オニカサゴ Vol.1
ジッと待って捕食する忍耐のサカナ
船釣りのターゲットのなかでめちゃ旨釣り魚のベスト3に入るであろうオニカサゴ。しかし、このサカナを釣ろうとすると、水深100mから150mとかなり深いところを釣ることになる。
船釣りのターゲットのなかでめちゃ旨釣り魚のベスト3に入るであろうオニカサゴ。しかし、このサカナを釣ろうとすると、水深100mから150mとかなり深いところを釣ることになる。釣り人の言うオニカサゴは、イズカサゴ(少し前まではニセフサカサゴと呼ばれていたが、標準和名としてはイズカサゴという名で統一された)、フサカサゴ、コクチフサカサゴ、これら3種の混称。イズカサゴのことを本オニと呼ぶことが多い。(実はやや南の岩礁帯やサンゴ礁域などにはオニカサゴという名のサカナがいて、そのサカナの名と混乱しやすい)このイズカサゴは、ふだんは前述のような深いところにいるが、ボクは一度だけ伊豆大島の水深30mで見かけたことがある。いろいろと調べてみたのだが、これぐらい浅い場所で見られたのはかなり珍しいことだそうだ。そのときのことを今回は記してみよう。


まず見つけた場所は、なだらかに深みに落ちる砂地の斜面。やはり潮通しの良い場所だった。ぽつんと海底に、ちょうどメロンぐらいの大きさの石が落ちていて、その傍らでじっとしていた。こんな場所で待つと、小魚が潮に押されたり回遊してきてくるのだろう。たぶん、潮の流れがこの石に当たって微妙に変化し、小魚でもこの場なら留まれるような場所となりやすい。そのことを経験的に知っていての待ち伏せのはずである。ボクが写真を撮ろうと近づいてもまったく微動だにしない。ボクも調子に乗ってどんどん大胆に近づいていき、カメラのレンズがぶつかるぐらいまで近づいても逃げなかった。きっと少しでも動けば、エサとなる小魚や甲殻類などに気どられてしまうことを本能的に知っているのであろう。とにかく「石化けの術」よろしく、本当に自分が石であるかのように忍耐強くじっと待っていた。恐らくこんな待ち方をしても、実際の海では小魚が自分の目の前に泳いでくるには相当の時間を待つ必要があるはずである。とにかく小魚たちが巡ってきそうな場所でひたすらじっとして待ち続ける。だから自分自身がほとんど動かず、きわめて低燃費にしてエネルギーを保持し、目の前にチャンスが展開することを待ち続けているのである。どのようにエサを喰うかまでは、このとき見ることができなかったが、今までオニカサゴ釣りを何度もやった経験から、エサの動きを目で追い、射程距離内に入るまでひたすら待ち、一瞬の素早い動きでまず一度エサをくわえ、それから飲み込む。どちらかというとややヒラメの捕食方法に似た喰い方なのではないかと推測される。ただ、ヒラメとの決定的な違いは、歯である。鋭い歯を備えたヒラメと違い、オニカサゴの場合はザラザラとしたヤスリのような歯が口の縁にあり、これが小魚などにひっかかって捕食率を高める仕組みになっている。

猛毒の棘は背ビレにある
※釣魚考撮より移設