「僕のやりたいことを叶える、
もうひとつの未来の愛機。
夢の続き、まだまだ見てみたい」
Kさん(42歳)
地元・福岡県北東部の河川や港湾部をホームグラウンドに、玄界灘の離島などにもアグレッシブに繰り出すローカル・スペシャリスト。愛機はIMZリミットブレイカー TW HD-C。座右の銘は「釣りはまず妻のご機嫌伺いから始まる(笑)」。積極的な家事と育児は事欠かさないことがキモだという。北九州市在住、一児の父。42歳。
「重いルアーは飛んで当然。
軽量でもぶっ飛ぶのが『100』」
「さっきちょっと上流で1本釣ってきたんですよ。サイズはソコソコです、60くらい」。
そこは福岡県北部を縦断する大河川・遠賀川の支流、西川。下流域に河口堰が存在しない完全なるタイダルリバーは果敢に流れを生み出し、岸際にはテナガエビ、沖にはイナッコの群れがそこかしこに見える。
この豊かな資源を育んでいる河川を始め、北九州エリア全域の各フィールドをホームとするのが、Kさん。我々と出逢いの日は真夏。朝から35℃を超す猛暑日ながら、笑顔で迎えてくれたのだった。
その手には9ft.1in.のヘビーロッドに、PE1.2号を200メートルほど仕込んで組み合わせたリール『IM Z TW100-C』。モニターに当選して手元に届いてからおよそ2カ月の間使い込み、日々そのポテンシャルの高さを噛みしめているのだという。
まずファーストインプレッションはどうだったのか。そこから訊いてみたい。
「元々『IMZリミットブレイカーTW HD-C』を使ってきたので、正直な話、『100』でも当然遠投できるんだろうなってのは想像できていました」。
2oz.クラス以上のビッグベイトを主軸に、ダイナミックなシーバスゲームを共に楽しんできたリミットブレイカー。一方、チニングなどのライトゲームはSTEEZ AⅡ TWが担当。DAIWAリール2台体制がKさんの日常だったという。
「『100』にはPE0.6号からPE4号まで入れて、チニングからビッグベイトまでいろいろ試してきました。そんな中で、明確な差を感じたのは軽いルアーを投げた時ですね。大きくて重いルアーって、どんなリールでも飛んで当たり前だと思うんですよ」。
10g前後やそれ以下の軽いルアーを投げた時にこそ、Kさんは衝撃を覚えた。
「“抜け感”が本当にスゴいなと。飛ばした後、スプール回転数が頂点に達した時に一瞬ブレーキがかかるや即座に緩んで、飛距離が伸びていく。もう“ひと伸び”って言うのかな。それは軽く投げるショートキャストの時に、特に強く感じますね。STEEZ AⅡTWのMAGFORCE Z BOOSTだと、稀にインダクトローターが出ないこともあるんですよ。だからブレーキを強めに設定したりすることもありました。けど『100』ならブレーキ設定はほぼ固定で、ピッチングもフリップキャストも、それこそバックハンドでもトラブルなく飛んでくれる」。
言うなれば、これまでの2台体制を1台でも全てこなせるのだという。そこが「100の強み」なのだと梶原さんは力説した。
「ちょっと飛び過ぎるんで、ルアーを替えていいですか?」。
川幅はマップ上での計測で約80m。Kさんが狙う対岸の橋脚までは少なく見積もっても70mはある。それまでリーダーの先に結んでいた大型トップウォーターでは、対岸の護岸へ軽々と到達してしまう。そこで小型メタルバイブへとスイッチするや、何と即座にロッドが弧を描いたのだ。イメージカット撮影のつもりで訪れた真夏の日中フィールドで、まさかまさかの劇的釣果に現場は大いに沸いたのだった。
「もう1投だけ、いいですか?」。
無論、1投だけで済まないことは我々も承知済み。モニター終了後の返却時期まで残りあとわずか。心ゆくまで『100』を楽しんでいただくことにした。
「リミットブレイカーのスプール径はΦ38mm。
Φ34mm、『100』の底力を確かめたかった」
「応募のきっかけはInstagramからです。釣り系のアカウントばかりフォローしているので、時にはプロモーション系の記事も流れてくることもあって…そういうのって、いつもは飛ばしちゃうんですよね(笑)。でも、ある時『ん? これは何だ!?』と」。
