハマっている釣りガール。表参道のカフェ 〈LATTEST〉のバリスタでありながら、モデルとしても活躍している信太美月さんが登場。
そんな彼女は、去年の夏から千葉の海辺の街と東京の二拠点生活をスタート。サーフィンを楽しみ、仲間との時間を愉しむ生活を送っている。面白い遊びがあれば好奇心の赴くままにチャレンジするという多趣味な彼女だが、最近はもっぱら釣りのことで忙しいようだ。

東京五輪サーフィン競技会場としても注目の集まった千葉県一宮市。サーフカルチャーが根付くこの町の、とあるトレーラーハウスにコーヒーの香りが漂っている。内装も外装もアメリカンなこのトレーラーハウスは、今回の主役である信太美月さんと、ボーイフレンドである桜井隆太さんほか5人の友人で共同で借りているものだ。シェア・ウィークエンドハウスとして各々が好きな時に使いながら、サーフィンや遊びの拠点としている。

「彼は美容師で休みは月曜と火曜日。私もそれに合わせて休みを取ることが多く、日曜日の夜にトレーラーハウスに移動して、2泊過ごして火曜日の夜に東京に戻るというのがおきまりのパターン。最近は休みとなるとだいたい東京ではなく一宮の方で過ごしてますね」

海を中心としたスローな休日

美月さん自身も海辺の街出身、しかも父がプロサーファーということもあり、海で遊ぶのは慣れたもの。

「父は、俺と遊びたいなら俺と同じ遊びをしろ。っていう感じだったので、小さい頃からサーフィンをやらされていたんですけど、いつも夏にちょこちょこ入ってただけなので全然上達できなくて(笑)。今に至るまで海に入ることの口実としてサーフィンをしていた感じですが、ここに通うようになってからは、彼に教えてもらいながらちゃんとサーフィンをするようになりました」

朝は海の様子をみながら波に乗って、もし波がなかったらゆっくりベッドでまどろんで。行きつけのサーフショップに行って知り合いをつかまえて、一緒にランチ。午後もまた波があればサーフィンを楽しんで、夜は庭でバーベキュー。テレビもなく出かける場所もないので早めに就寝。東京での慌ただしい暮らしとは対極に、一宮ではゆとりのある休日が待っているという。

一宮の住まいまでは1966年式のフォード・マスタングで移動。東京での生活を象徴するようなパワフルな隆太さんの愛車から、地に足着いた(というより水道や電気など配管もされていて動かない)海の近くのトレーラーハウスへ。美月さんカップルにとってこのトレーラーハウスの存在意義はサーファーズハウスであったが、実はこの1年数ヶ月で新たな趣味が増え、ここでの生活にも大きな変化が現れた。

「去年の春から続く世の中の状況もあり、遊びというともっぱらアウトドア。僕はもともとサーフィンばかりだったのでよかったのですが、去年の夏頃は波がなかった時期があって。それで波がない状況でもできることをやろうと、一緒にトレーラーハウスの仲間と道具を買って釣りを始めたんです」と隆太さん。

いつもサーフィンを楽しんでいる海岸のそばでルアーを投げたところ、意外と簡単に魚が釣れたことがハマるきっかけとなったという。

一方、美月さんは始めの頃、隆太さんが釣りをしているの離れたところで見ているだけで、その間本を読んだりPCでYouTubeの動画を編集しながらのんびり過ごしていたそうで、面白そうとは思いつつも、実際行動しようという気は起こらなかったそう。もちろん海辺の町で育った彼女だから、祖父に釣りに連れて行ってもらった経験もあるらしいが、それがかえって釣り=辛抱が必要=ツマラナイというイメージの原因にもなっていた。

「でもある時、彼が大きなヒラメを釣って、知り合いの人が私に魚の捌き方を教えてくれたんです。今はそうでもないですが、彼が釣りを始めた頃は魚を捌くのに抵抗があったみたいで、代わりに私が習って魚を捌く担当になりました。それから釣りたての魚を食べる楽しみを知って、ちょっとずつ釣りに興味が出てきたんです」

あっという間に釣りの虜に

少しずつ美月さんの心の中に変化があり、隆太さんから遅れを取ること約1年。今年になってようやく彼女も釣りデビューとなったが、その初戦は陸っぱりではなく船釣りだったという。

「船釣りならレンタルタックルもあるということで、私も彼と友達に同行して、釣りに挑戦してみることになったんです。初回は小型のジグを使うスーパーライトジギングという釣り方で、カサゴとアカハタを釣ることができました。それでハマったという感じでもないのですが、以降は月に2回ぐらいは船に乗るようになって、次第に道具も大きくなって青物狙いに同行するようになりました。青物ジギングでは辛うじてサバを釣ったのですが、ビビビッという引きが根魚と違って大興奮。多分それを機にやる気になったんですよ」と美月さんは笑う。

