岩崎 林太郎 岩崎 林太郎

ソルトウォーター ショア フィールドテスター

SALTWATER SHORE FIELD TESTER

ショア

岩崎 林太郎

Rintaro Iwasaki

岩崎 林太郎

1983年10月6日 大分県在住
尺メバルハンターとして名を馳せるライトゲームのエキスパート。『りんたこ』の愛称で親しまれ、多くの経験に裏打ちされた、わかりやすいテクニック解説で定評がある。メバルの最高釣果は一晩で尺越え86匹。自己最高記録は40.5センチ。

SPECIAL INTERVIEW

スペシャルインタビュー

釣りは「かえる」場所。

自分にとっての原点回帰であり、厳しさの突き返しでもある。
釣りと生きてきたメバルハンターの原風景と青写真。

岩崎 林太郎

釣りとの出会い

岩崎 林太郎

3歳にして、ヒットの衝撃とリリースの精神を学ぶ。
釣りはつねに遊びの中心にあった。

僕がはじめて釣りというものを知ったのは3歳のときでした。両親に聞くと、釣り番組「THE フィッシング」を見て、「僕もやってみたい!」と言い出したらしいんです。そのあとすぐに、料理屋をやっていた祖父に近くの堤防に連れて行ってもらったのを覚えています。延べ竿に小さい30円くらいの玉浮きとガン玉をつけて、餌はゴカイだったかな。竿がグングンしなる感覚を全身で感じながら、無我夢中で釣り上げた瞬間は「この世界にこんなに面白いものがあっていいのか!」と電撃が走るくらい衝撃的でした。今思えば釣れたのはメジナだったと思うのですが、当時の絵日記には「クロダイがつれました」みたいに書いてあった(笑)。家に持ち帰って釣れた魚を祖母に見せたら、「こういう魚はいつか大きくなったらまた会おうねって海に返してあげるんだよ」と教えられて、堤防まで逃がしに行きました。これが初めて釣った時の思い出です。
小学校に上がる頃には、釣り具屋さんに一人で通うようになっていました。そこで友達がたくさんできて、みんなでいろんなところに釣りに行きましたね。当時は僕より釣りが上手い子はたくさんいたし、今考えると地元大分県の釣りレベルは高いなって思います。毎週のように店に集まっては、釣った魚をみんなで自慢しあう日々。釣りという遊びが何より一番楽しい。そんな少年時代を過ごしていました。

  • 岩崎 林太郎

    よく釣りをした地元の港にて。少年時代は、釣り場が遊び場だった。

  • 岩崎 林太郎

    りんたこの原点とも言える地元の釣り具屋「つり天狗」。再会した店長との会話に花が咲く。

りんたこを生んだ原風景

岩崎 林太郎

釣れた瞬間に生き返る。釣れない現実に突き返される。
ふたつの「かえる」に成長させられた少年時代。

馴染みの釣り具屋の店長が僕たち釣り少年の釣果写真を残してくれていて、レジ台のシートに挟んで飾ってくれていたんです。中学生の頃、塾の帰りに釣ったデカいシーバスの写真をなるべく目立つ位置に来るようにこっそり動かしてたなぁ(笑)。学生時代、うまくいかないことがあったりすると、ただボーっとしながら近くの海や川で釣りをしていました。いいアタリがあるとモヤモヤしていたことが一気に吹っ飛んで、その瞬間に生き返る感じがするんです。最近よく思うのですが、ヒットして魚とやり取りをしてる時に「あ、このために生まれてきたんだな」って。僕にとって釣りは、自分を蘇らせてくれる存在。息を吹き返すというか、本来の自分を取り戻すというか、その感覚は今もずっと変わりません。
一方で、ダメな時は容赦なく「突き返される」というのも釣りの醍醐味。釣れると思って糸を垂らしてみても全く反応しないこともよくあります。自分が運営しているYouTubeの企画でも、ロケ1日目、2日目と釣れない時の厳しさに突き返されるからこそ、「3日目に絶対釣ってやるぞ!」とスイッチが入るんです。「自分に返る」ことも「現実に突き返される」ことも、両方が釣りの面白さだと僕は思っています。

  • 岩崎 林太郎

    まだあどけなさが残る14歳のりんたこ。店長が残しておいてくれた貴重な1枚だ。

  • 岩崎 林太郎

    昔懐かしい釣り具に出会えるレトロな店内は、まさにタイムマシーンのような空間。

発信者として描く未来

岩崎 林太郎

プロフェッショナルな志とカジュアルな遊び心の両輪で
釣りの魅力を開拓しつづけていく。

プライベートではよくキャンプに行きます。アウトドア好きの父親の影響で、火おこしやブッシュクラフト的なことは昔からやってきました。テンカラ釣りを教わったのもキャンプ場でしたね。僕のなかでは、「海=仕事としての釣り」「山=プライベートの釣り」という感覚なので、海から山に向かうにつれてオフの気分になるんです(笑)。今でもキャンプで余ったお米や麺などでカワムツやハヤを釣ったり、それらを餌にした「わらしべ釣法」でウナギを釣ったりして、型にハマらない自由な釣りの楽しみ方を日々模索しています。
自分を釣りに導いた「THE フィッシング」に出演できるようになってから、釣りの魅力を発信することのやりがいをさらに感じるようになりました。地元でYouTubeの撮影をしていると、「りんたこさん、動画見よるけんね!」とみんな声をかけてくれますし、そんなふうに情報発信を通して釣りを好きになる人や釣りが上手くなる人が増えたら最高だなって。そのためにはまず、「未開の地でのメバル釣り」や「難しい状況下で尺メバル釣り」などを通して、メバル釣りの魅力をアップデートし続けること。そして、「プロフェッショナル×ゆるさ」をハイブリッドさせた僕らしい探求の仕方で、釣りの楽しみ方をもっと面白いものに「変える」こと。本気と遊び心を忘れず、魚に対して謙虚に向き合っていきたいですね。これからも時々突き返されることがあると思いますが(笑)。

  • 岩崎 林太郎

    川のせせらぎを聞きながら飲む朝のコーヒーは格別。釣らない時間のリセットも時には必要。

  • 岩崎 林太郎

    いつか「釣りを楽しめて美味しいコーヒーが飲めるキャンプ場をつくる」のが、りんたこのひそかな夢。