そこには『みんなでIM Z モニターキャンペーン』の文字。今後発売を予定する新製品IM Z100TW-Cのプロトモデルを事前に試すことができるという異例の記事だった。その募集要項にあった『我こそはベイトキャスターの皆様』との文言に、Kさんの食指はピクリと動いたのだという。
「僕はベイトリール歴が長いんですよ。元々バスフィッシングから釣り歴が始まって、今でこそ“ベイトシーバス”って言葉が存在しますけど、その遥か前からシーバス釣りでベイトを使ってきたという、僕なりの自負があります。もちろんスピニングにもメリットはあって、流れの中を釣りたい時は細糸の方が裁きやすかったりしますよ。でも、ベイトリールって何より弾道を高くも低くもコントロールしやすいところが好き。リールがロッドの上に付いているので、キャスト時に支点となって振り抜きやすいし、あらゆる操作性が高いのもいいですよね」。
Kさんは元々IM ZリミットブレイカーTW HD-Cのユーザーであることも、モニター応募へ向けて背中を押した。
「そもそも、リミットブレイカーを手に入れたきっかけっていうのは、中学生時代からの信頼できる釣りウマの先輩の影響なんですよ。その先輩はIM Zを2台所有して使い込んでいて、激推ししてくるんですね、IM Zを。
このリールはとにかく基本性能が高くて良いぞ、と。普通、2台も買います?
磯のヒラスズキも行くんですが、キャストアキュラシーが高くて、ルアーの対応幅も広い、ラインスラックも出にくい上にドラグも良い。さらにはブレーキ設定を変える必要がある場面でもリールを見ずにボタンをピッとするだけでいいぞと。周囲を常に眼で監視しなければならない磯のヒラスズキの釣りには絶対に欠かせない機能を備えたリールなんだぞと。
師匠にそこまで言われると買わざるを得ないですよね。で、リミットブレイカーを購入したんですが、実際に使ってこそわかるアドバンテージが本当にありました」。
今やIM ZリミットブレイカーTW HD-CもKさんの欠かせない愛機となっていることは、言うまでもない。
「その慣れ親しんできたリミットブレイカーのスプール径はΦ38mm。一方で『100』のΦ34mmって、どうなんだろう、何ができるんだろうって、シンプルに興味が湧いたのも事実です」。
リニアに追従するドラグ性能
「他に類を見ない劇的進化」
「忖度してるように思われちゃうかもですけど(笑)」と前置きして、Kさんはこう語り始めた。
「仲間内でよく話題になるのが『DAIWAって、ユーザー寄りだよね』って。こうだったらいいよねって考えていたことを早いタイミングで出してくれる。例えばSTEEZ AⅡ TWを持ってる仲間がチニングでもっと飛ばしたいなって、シルバーウルフSV TW PEスペシャルに搭載されているPE専用のSVスプールを入手して使うことができたり。これはほんの一例ですけど『もう群を抜いちゃったんじゃない?』って皆言ってます。
あとはDAIWAのベイトリールのドラグはメチャクチャいいですね」。
「STEEZ AⅡ TWを使い始めた頃から、ドラグが他メーカーのリールに比べてもかなり良くなったなとは感じていたんですよ。それがこの『100』でさらに進化を遂げているなって」。
特にアドバンテージを感じたのは、バチ抜けでのファイト時。北九州市は全国的に見てもそのタイミングが遅く、『100』を手に入れた6月がその時だったという。
「8lb.リーダーで軽めのルアー、柔らかめのロッドに組み合わせて使ったんですけど、ガッと食った時にスッとラインが出てくれて、魚のランが止まればドラグも止まる。そして滑らずにちゃんとポンピングで寄せることもできる。ロッドをしっかりタメた状態で、ドラグが適材適所でしっかり仕事してくれるんですよ。これってメチャクチャ凄いことで、なかなか他ではできないことなんです」。
ドラグの劇的進化に驚きを隠せない。
「それと電子クリック音もいいですよね。通常のドラグってカツカツとクリックが引っかかると思うんですけど、『100』は非常にスムーズな上にチリチリチリと電子音。で、この音もアプリで変えることができるってことにも驚きでした。それはSNS上で他のモニターさんとのやりとりで知ったんですけどね」。
『100』のモニターキャンペーンの取り組みはモニター同士の横の繋がりも生んでいった。
