none
ページトップへ
銀狼CUP


第3回 ダイワ銀狼カップ2018 全国決勝大会 in 尾道/しまなみ諸島レポート
~ 地元勢の牙城を崩す刺客は現れるか!? ~
画像

全国から集まった16人の強者たち。因島で、それぞれが頂を目指す。

2018年10月19日(金)~21日(日)、広島県尾道市しまなみ諸島にて「第3回 ダイワ銀狼カップ2018 全国決勝大会」が開催された。定員数を超える応募者の中から、全国の地区大会、二回戦・ブロック大会を勝ち上がってきた14名と、第2回大会の優勝者である横路幸浩選手、準優勝の幸田武志選手の2名のシード選手を加えた総勢16名が参加。尾道市の因島で日本一を決する戦いを繰り広げた。

芸予の海をよく知る広島や岡山、兵庫県の選手が強く、地元勢の活躍がひとつの楽しみでもあるが、それを引っかき回すアウェイ選手の登場にも期待したいところだ。

戦いは、4名1組、4グループの予選リーグから始まり、各グループの勝者4名が、トーナメント戦を行う。

予選リーグは3試合行われ、各試合の勝者には勝ち点3、釣果の有った引分けは2点、釣果の無い引き分けの場合は1点が与えられ、それぞれのグループで勝ち点の最も高い1名が準決勝戦に進出できる。そして各グループを抜けた4名による準決勝戦の勝者が、最後の戦いに臨む。

グループ分けは前夜祭で行われる抽選会。そうそうたる顔ぶれが揃う大会だけに、組み合わせいかんで運命が大きく左右される。誰しもドキドキの時間で、選手が箱から番号の書かれたクジを引くごとに会場からはどよめきと歓声が上がった。

画像 画像

尾道市因島の「ホテルいんのしま」で行われた前夜祭では、スポットライトを浴びつつ選手が1人ずつ登場。最後は、前回の覇者・横路幸浩選手が優勝トロフィーを返還

抽選の札を引く木村公治選手。強豪が抽選を行うたび、大きなどよめきが起こる

画像 画像

第1グループは(写真左から)比嘉正志選手、加藤優一選手、鷲田陵選手、山本恭正選手の4名。比嘉選手は沖縄県からの参戦で、貴重な体験と時間を楽しみたいとのこと。加藤選手は広島県出身。地元のチヌ釣りに通じ、様々なスタイルの釣り方を駆使する釣り功者。鷲田選手は兵庫県出身でいろいろなメーカーのチヌ釣り全国大会に出場している強者。念願の銀狼カップで頂点を目指す。山本選手は第9回、12回SBCチヌ全国決勝大会出場の実力者。

第2グループは(写真左から)鈴木茂之選手、松田薫選手、水田誠選手、小坂和広選手の4名。鈴木選手は広島県出身で、“半遊動ごめんね” “全遊動やばいよ” と怪しい釣法を得意技とする。松田選手は山形県出身の庄内チヌ釣り師。水田選手は熊本県出身。得意技はジャーマンスープレックスというやんちゃ者だが、メーカーのチヌ釣り全国大会に複数出場している実力者。小坂選手は岡山県出身。全国大会の出場は初めてだが、全遊動、棒ウキの釣り、沈め釣りと、状況に応じて様々に釣り方を変えていくテクニシャン。

画像 画像

第3グループは(写真左から)幸田武志選手、内波佑太選手、古野輝紀選手、木村公治選手の4名。幸田選手は兵庫県出身。前回の準優勝者であり、第10回SBCチヌ全国決勝大会でも3位の実力者。内波選手も兵庫県出身。棒ウキスルスル釣法の使い手で、第1回、第2回銀狼カップ全国決勝大会3位の強豪。古野選手は鹿児島県出身。スタイルにとらわれず、様々に試みていくチャレンジャー。木村選手は広島県出身で、SBCを含め、一頭地を抜いた輝かしい戦歴を誇る。優勝こそしばし遠のいているものの、大会のたびに進化し、全国大会のステージに昇ってくる。

