ダイワアングラー
磯フィールドテスター
ISO FIELD TESTER
磯
SPECIAL INTERVIEW
スペシャルインタビュー
夢を叶えるためのレシピ。
その遠回りが、夢を一層強くした。
料理人と釣り具販売員のアンテナで進化する王者の歩み。
田中 貴
テスターへの道のり
子供の頃からの夢を諦められなかった。
いくつもの転機を経てたどり着いたテスターとしての現在。
子供のころから「テスター」という職業があるのは知っていました。そのなかでも特に憧れていたのが、圧倒的に強かったDAIWAのフカセ釣りテスター山元八郎さん。「いつか釣りのテスターになってみたいなぁ」と漠然と思いながら釣りは趣味として続け、高校ではボクシングに打ち込む日々。高校3年生のとき、進路相談で先生に「釣りのプロになりたいのですが、どうしたらなれますか︖」と聞いたら、親切に問い合わせてくれたんです。その結果は、「そんな就職先はなかったよ」と…。いったんテスターの夢は傍らに置き、高校卒業後は料理人になることを目指して上京しました。料理の専門学校でイタリアンの修行を積み、専門学校を出た後は地元の熊本に帰って店を出したいと思っていました。将来のことを考えていたとき、ふとまた「やっぱり、テスターになりたいなぁ」という思いが再熱したんです。大会で結果を出すのが近道だと考え、平日は飲食店で働きつつ、土日は大会出場を繰り返す日々を過ごしました。飲食店の勤務シフトだと土日がなかなか釣りに使えなかったため、土日が休みの会社に転職。その後、DAIWAマスターズで優勝することができ、テスターになる夢を叶えました。遠回りしつつも、あきらめずに夢を追い求め続けたことで今の僕があると思っています。
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自宅のクローゼットには、歴代の勝負服が眠る。なかでも「白」は田中テスターの勝色だ。
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DAIWAグレマスターズでの優勝は7回を数える。今ではトップアングラーとして磯釣りを牽引する存在に。
販売員視点で得られるもの
感謝も進化も、この場所にいるからできること。
トーナメンターの僕が店頭に立ち続ける意義。
週に1回以上は必ず釣りに行き、体力や感性を維持するように心がけています。僕のトレーニングは磯に行くこと。磯に立つだけで下半身を鍛えられますし、ロッドや撒き餌杓を振り続けることで腕力もつく。右手の親指の付け根付近にある通称「コマセ筋」はヤバいくらいに発達しています(笑)。普段は釣り具店で働いていて、週5日は店頭に立っています。商品の仕入れや棚卸、接客が主な仕事内容です。お客さまは馴染みの方々ばかりで、僕の活動を見てくださって「動画観たよ︕」とか「優勝おめでとう︕」とお声がけくださる方も。本当に感謝です。釣り方について聞かれることも多く、そういう時はなるべくシンプルに伝えるように心がけています。後日そのお客さまから「おかげで釣れたよ︕」と言ってもらえるとやっぱり嬉しいですよね。また一方で、お客さまとの会話のなかで気づいたことを磯で試してみて、それが僕の新たな引き出しになり、トーナメントの戦いのなかで活かされることもあります。あらゆるところにアンテナを張り、常に自分を進化させていきたいと思っているので、トーナメントでも勝ったときよりも負けたときのほうが学ぶことは断然多いです。何匹釣るか。どれだけ大きいのを釣るか。フカセ釣りはゴールがひとつじゃないからこそ、何度も磯に足を運びたくなるんです。
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常にお客さまの流れや反応をチェック。店内全体を見渡す姿は、まるで磯での立ち姿のよう。
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スタッフ間のコミュニケーションは最重要。市場動向をもとに店頭在庫や仕入れ状況を確認しあう。
料理人であることの財産
釣りと料理の共通点は「効率」。
両腕が上手く使えるのも料理人時代のたまもの。
「このサイズでこんなに引くのか︖」というくらいパワフルなグレは、反面警戒心が強いため、細い糸で「効率良く釣ること」が重要。釣れる確率が一番高い方法をどれだけ多く知っていて、「このケースならこう」と状況ごとに最適解を瞬時に選び出せる「必勝レシピ」のようなものを持っておくと強いです。料理においても効率は最重要。「美味しくなる確率」が一番高い方法をいかに効率よく実行できるか。仕込み、手順、道具の手入れなど、細かいことに手を抜かない丁寧さが効率の良さにつながり、結果として味の良さを生み出します。 料理をやっていて良かった点でいうと、左手にはフライパン、右手には包丁と、両手に商売道具を持つ環境にいたからこそ、釣りでも自然と両腕が上手く使えるようになったこと。フカセ釣りはロッドと撒き餌杓の両方を扱いながら釣りをするので、両腕を上手く使えると有利なんです。また、料理の経験はコマセにも活きています。コマセは水の量やこね方など、料理でいう仕込みに近い作業なので、毎回フレッシュな状態でほぼ同じ味を再現できるというのは料理をやってきた僕の武器かもしれません。
憧れの山元八郎さんが達成したDAIWAマスターズ8回優勝という記録をいつかの日か超えられるよう、釣り以外の道で得た経験をスパイスにして、これからも自分に満足することなく進化し続けて行きたいと思います。
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シェアすることが多いイタリアンは360°視点で盛り付け。多角的にものを見る習慣はここから身に付いた。
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修行時代に使っていた名入りの包丁を今も愛用。一太刀入れるたび、綺麗に拭いて使う徹底ぶり。