ダイワアングラー
バスプロスタッフ
BASS PRO STAFF
バス
SPECIAL INTERVIEW
スペシャルインタビュー
憧れと執着、変わらぬ想いが求道への原動⼒。
「夢」ではなく「⽬標」―。
積み重ねた経験がさらなる⾼みへの「しるべ」となる。
佐々⽊ 勝也
釣れるまで諦めなかった5年間
釣れなかった5年間が⽣んだバスへの執念
今でこそバスプロとして釣りを⽣業とさせてもらってますが……じつは、初バスを⼿にするまで5年もの時間がかかりました。
僕がバス釣りに出会ったのは、グランダー武蔵が⼤流⾏した⼩学校3年⽣の時。今考えると現在のオカッパリよりもはるかに釣れやすかったと思いますし、実際に友⼈たちも次々と初バスをGETしていく中……5年間ですよ。⾃分には釣りのセンスがないと思いました(笑)。なぜ諦められなかったか、正直思い出せないのですが、ご飯も⾷べずに夢中になってバスを追い求めていました。⼀度もバスを釣り上げたことのない少年がですよ?釣りの楽しさを知らない少年が、なぜ途中で諦めなかったのか、⾃分でも不思議なぐらいです。初めての釣果は、地元・岩手のため池でした。その時の感動は今でも忘れられません。まわりの友達が初バスをGETしていくなか、自分だけが釣れなかった5年間。そして初めて釣り上げたときに溢れ出した喜びや感動が、いまの僕を支える原動力やバスへの異常なまでの執念に繋がっているんだと思います。その忘れられない一匹との出会いから、ほどなくして秋田・八郎潟で50アップのランカーを初めてキャッチ。手も足も震えるし、それが決定打となって、バスフィッシングの世界に、とりわけオカッパリのバスフィッシングの世界にのめり込んでいきました。
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学⽣の頃は野球にも打ち込んでおり、遠投をするときの体の動きはキャスティングにも近いと考えている。
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好きなプロ野球チームは阪神タイガース。⼩学⽣の頃から応援していて、特に好きなのは元投⼿の藤川球児さん
挑戦の⽇々を楽しむ
到達点がないから挑戦し続け、
年間250⽇フィールドに出て試⾏錯誤を繰り返す。
プロとして釣り⼀本でやるなら誰もが知っているオカッパリ⽇本⼀の場所で名前を上げたい。そんな思いから霞ヶ浦をホームに選び、⽣活の中⼼をフィールドに置いています。当たり前ですが、釣りは家にいても上達しませんからね。とにかくフィールドに出て実践あるのみ。時間があれば必ず釣りに向かい、今でも年間250⽇以上はフィールドに出ています。霞ヶ浦の広⼤なフィールドは毎⽇新しい発⾒をくれます。そこに⾝を置き、毎⽇のようにバスと知恵⽐べをすることで、知識が深まりますし、新しい技術も試せるんです。バス釣りの魅⼒は、⼤きな⿂を釣ることだけではありません。バスは賢い⿂で、その年その年で釣り⽅を変えなければ通⽤しない。「バスと⼈間の知恵⽐べ」がとても⾯⽩いんです。同じフィールドでも、甲殻類を⾷べるバスもいれば、⼩⿂を⾷べるバスもいる。その個性が本当に⾯⽩い。知恵⽐べの第⼀歩は、バスがどこにいるのか考えて、とにかくフィールドを歩き回る。それが⾃分の釣りスタイルで原点でもあります。初バスを釣るまでに5年もかかったことで⽣まれた、バスという⿂に対する強烈な憧れと執着⼼が、プロの釣り師としての⾃分の強みだと思っています。これだけ毎⽇のように釣りをしても、どれだけの経験を積んでもバス釣りにゴールはない。だから楽しいんです。ちなみによく聞かれますが、いまのところ、バス以外の釣りはやっていませんし、今後も始める予定はありません(笑)。
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釣り具の⼀部と表現する、完全釣り仕様にカスタマイズされた愛⾞とともにバスを求めて霞ヶ浦を⾛り回る。
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早朝からの釣り後には、定番のらーめん屋で⾄福の⼀杯をいただき体⼒を回復。
『夢』という⾔葉は使わない
夢ではなく⽬標を積み上げて成⻑していく。
そして、⼀度きりの⼈⽣をバスに捧げる。
今後の目標は、雑誌『ルアーマガジン』の企画「陸王」でトップになること。これはオカッパリのバスフィッシングで日本最強を決める人気企画で、サラリーマンを辞める時に、「⼀度きりの⼈⽣だしやりたいことをやり切りたい」と決⼼して掲げた⽬標です。夢ではなく⽬標として掲げているのにも理由があり、意識的に『夢』という⾔葉は使わないようにしています。夢は達成しなくても頑張った⾃分に満⾜してしまい、途中で⽬的がぼやけてしまうし、叶えたら終わってしまう。⽬標は達成しても次々に積み上げていけるし、夢と⽐べて具体性が求められます。何をクリアしていくべきか、次に何をするべきか。やるべきことの解像度がハッキリしていないのが好きじゃないんです。「できなかったけど、昔はこういうのが夢だったんだよね」とできなかった⾃分を認めてしまうのが悔しいですし、⾃分には釣りの才能があるとは思っていないので、そこの信念を強く持ちたかったんです。
もうひとつの⽬標は、バスフィッシングの楽しさを伝えることです。釣りは楽しくなければ意味がない。誰よりもバスを釣ったときの喜びを知っているかからこそ、この釣りの魅⼒を発信していきたいです。とくにオカッパリの魅⼒は、⼦供から⼤⼈まで誰でも楽しめること。プロ野球選⼿と⼦供が同じフィールドで戦うのは難しいですが、オカッパリならそれが可能なんですよね。 ⾃分は5年間もバスが釣れなかったけれど、諦めずに続けました。その結果、今ではプロとして活動できています。たとえ今は釣れなくても、諦めずにキャストし続けたら、いつかプロアングラーと同じフィールドで⼀緒に戦える⽇が来るかもしれません。誰でもいつでもヒーローになれるチャンスがある。だからオカッパリのバスフィッシングはやめられないんです。
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釣りを楽しませてもらっているフィールドへの感謝を忘れず、⼤切な釣り場を保全するために⽬についたごみは拾う。
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地域との関りも⼤切にしており、住⺠の⽅や、常連の釣り師たちには積極的にコミュニケーションを⾏う。