第4グループは(写真左から)高畑勝義選手、横路幸浩選手、新立隆博選手、石田裕人選手の4人。高畑選手は広島県の出身で、地元のチヌ釣りの大ベテラン。横路選手も広島出身。少年の頃から徹頭徹尾釣り小僧で、チヌ釣り師としての実力も誰もが知る、前回大会の覇者。新立選手は熊本県出身で、地区大会からあれよという間にここまで来てしまったとのこと。「初めての瀬戸内のチヌ釣りを楽しみたい」と謙虚に臨む。石田選手は岡山県出身。ウキ止めとガン玉を使った基本スタイルを軸とする地に足の着いた釣り師で、メーカーのチヌ釣り全国大会に出場経験もある。

真の力量が問われるハイレベル対決の予選リーグ

画像
初日の午前6時、本部を出航。2艘で協力してくれたこだま丸が、選手たちを因島周辺の磯へ渡していく

会場となるのは尾道の因島周辺エリア。瀬戸内の中でも島の密集度が特に高い芸予諸島に属し、複雑に入り組んだ水道は、激しく複雑な潮流を生む。チヌの魚影は非常に濃いが、千変万化する流れが読めなければ容易に答えてはくれない。決戦の舞台にふさわしい海である。

勝敗はチヌ5尾の総重量で決められる。今年は度重なる大雨の影響が大きく、さらに25℃台と、この時期にしては異例の高水温。

シビアな戦いが予想された。また、近況では型が小さめという話があり、対象魚のサイズを30センチから25センチに変更となった。

大会初日午前6時、選手たちを乗せた船が、本部となるマリーナを出航。午前6時30分、予選リーグ第1試合開始を告げるホイッスルが響いた。1試合は120分。中立線を設けて左右に分かれ、60分経過時に交代する。こうして午前2試合、午後1試合、因島周辺の磯で熱い戦いが繰り広げられた。

当日は、干潮を挟んだ戦いとなり、第1試合こそ、5尾のリミットを揃えた選手が出たが、第2試合始まる頃には全体にチヌの食いが落ち、シビアな展開となった。

そんななか、第1グループでは高知出身の山本恭正選手が準決勝進出。渋い状況下、良型を絡めてポイントを得た。

第2グループは小坂和広選手が勝利。釣り場の巡り合わせか殊更タフな戦いとなったグループだが、そんななかで黒星を付けずに勝ち抜けた。

第3グループは第2回大会準優勝の幸田武志選手、第1回、第2回大会3位の内波佑太選手、SBCチヌ全国決勝大会を含め毎度のごとくここへ昇り、かつ優勝経験もある木村公治選手と、超強豪揃い。熾烈な戦いのなかで、幸田武志選手が全勝を果たした。

第4グループはなんといっても前回の覇者、横路幸浩選手が注目されたが、第1試合、地元の釣りの先輩という高畑勝義選手に僅差で敗れた。結果的にはこれが天王山となり、高畑選手が勝ち抜けた。

画像 画像

第1試合はチヌの食いもそれなりによく、リミットの5尾を揃えた選手もいた。木村公治選手は「小クジラ」でキープサイズを6尾釣り、1尾入れ替えて白星と、快調な滑り出し。

画像 画像

ディフェンディングチャンピオン・横路幸浩選手は全体に釣果が上がっていなかった第2試合でも2尾の本命を得て、実力をいかんなく発揮。

画像 画像

第1試合、第2試合とも釣果は1尾ながら、いずれも1キロオーバーの良型を仕留めた山本恭正選手

第3試合の釣り場へ向かう船の中でのひとコマ(左・水田選手、右・幸田選手)。試合中以外、選手は和気あいあい

画像 画像 画像

第3試合も4尾2,690グラムを得て、全勝でリーグ戦を勝ち抜けた幸田武司選手。

画像 画像

第3試合で、1.5キロ級の大物を仕留めた比嘉正志選手。ほかにも釣果があり、勝利を決してもおかしくない一尾だった

一方、比嘉選手の対戦相手山本恭正選手は試合後半に追い上げて4尾2,500グラムで勝利。検量後、比嘉選手と握手する

真の力量が問われるハイレベル対決の予選リーグ注目の決勝トーナメント。高知の雄がファイナル進出!