「実はベイトリールビギナーの方こそ使うべきじゃないかと思うんです。」
最後にズバリ、『100』をどんな人におすすめしたいかを訊いてみた。
「バックラッシュしにくいし、どんなルアーでも楽に投げることができる。価格帯を考えると、コアなユーザー層向けという感もありますが、むしろベイトリールビギナーこそ使うべきなんじゃないかなって。他のリール2〜3台分の仕事を1台でこなせるんで、そこは人それぞれの考え方次第だと思いますが」。
Kさんの周囲には近年、スピニング一辺倒からベイトリールへ、それもIM Z系へシフトした仲間も少なくないのだという。
「ソルトで敢えてベイトリールを使っている人って、僕や僕の先輩も含め“変な人”。いや、スイマセン、良い意味で“コダワリの強い人”だと思うんです。そういったアングラーにも強くお薦めしたいです。磯に行ってもいいし、河川や港湾部シーバスの陸っぱりでもいいし、『100』ならボイルに向かって軽いルアーも飛ばせるし。自分のやりたい釣りを高次元で実現できる。自分のやりたいことに付いてきてくれる。そんな釣り道具って他にない。頼りになる相棒。いやリールだから相機ですかね」。
「僕を育んだ『リミットブレイカー』、
釣りの幅を広げる『100』。
IM Zと共に、まだ見ぬ世界を歩んでみたい」。
Ju-Kenさん
Ju-Ken(ジューケン)/ベーシストとして数々の著名アーティストをサポートする傍ら、自身のプロジェクトも精力的に手がけるプロフェッショナル・ミュージシャン。釣り歴はおよそ3年。河川の近所への移住を機にシーバスフィッシングと出会い、今もなお朝の日課として通い込んでいる。愛機はIM ZリミットブレイカーTW HD-C。関東近郊でのバス及びソルトウォーターのライトゲームも守備範囲だ。
『GOOD MORNING,GO FISHING』
「朝の4時から6時の2時間と決めています。猛暑でも朝なら多少涼しくて、風が吹いていれば気持ち良く釣りが楽しめるんですよ。その2時間って、僕の中ではとても大切な時間なんですよね」。
釣りを楽しむ時間帯を尋ねると、Ju-Kenさんはこう答えた。
プロのベーシストとして多忙な日々を送る中、移住を機にシーバスフィッシングと出会ったのが3年前のこと。誰にノウハウを伝授されることもなく、全て独学。時には動画、時にはSNSを糧に、近所を流れる利根川水系の支流をホームグラウンドとして、自然を存分に楽しむことを覚えていったのだという。
「ツアーで全国を回ったり、仕事がよほど忙しくない限り、ほぼ毎日のように近所のフィールドへ通っています。まだ覚えたてで釣りが楽しくて仕方がないってのもありますが、暑かろうが寒かろうが雨が降っていようが、なるべく現場に立っていますね。他の方々より短い時間ですが、日々立ち続けることで見えてくることって意外と多いんですよ」。
タイドを見極めての釣行ではなく、時間帯で区切っての釣行は、現場の様々な顔を見ることができる。
「今日も川に行って、ルアーをキャストした。たったそれだけの達成感ですが、釣りを終えた後は仕事に気持ち良く入り込める。釣れても釣れなくても、僕にとってそこは問題ではないんです」。
釣果だけが釣りの目的ではない。その日の自分だけが得た経験は、必ず今後の血となり肉となるはずだ。
話を訊き込むと、Ju-Kenさんはわずか3年という釣り歴ながら、実に濃密なベイトリール遍歴を辿ってきたことが明らかになっていく。
「何となく」から始まったDAIWAベイトリール遍歴
「元々は遠心ブレーキのベイトリールからシーバスフィッシングを始めたんです。スピニングリールは少年期に父に連れられて海の小物釣りで使ったことはあって、どう使うかは大方わかっていました。一方で、ベイトリールって敷居が高いイメージがあったんですよね。でも、そのベイトリールを使いこなしてこそ一人前というか…憧れもあったんですよ」。
スピニングリールとベイトリール、それぞれのリールのメリットを考慮に入れた選択ではなく、敢えて自らにストイックな道を課した、といったところだろうか。当初は使いこなしに難航したという。
