生井澤 聡 生井澤 聡

へらフィールドテスター

HERA FIELD TESTER

へら

生井澤 聡

Satoshi Namaizawa

生井澤 聡

1973年2月18日 千葉県在住
年間300日以上をフィールドで過ごし、各メディアを通じてへら鮒釣りの魅力を発信し続けるへら鮒界のニューリーダー。高い釣りの技術に加えてタックルに関する造詣も深く、各種開発にも寄与している。龍生会(会長)、ワイルドクラブ(会長)。

SPECIAL INTERVIEW

スペシャルインタビュー

しあわせの循環。

地域も釣り人も、しあわせにする。
へらぶな釣りを通して叶える持続可能な関係性。

生井澤 聡

へらぶな釣りの魅力

生井澤 聡

5歳から100歳までできる。日本全国どこでも釣れる。
へらぶな釣りは「みんなの釣り」。

年間300日以上、ほぼ毎日と言っていいくらいの頻度で、へらぶなと向き合っています。長いことそんな生活を続けていますが、小学生の卒業文集で「へらぶな釣りのプロになりたい」と書いてから一向に飽きることがないし、相も変わらずこの釣りは面白い。自分にとって、釣り場が職場みたいなものなので、サラリーマンの人たちが一生懸命オフィスで働いているのと同じような感覚かもしれません。釣ること以外では、製品開発、メディア出演、専門店のアドバイザーや釣りクラブの運営など、幅広いスタンスでへらぶな釣りに関わっています。へらぶな釣りの魅力は、「誰でもできる」という点。道具を揃えるのが比較的簡単だし、釣り方も超シンプルだから小さな子供でもできる。また、釣れる場所も様々で、おかっぱりからやってもいいし、ボートを出してやってもいい。海がない県や都会でも地方でも、日本中どこでも気軽に釣り場を見つけることができて、それが一年中楽しめる。まさに、誰も取り残さない「老若男女」の釣りなんです。自分は5歳からへらぶな釣りをやっていますが、100歳までできる釣りだと本気で思っています。人生100年時代に、いちばんマッチする釣りなんじゃないかな。

  • 生井澤 聡

    湖面に差し込む光に包まれて竿が美しく弧を描く。それだけでも絵になる。

  • 生井澤 聡

    自身が手掛けるへら竿を携える姿は、名刀を引き抜く侍を彷彿させる。

釣り師と地域の理想的な関係

生井澤 聡

「自分だけが楽しい釣り」なんて存在しない。
大好きな釣り場を、いかに守り続けていくか。

湖面に薄っすらとかかる朝靄や、山間から神々しく差し込む陽光。自分が行く釣り場は本当に美しい場所が多いです。それぞれの釣り場の近くには民家があり、学校があり、そこで暮らす人たちがいます。行きつけの船宿には、愉快な常連さんたちがたくさんいて、店主とも家族のように仲良くさせてもらっています。自分たちはある意味、地元の人たちの生活圏のなかで釣りをさせてもらっているわけなので、楽しく釣りをさせてもらう以前に、「地元のマイナスにならないこと」が大前提にあるべきだと思っています。釣り場にゴミが残っていると、釣りそのものにネガティブなイメージがついてしまうこともあるので、「釣り場にゴミを持ち込まない」「釣り場のゴミを減らす」をモットーに、自分が運営している釣りクラブではゴミ拾いを慣行し、エサ袋や仕掛けなど釣りで出たゴミはもちろん、釣り場周辺のゴミも拾って持って帰るようにしています。それは決して、格好つけて言っているとかではなく、大好きな釣り場や船宿さんに、自分がずっと通い続けたいから。気持ちよく釣りができる環境を守り続けていくこと。釣り具メーカーとしてDAIWAがそういうメッセージを今後も発信し続けていくべきだと思うし、それをさらに浸透させていくのが、テスターとしての自分の役目だと思っています。

  • 生井澤 聡

    釣り場では、釣り人だけでなく地元住民にも声をかける。誰にも壁をつくらないのが流儀。

  • 生井澤 聡

    馴染みの船宿でのワンシーン。出船前に交わす常連客との談笑で空気が和み、その日の釣りがもっと楽しくなる。

釣ること以外にある喜び

生井澤 聡

真の醍醐味は、釣りの時間を通してしあわせを循環させていくこと。

自分、こう見えて甘いものが大好きなんです。釣りの帰りには必ずと言っていいほど道の駅に立ち寄って、その土地にしかない美味しいものを食べ歩いています。旬の果物、ご当地バームクーヘン、郷土菓子、話題のスイーツなど、いろいろと食べ歩くうちに、関東圏の道の駅はすべてコンプリートしたんじゃないかな。地元の人たちに支えられているからこそ自分たちは釣りができているので、少しでも地域に貢献したいという思いが強いです。へらぶな釣りは季節ごとに釣り方が変わっていくので、果物や農作物の旬が、釣り方の変化ともリンクしているんですよね。例えば、道の駅にブドウやトウモロコシが並び始めたら、夏の釣り「深宙(チョウチン)釣り」を始めたり、柿の時期になれば、秋の釣り方に移行したり。草餅の美味しい季節なら、この釣り方だなとか、そんなふうに考えると面白いですよ。やっぱり釣りの楽しさって、「釣りを含めた一日」にあると思うんですよね。それは、地元の人たちや常連さんたちとの会話だったり、家族へのお土産探しだったり、地元のスイーツを味わうひとときだったりも含めたすべての時間。釣った、釣れなかったってことに一喜一憂するのも釣りの面白さのひとつではあるけれど、自分にとってはそれよりも家族や仲間や地元の人たちが喜んでくれることこそが最高の瞬間なんです。へらぶな釣りの一日を通して、その地域のことがもっと好きになる。そして、釣り場やそこで暮らす人たちの頑張りに、もっと貢献したくなる。そんなへら師が増えることを願って、これからもへらぶなと甘いものを追い求めていきたいと思います。

  • 生井澤 聡

    旬を迎えたトウモロコシを選ぶポイントは、頭部のヒゲの色。そんな知識が釣りの道中をもっと楽しくしてくれる。

  • 生井澤 聡

    大好物の草餅を頬張ると、いつもは鋭い釣り師のまなざしも、思わずほころぶ。