画像
準決勝の組み合わせを、中夜祭で決定。誰とつながっているかわからない縄の端を、“せーの”で引っ張る

翌21日の準決勝・決勝戦は、因島から少し南に走った津波島周辺で行われた。予選リーグのエリアよりは開けた場所だが、複雑で速い潮が通すことに変わりはない。

前日の中夜祭で行われた抽選により、準決勝戦の組み合わせは、山本恭正選手VS幸田武志選手、小坂和広選手VS高畑勝義選手。組みごとに分かれて磯に下り、午前6時30分、戦いの火ぶたが切られた。

北側のエリアより総じて釣れるチヌの型がよい津波島周辺だが、ここのところ釣況にはムラがある様子。当日は谷間にハマり、どちらの組みもなかなか試合が動かなかった。

そんななか、赤穂根の南と呼ばれるポイントでは幸田選手が大きく竿を曲げた。ウキごと流れの中に仕掛けを沈めていく得意の釣りで、待望の1尾目をチャッチ。そのまま前半が終了したが、釣り座を入れ替えての後半、今度は山本選手がアタリを捉えた。慎重なヤリトリで取り込まれたのは良型。その後、終了までに幸田選手が追加し2尾としたものの、山本選手が仕留めた1尾の重量がわずかに上回った。

一方、小坂和広選手、高畑勝義選手の一戦はなかなか釣果に恵まれず、高畑選手が貴重な一尾を得て、決勝戦に進出した。

最後の戦いの舞台は伯方の大岩。他の選手たちやメディアの取材など、多くのギャラリーが見守るなかで始められた。

しかし、チヌからのコンタクトは一向にない。静かに時間だけが過ぎていった。後半戦に入っても試合は膠着したまま。右沖から差し込み磯をかすめる流れが速くなり、海はどんどん変わっていく。それに合わせて釣り方も変えていくなど両選手とも、状況を打破しようと必死で抗うが、とうとう本命が竿を曲げてくれることはなかった。

規定により、勝敗は準決勝での総釣果重量で決することになった。

優勝は準決勝で1,025グラムのチヌを上げた山本恭正選手。決勝戦はともあれ、そこへ辿り着くまで、確実に釣果を積み重ねてきた実力は、優勝者にふさわしい。

おめでとうございます!

画像 画像

準決勝の組み合わせのひとつは、山本恭正選手と幸田武志選手

もうひと組は小坂和広選手と高畑勝義選手

画像 画像

中夜祭でしばしくつろぐ審判員。公正なジャッジは素人には無理で、高いスキルを持った釣り人の協力があってこその大会でもある

21日、午前5時、準決勝戦を前に鵜澤政則競技委員長が選手を激励

画像 画像

あらためて、準決勝戦進出選手4名でパチリ!

山本恭正選手と幸田武志選手の対決は「赤穂根の南」で行われた

画像 画像

ウキごと仕掛けを沈めていき、道糸のわずかな動きで流れの変化やアタリを察知する幸田選手。準決勝戦時の渋い状況のなかでも2尾の本命をキャッチした

画像 画像

山本選手も、試合後半に入って本命を取り込んだ。これがなかなかのサイズ

勝負の行方に誰もが緊張の検量。型はさほどでないとはいえ、2尾を得ている幸田先取に軍配が上がると思いきや……

画像 画像

山本選手のチヌが20グラム上回っていた。しばらく固まっていた山本選手だったが、周囲の祝福で我に返る。1,005グラム対1,025グラムという僅差の勝利だった

強豪相手にも、とにかく「自分のやれることはやる」という気持ちを持ち続けた山本選手。集中力を切らさなかった結果の一尾に、鵜澤競技委員長も祝福

画像 画像

小坂和広選手と高畑勝義選手の対決は、キビシイ状況のなか高畑選手が970グラムの本命を得て勝利。状況に応じて様々なアプローチを展開でき、かつ確たる部分にブレがないベテランらしい釣りで、ついに決勝進出