「(遠心ブレーキは)慣れれば飛ぶということはおぼろげながら知っていましたけど、何せ覚えたての頃は感覚が難しくてバックラッシュも少なくなかったですね。そんな時にドラマーの友人が房総半島リザーバーでレンタルボートでのバスフィッシングに誘ってくれたんです。その時、バス用のベイトリールとして何となく手に入れたのが『SS AIR TW』。使ってみれば軽いものでも非常に投げやすいし、トラブルも少ない。聞けば元々の構造が遠心とは異なるマグネットブレーキだと知ったんです。そこからですね、DAIWA製品に眼が向くようになったのは」。
いつしかホームでのシーバスフィッシングにもDAIWAベイトリールの『ジリオンTW HD』を導入。Ju-Kenさんの武器が充実すると共に、トラブルレスな機構と飛びはさらなる釣果にも繋がっていった。釣りと出会ってから1年後、日々のめり込んでいくうちに「気になる存在」に出会うことになる。
そう、『IM ZリミットブレイカーTW HD-C』(以下、リミットブレイカー)との出会いだ。以来、日々の釣行に欠かせない相棒になっているのだという。
「最高峰・最新鋭のIM Zにチカラを借りる」
「『デジタル制御ブレーキって何だ?』と。最新鋭の技術であることは明らかで、その価格から考えてもベイトリールの最高峰なんだろうなと。まだまだウデがない分、その高性能でどれだけ自分の釣りをカバーしてくれるんだろうかと非常に気になったんですよ。仕事柄、最新鋭の機材にはどうしても興味が湧く性分なんですよね。『リミットブレイカー』(=限界を超えし者)って名前にも惹かれました。夢を掻き立てられますよね」。
釣りを始めれば、いずれは訪れるのが見えない壁。自身の限界を突破するために、何が必要なのか。Ju-Kenさんは『リミットブレイカー』に足がかりを求めたのだった。
気にかかるのはやはり12万5000円という価格だ。釣り歴1年ほどで手を出すには、やや勇気がいるところだろう。
「最初は高いなと思いましたけど、毎日のように釣りに出かけているわけで、日割りで考えたらそんなに高い買い物じゃないな…と自分に言い聞かせて買ったという部分もありました(笑)。何より『リミットブレイカー』にはそれだけの魅力があったんですよ。おそらく今後のベイトリール界を席巻していくんだろうな、時代を変えていくんだろうなって期待感もありました。その1歩目をまず自分で体感してみたい。手に入れた理由として、そこが大きいですね」。
いわば、ベイトリール史の生き証人となるべく、まだ見ぬ世界へと踏み込んだのだ。
「デジタルならではの制御感が凄いですね。自分の思い通りに、なおかつトラブルレスに投げることができるのは衝撃的でした。使い込んでいくうちにアプリでブレーキモードが追加されて、そのゲーム性も楽しい。キャンペーンで他のアングラーの飛距離を見ると励みになります。それとこんなに暑い日に自分の心が折れそうになった中でも、皆さん釣りに行ってるんだなぁって知ることができるのも、自分の釣りの原動力になっていますね」。
実機の優れた性能、そしてアプリとの連動はJu-Kenさんの現在の釣りのベースを作っていったのだった。
「『100』が僕の釣りの全てをカバーする」
「IM Zシリーズに小さいのが出るという情報を知った時は心が躍りましたね。SNSで発売前にモニターを募集することを知って、これは願ってもないチャンスだなって。スプール径が変わると、どうなるのかというところにも非常に興味が湧きました」
『リミットブレイカー』のスプール径はΦ38mm。対して『IM Z TW100-C』(以下、『100』)はΦ34mm。ラインキャパシティと回転性能の差で自分の釣りがどう変わるのか。純粋な興味がそこにあった。
「DAIWAさんってチャレンジ精神のある会社ですよね。SNSは他のモニターの方々と比べて釣果画像も少ない方だと思うんですよ。僕の何が良かったのかはわかりませんが、それでも採用してもらえた。そもそもこんな画期的なモニター募集企画はなかなかないですよね。貴重な経験をさせていただきました」。
モニター期間はおよそ2ヶ月。その間、Ju-Kenさんは愛機リミットブレイカーから『100』へと完全コンバートして、日々のホームゲームに勤しんだという。
