イシダイ vol.1
王者の風格と謎多き生態!
また、イシダイ釣りの世界では、なかなか釣れない幻の大物釣りというイメージが強く知れ渡ったりもしています。でも、実際に海に潜ってみると、信じられないほどの大物がごくごく近場でいくつも見られ、けっしてイシダイの数が激減したという理由で幻のサカナになっているわけではなさそうです。
人間社会でも、イケメン俳優がもてはやされますが、サカナの世界でも釣り師にとって、見てくれは大いに影響するようです。特にイシダイは、その姿かたちに威厳があり、サカナの中で王者を選ぶとすると、ベスト5の中に必ず入ってくるでしょう。また、イシダイ釣りの世界では、なかなか釣れない幻の大物釣りというイメージが強く知れ渡ったりもしています。でも、実際に海に潜ってみると、信じられないほどの大物がごくごく近場でいくつも見られ、けっしてイシダイの数が激減したという理由で幻のサカナになっているわけではなさそうです。さて、磯の王者イシダイはどんなサカナなのか、いくつもの観察例を挙げてみることにしましょう。
学習能力に長ける賢いサカナ

産卵期は6月(関東地方)
イシダイはエサ盗りを追い払わない


よく、イシダイの本命が来ると、それまで盛んにエサ盗りがエサを盗っていたのに、エサが盗られなくなると言われます。たしかに本命が釣れる直前辺りから、エサは残るようになります。釣り師はほぼ全員、これはイシダイがエサ盗りを追い払うためだと言います。これもボクが実際の海での観察からお話しすると、イシダイはエサ盗りを積極的に追い払うようなことはしないようです。どちらかというとエサ盗りとエサ場を共有するような感じです。しかし、やはり大きなイシダイが寄ってくると、エサ盗りの方がその場をさっと明け渡すような行動を取ります。このことが、おそらく釣り糸を通してすべてをイメージしている釣り師にとっては、エサ盗りをイシダイが追い払っていると感じられるのでしょう。ただ中には「やんちゃ」なエサ盗りもいて、イシダイの隙をついてエサを喰おうとする謀反者がいます。それはたいていカワハギかキタマクラなのですが、そんなときはさすがにイシダイも怒りをあらわにします。ちょうど犬が怒る時に上唇がめくれるように、イシダイも嘴を露出させて、その相手に噛み付くような行動を取ります。そんなとき、そのちょっかいをだしたエサ盗りは、大慌てで逃げますが、相手が深追いしないことを知っていて、またその近くに潜伏しています。イシダイもエサによって喰い方は異なります。ガンガゼは前述のように裏返しにして一撃。カニはくわえてからバリバリと噛み砕きます。サザエは、くわえてから引っ張るようにして喰っていました。エサによってアタリの出方も違うはずで、アワセのタイミングも違うはずです。学習能力が高く、またエサによって喰い方も異なれば、アワセのタイミングも変わる。これだけでも十分に釣り上げるのがきわめて難しいサカナであることが理解できるでしょう。
※釣魚水中生態学入門より移設