最終ステージへ向かう船の上でのひとコマ。鵜澤競技委員長が両選手に話しかけ、勝負の緊張をほぐす

画像 画像

ほかの選手たちも見守るなかで試合開始。高みから俯瞰すると選手には見えないものも見え、外野は外野で盛り上がる。こんな雰囲気もこの大会のよいところ

棒ウキで、オモリを使って仕掛けを立て気味に流れを探る釣りで勝利してきた山本恭正選手。前半戦、潮下に釣り座を得た山本選手はこの釣り方でまずは勝負

画像 画像

試合ごとに釣り方も変えてきた高畑選手は、ボリュームのあるウキをプッカリと浮かせて潮下に張り出すハエ根の先へ流した。背後から観戦していた横路幸浩選手いわく「やっぱベテラン。自分なりの考えを持っていて、自信を持って釣りができる人なんですよ」

たまに選手の竿が曲がるが、相手はアイゴ。ここ数年で急に増えたという

画像 画像

ハーフタイムで釣り座を交代し、山本選手は潮上の釣り座へ。左への潮が速くなって流す時間が稼げなくなり、ウキごと仕掛けを沈めて流れのヨレで止めて待つ釣りに変えた。両選手とも手を替え品を替えて膠着状態を打破しようと試みる。しかし、無情にもチヌは答えてくれなかった

準決勝戦での釣果で、優勝は山本恭正選手。真篠大会委員長からトロフィーを受け取る

画像 画像

シャンパンクラッカーとともに拍手喝采を浴びる入賞者

勝利を称える胴上げ。そしてすべての選手が再びこの舞台で相まみえることを心に誓う

第3回 ダイワ銀狼カップ2018 全国決勝大会

優勝 山本恭正選手のコメント

「夢のような、心ここにあらずという感じで、フワフワしています。強豪が居並ぶなかで、自分でも奇跡、信じられない。

とにかく試合は、自分ができることを、気持ちを切らさずやり抜こうという思いはありました。全試合を通じて有利だったことは一度もないんですが、それでも不思議と“もうダメだぁ”という気持ちは起こらず、最後まで冷静に釣りができました。第3試合では、比嘉さんがデカいのを上げていて完全に劣勢だったのですが、終了時が近くなっていい流れを捉えられ、追い上げることができました。集中力が切れていたらそこで負けていたと思います。

準決勝もなかなか釣れず、幸田さんが釣るのは見ていて分が悪いのはわかっていましたが、とにかく自分の得意な釣りを信じることにしました。2枚獲った幸田さんには絶対負けてると思ってたから、(重量が)上回っていたときは、なにがなんだかしばらくわからないくらいでした。

決勝は、時間が経つほどさすがにプレッシャーを感じました。多くの人が見ているから、ということではなくて、栄えある決勝戦で魚が出なかったらどうしようというプレッシャーです。結局釣れず、その点はやはり大きな心残りです。

釣り方は、棒ウキを使いハリスにガン玉を打って仕掛けを当て気味に流しつつ探るのを基本としました。G2〜3Bといったオモリを使って潮のヨレを狙うといいと聞いていて、本番前の釣りで試したら確かにいい感触があったので、コレでいこうと思いました。ウキ下は、2ヒロから竿1本くらい。ガン玉はG2を2つハリスに打っていましたが、この位置を変えて仕掛けのなびき具合を調整しました。

付けエサはオキアミと練りエサ。ウキの様子を見てエサがなくなったと思ったらすぐ回収して、手返しよくムダな流しをしないよう心がけました。

最後に釣り方を変えたのは、左への潮が速くなり中立線まであっという間に流されてしまうようになったから。そこでカン付きの円錐ウキに替え、オーバーウエイトのガン玉で速く沈めて流れのヨレで止めてみました。

とにかく大会を通じて、自分でもびっくりするくらい釣りに集中していて、実力以上のものが出てしまったんじゃないかと……。でも、次はチャンピオンとして、最善の戦いができるよう頑張ります!」

[仕掛けデータ]

竿 銀狼唯牙 AGS 0.6号-53
リール トーナメント 競技 LBD
道糸 PE0.6号
リーダー 銀狼ガンマ 1500 1.65号 7m(マスターチューブorFGノットで接続)
ハリス フロロカーボン1.25号
オモリ ハリスにG2を2つ
ウキ 棒ウキ 0号表示
ハリ チヌ2号