「より軽く、より手に馴染みやすいコンパクトなフォルムは、取り回しが良く非常に使い勝手が良い。率直な感想です。デジタル制御でよく飛ぶことは既にリミットブレイカーで知っていたので、今さら驚くことではありませんでした。僕のホームはランカーがあまりいなくて50〜60cmクラスが多いんですが、掛けてファイトしてもパワーに何も問題なし。メーター級の魚を掛けてしまった時も難なく獲ることができましたね。
今後『100』はJu-Kenさんにとって、どんな存在となっていくのだろうか。
「惜しむらくは、モニター期間終了で返却した後に、チニングロッドのシルバーウルフを購入したんですよ。
『100』があればちょうどマッチするのになぁと。欲しいですよ、やっぱり。現状の僕の釣りだと、『100』で全てをカバーできてしまうんですよね。そうなるとリミットブレイカーの立場はどうなるのか。愛着もあるのでそう簡単に手放したくない…。今後、青物やサーフのランカーシーバスなど釣りの幅を広げていったら、明確な使い分けができるのかもしれないですね」。
次なる野望に向けて、Ju-Kenさんはアングラーとして新たな譜面を書こうとしている。
「僕を育んだ『リミットブレイカー』、
モニター最多投&最長飛距離をマークした
ルアービルダーの心意気
IM Zと共に、まだ見ぬ世界を歩んでみたい」。
ワカモントさん
ワカモント/トップウォーターを主軸に、バスのみならずシーバスやチヌなどソルトウォーターのルアーフィッシングにも造詣が深いマルチアングラー。歯科技工士を生業とする傍ら、ハンドメイドブランド・WA-KA-S/ワーカーズを主宰。ルアービルダーとしてのキャリアは11年を数える。兵庫県神戸市在住。
自らの道具で獲ったMAX級、淀川の歓喜
オーバーハングの奥へとサイドキャストで鋭いキャストが決まる。ピンスポットへ音もなく着水したのは、自身が手がけたペンシルポッパーチヌトップチューン。そして1〜2アクション、そいつは猛然と水面を割ったのだった。
いつもとは異なる強い引き。鋭い突っ込みに、ロッドは極限まで弧を描く。タックルのパワーを存分に活かして一気に手前へと寄せるも、足下の水中に横たわるレイダウンの存在に気が付く。奇しくも川の流れは強く、カヤックの定位も難しい状態だった。
ヤるか、ヤられるか…。
一時はラインを巻かれ心が折れかけるも、次の瞬間、見事に難所をクリア。ついにネットインしたのはそのフィールドMAX級、実に54センチのバス! キズひとつない体高のある幅広の個体を見つめた時、歓喜の叫びと共に笑みがこぼれたのだった。
「自分で作った道具で獲った1本は、何物にも代えがたい喜びがあります」。
ルアーとロッドは自身が手がけたワーカーズのプロダクト。それらを時に伸びやかに、時に力強くサポートしたのが、『IM Z100TW-C』(以下、100)。自身が作り上げた道具との一体感を覚えたとも言える。
「素晴らしいベイトリールを生み出していただいてありがとうございます!」。
これがワカモントさんのおよそ2ヶ月にも及ぶ『100』のモニター期間でのハイライトシーン。大阪湾へと注ぐ淀川での夏の日の出来事だった。
15,000投で体感した『100』の本領
「軽い気持ちで応募してみたんです。元々IM Zユーザーでもないし、まさか当選するとは思ってもいなかったですね。ありがたいお話でした」。
ワカモントさんは冒頭の通り、トップウォーターを主軸とするアングラー。その釣りは数あるスタイルの中でも、比較的オールドスクールを重視する傾向にあり、最新鋭の、いわばニュースクールとも言えるIM Zとは些かベクトルが異なる方向性だ。
「タックルはすべて知っておきたいんです。新旧にこだわらず、良いものは良いと思うんですよ。ビルダーという職業柄、小さいルアーから大きいルアーまですべて扱えるようにしておきたいという理由もあります。あらゆるタックルを使いこなすことで、次に見えてくるものが必ずあると思っています」。
凝り固まらず柔軟性を持った思考。数あるワカモントさんの作品が巷で定評を得続けているのは、そうした包容力のある姿勢が背景に窺えるからなのかもしれない。
現に、インタビューで訪れたワカモントさんのショップ兼工房には、新旧問わず様々なタックルが並んでいた。自らが手がけたルアーやロッドに留まらず、「気になるものはすべて」という市販品の数々がそこにあった。