おふたり曰く、釣りにおいてはお互いは彼氏彼女という関係ではなく、むしろライバル的な存在。サバのパワフルさを知った美月さんはその後、青モノを好んで狙うようになり、すぐにキハダマグロやブリなどの大物釣りにエスカレート。始めて半年も経たないのに美月さんの熱量は高く、今や隆太さんと友人が何度トライしても釣れなかったヒラマサを、誰よりも先に釣ると息巻いていた。

「私って負けず嫌いなんですよ。負けたくないって気持ちがやる気の原動力で。いつものメンバーはもちろんですが、最近は釣り初心者の女友達と一緒に釣りをすることもあって、そんなときにも絶対負けない! って闘気むき出しにします(笑)」

隆太さんの思惑通り(?) 美月さんも釣りをするようになったタイミングで、釣り用に軽バンも購入。共通の遊びが増えたことで、よりふたりのライフスタイルの幅が広がり、一宮の拠点での生活が充実。美月さんのものの見方にも変化が現れたそう。
彼女の変化がわかるものが、隆太さんが釣りの時に愛用している〈CHALLENGER〉のキャップ。これは〈DAIWA〉とのコラボアイテムで、美月さんが誕生日プレゼントとして贈ったもの。また、キャップとセットのファイヤーパターンのルアーも、キーホルダーとして常にクルマの中で揺れている。

「普通なら彼女に釣りの話なんて深く話せないし、僕が新しい道具を買ってウキウキしてても共感されないじゃないですか。でも彼女が好きになってくれたらこっちのもので、むしろ釣りは良いコミュニケーションツールになってくれるんですよね」。美月さんが釣りをするようになって、隆太さんは満足顔だ。

欲張りな休日はサーフ&フィッシュ!

一宮仕様の軽バンに乗ってやってきたのは、トレーラーハウスから五分ほどの堤防。いつもはサーフィンをしている浜辺で投げることも多いというが、海の状態を読んで、サーファーの勘を頼りにここにやってきた。

「りゅうちゃんより先に釣って良いところを見せよっと!」。どちらかというと船釣りばかりすることが多かった美月さんも、練習を重ねて陸からの遠投にも自信がついて来たようで堂々とした足取りでポイントに向かう。

毎度ターゲットを変える船釣りでは、その都度適したタックルをレンタルしている美月さんは、堤防やサーフでは隆太さんの道具を借りるのが常。はじめて1年とは思えないほどの本数のロッドが並ぶ軽バンのロッドホルダーから、どれにするかいつも選ぶ。
女性でも振りやすく、携帯性に優れたgo_fishingのスターティングセットのタックルは、チョイ投げに最適なオールラウンダー。堤防の上から岩場と砂浜の境界にミノーを通し、駆け上がりにいるであろうターゲットを狙う。

釣りを始めると、急に口数が減って釣りモードのスイッチが入ったふたり。しばらく波の音だけが響く時間が続いた。

「釣りが始まるとこうなっちゃうんですよね。超集中しちゃって、周りはどうでも良くなるというか(笑)。でも、これこそ釣りの魅力ですよね。仕事とか他人の事とか考えなくてもよくて自分の時間に没頭できるわけですから。釣りに忙しくてスマホなんて見る時間もないですが、それが逆にリラックス効果があるのかもしれませんね。休みを都会で過ごしていた時は、マッサージに行ったりエステに行ったりして疲れを癒すことが多かったですが、今は外で思いっきり遊ぶことが最高の癒しになっている気がします」

海の幸は東京での暮らしの活力に

堤防にルアーを投げ続けて10分ほどたった頃、先に大きくロッドがしなったのは美月さんの方。一瞬悔しそうな顔をした隆太さんだったが、ヒラメを釣り上げた彼女を見て、ふたりとも屈託の無い笑顔を見せていた。

その後、隆太さんは名誉挽回と50cm弱のヒラメを釣り上げ、午後の釣りは早々にお開きにすることに。キャッチ&イートを基本としつつも、自分たちと仲間で消費できる分だけを釣る。これが次回の釣りを楽しくさせる秘訣でもあるそうだ。

「釣った魚をさばいたり調理したりして、東京の家にも持って帰って美味しく食べる。私にとってそこまでが釣りの楽しみです。それに、友人に釣れた魚をおすそ分けする機会も増えたのですが、そうやって喜んでもらえるのも、なんだか昔ながらの関係作りっぽくて。こういうやりとりを大切にしていきたいと思うようになりました」

一見すると釣りは一人で楽しむものに見えるが、その体験や感動、釣果は周りの仲間と分かち合えるもの。社会的な繋がりが希薄になっている今、釣りはコミュニティを作る一つのピースになるのかもしれない。

プロフィール

信太美月(しだ・みづき)
表参道のエスプレッソバー〈LATTEST〉のバリスタであり、フィットネスモデル。テラスハウス出演を機に美人バリスタとして知られるように、以降女性から注目されるインフルエンサーに。Instagramでは13万フォロワーを持ち、YouTubeチャンネル MIZUKI SHIDA ではコーヒー関係や美容関係の他に、釣り動画もアップ。等身大のライフスタイルを発信している。
Instagram : @shidamizuki

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トレーラーハウスと海辺の暮らしへ

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