メジナ Vol.2
浮きグレ(メジナ)の秘密を見たり!
メジナほど狡賢いというか、性格の読めないサカナも珍しい。基本的にメジナは臆病なサカナ。ところが、ある時点でスイッチがはいってしまうと大胆な行動に出て、エサを独占して喰いまくる。
水面に300~400尾というメジナが群れていた。まるで酸素が足りないときの金魚のように水面で口をパクパクとしている。「浮きグレだっ!」
「やっと水中で見ることができた!!」思わず興奮していた。12月上旬、ちょうどこの日、ボクは伊豆のとある海域に潜っていた。地元の情報では、この辺りにタカベとイサキの大群が居座っていて、とにかく海の中がサカナの壁になっているということだった。そんなに凄いなら、写真に撮っておこうということで出かけたのだった。ところが、海の中に入ると、確かにタカベはいたのだが、とても壁と言えるほどの群れではなかった。小さな群れがあちこちに分散していて、疎らという感じ。イサキは情報のカケラもない状況で、2時間あまり潜って探したものの、たったの5尾しか見ることができなかった。釣りでも良くあることなのだが、昨日までの状況がコロッと一転する。昨日爆釣だったという情報でその釣り場に行っても、翌日はボウズをくらったりするもの。とはいえ、今回のタカベとイサキの大群情報は3週間近くも続いた話で、コロッと変わる話でもなかったはずだし、何か海が一変するような強い風が吹いたとか、荒れたということでもなかったのだ。
なぜか浮きグレは逃げない
とにかくひたすらタカベの大群を探し、海の中をさまよった。もうボンベのエアーも残り少なくなってきて、ほぼ諦めの状態のときに神は手を差し延べてくれた。海底のゴロタ石が進行方向左側に見えてきた。その先で何かの群れが水面付近でモヤモヤと動いている。30mほど離れているので、その何かがわからない。色が地味で、下から見上げる水面に溶け込んでしまってなんであるかが識別できない。でも、何かが群れている。好奇心旺盛なボクは、それを確認しに近づいていった。だんだん、その相手が何かが見えてきた。「メジナだっ!」


「しかも浮きグレっ!!!」「やっと水中で出会えたぞっ!!!!!!」ボクは興奮しながら、すぐさま撮影態勢に入った。メジナのサイズは40cm前後。良型揃いである。その数、ざっと300とか(?)、400尾(?)の感じ。ゴロタ石のところにも何尾かのメジナが泳いでいるのが見えたが、浮きグレ部隊はまるっきり別の行動をしていた。群れの先頭の集団は、酸素不足の金魚のように水面で口をパクパクとしている。後に続く部隊は、そばについているだけ。群れはお互いにカラダを寄せ合っている感じで、かなり密集していた。静かに息を潜めて群れに近づく。普通の状態のメジナなら、メジナから4m以内に近づけることはほとんどない。とにかく警戒心が強く、不審な相手に対しては決まった距離をとって行動する。もしメジナに近づけるとしたら、コマセを貪り喰って、我を忘れたときぐらいである。なのに、この浮きグレ状態のときはなぜか近づくことができるのだ。
浮きグレのときエサは喰うのか?
磯でメジナ釣りをしていると、沖目やときにはかなり近いところで浮きグレを見ることがある。こんなとき、ついつい仕掛けをこの浮きグレの中に投入してしまう。結果としては、入れ喰いのように喰ってくる場合と、まったく口を使わない場合とに分かれる。それがどういうことなのかはわからない。ただ、今回見ていた限りでは、このときのメジナは何かを喰っていたのか、または産卵準備の行動のように見えた。まず見えないものを喰っていたというと変に聞こえるかもしれないが、もしかしたらプランクトンかなにかを喰っていたのかもしれない。特にこの時期は産卵するサカナも多く、その多くが浮遊卵。それを喰っていたとしたら、それはそれで納得がいく。だが、ボクの経験では、浮きグレの現象は特にシーズンに限りがあるようにも思えない。となると、エサを喰っている行動と断言することもできないだろう。ただ仕掛けを入れて喰ってくるのであれば、それは摂餌(せつじ)行動と考えてもいいのかもしれない。もうひとつ考えられるのは、産卵準備の行動だ。確かに浮きグレ状態は、明らかにいつもの彼らの行動とは違うものがある。何かの目的で群れるとすると、普通に考えられるのが産卵行動だ。この日見たのは口太メジナ。正式名称メジナ。このサカナの産卵期は一応、学術的には冬場とされている。ということは、産卵準備という考え方も確かにある。だが、産卵はほとんど夜間行なわれるものであり、いくら準備とはいえ、昼間に海面近くにいるというのもやや不自然だ。

では、一体何のために?
※釣魚考撮より移設