「選んでいただいたからには、50日間のモニター期間で全力を尽くそうと。あたかもDAIWA専属のテスターさんになったかのような気持ちで、俄然ヤル気も出ましたね」。
現物が届いたその日からフィールドへと繰り出し、愚直なまでにキャストを続けた。ひとしきり釣り終え、魚の気配が消えた後でも即座に納竿することなく、その場でキャストを繰り返したことも多々あった。
結果、モニター16名中、キャスト数はダントツで実に15,000投。また飛距離に関しても、いつしかモニター最長記録へと到達していたのだった。
無限の伸びしろ、広がる射程距離
「普段はカヌーやカヤックからの釣りが多いので、遠投よりショート〜ミディアムキャストが中心なんです。遠投性能はそこまで重視していなかったんですよね。ところが、『100』で改めて遠投を試してみると、想像以上の飛距離を達成できて非常に驚きましたね」。
その記録は実に143.7m。IM Zの性質上、ラインの放出量での換算だが、実際の飛距離は優に100mを超えていたはずだ。
「追い風で伸びたっていうのもあると思いますが、『100』は投げれば投げるほど飛距離が伸びていくということを実感しました」。
普段とは異なる、次なる釣りスタイルへの可能性を感じた。
「スマホを見ればリアルタイムで、一投ごとに飛距離が伸びていくのがわかる。すると、もっともっと!と自身の励みになる。今までのようにリールが限界を決めるのでもなく、自らのキャスト方法をリールに馴染ませていくのでもない。投げれば投げるほどに伸びていくのが『100』。常に伸びしろがある。そこが素晴らしいですね」。
使用機種は『100』ではあるものの、いわば『リミットブレイカー』(=限界を超えし者)。IM Zの本領を体感したという。
モニター期間中、SNSで発信したワカモントさんのトピックは常に注目を浴び続けた。普段の釣行で得た釣果画像のみならず、『100』の遠投性能やスキッピングのしやすさ、抵抗の大きいルアーさえも飛ぶことを実証したショート動画の数々。それらはモニター同志、横の繋がりを生んだだけでなく、多くのフォロワーから賞賛を浴びたのだった。
「敢えて望むなら、丸型の『100』が欲しい」
「電子ドラグ音がアプリで変えることができるってのも胸が躍りましたね。
また、スマホとの連動は、RPG感覚で楽しめますね。アングラーの楽しみの範疇がどんどん増えていく。こんな新たな構造をよく考えてくれましたね。未来の釣りってこうなっていくんだろうなって、期待感が膨らみますね」。
未来への期待は、ワカモントさんの過去の実体験から繋がっていく。
「元々DAIWA製品のデザインが好きなんです。リールは精密な機械、端的に言えば工業製品ではありますが、DAIWAって温かみのある道具のイメージなんですよね。作り手の想いがなぜか伝わって来るところに共感を覚えます」。
デザイナーにしてクリエイターのワカモントさん。ハンドメイドとマスプロダクトの差こそあれ、DAIWAと想いを重ねている。
中でも、とりわけ好きなのは初代セルテート。他にはない深みのあるブルーボディは優れた性能を秘めつつもタフな重厚感を与える。今なお愛機として登板機会は多い。ロッドではスワッガー。今までにはないカラーリングとデザインに衝撃を受け、フロッグ用のC65MH-FRを手に入れた。おかっぱり&ボートでの取り回しの良いショートレングスは、際どいカバーにも入れやすく数々の釣果に貢献してきた。
「デザイン性って、ひとそれぞれが持つ感覚的なもの。説明するのは難しいんですけど…パッと見てかっこいいかどうかを瞬間的に感じるものだと思うんです。その思い入れが強くなるほどに愛着も湧いていく」。
若本さんにとっての『100』はここまで語っていただいた通り、そのどこにも不満を感じていない。ただひとつ「敢えて、もうひと越えを望むなら」と前置きして語ったのは以下の言葉だった。
「トップウォーターのロッドって、グリップがオフセットしているので、ロープロファイル型だとグリップした時に低過ぎる感があるんですよね。贅沢を言うなら、丸型のIM Zが欲しい。インテリジェントマグフォースを搭載した丸型リール。それが僕の理想とする未来のIM Zの形です」。
ワカモントさんの夢は膨らんでいく。

