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入門編の2枚貝のカラー魚拓製作法

カラー魚拓の製作には『タンポ』が必需品
製作時間は、約半日~1日を目安として見ておこう

一般的な魚拓は、魚に墨を塗って型を取るスタイルですが、今回みんなにチャレンジしてもらうのは、“近代魚拓”と呼ばれるカラーバージョンの魚拓になります。
和紙(半紙)を魚の上に乗せ、その上から色をのせていくのが特徴的で、真っ黒になりがちな一般的な魚拓とは違い、色合いを見ながら色を重ねてのせていくので、ビギナーでも上手に仕上げることができます。
このカラー魚拓は、綿を丸めて布で包んだ手作りの『タンポ』を筆代わりに使用するので、各自で用意しましょう。なお作品の完成時間は、使用する魚の大きさによって変わりますが、乾かして台紙に貼る工程を考えると、およそ半日~1日かかると見ておきましょう。

タンポの作り方

使用する『タンポ』は、中サイズ(直径1cmの玉ウキ程度の大きさ)を基準に、大・中・小の3種類を3セット程度用意しておくことが完成度を高めるキーポイントになります。

材料

  • シルク(絹)の布またはキュプラ(ズボンやスカートの裏地素材)
  • 手芸綿(化繊素材の綿)
  • 青梅綿
  • 輪ゴム

下準備> 直径1cm程度の玉ウキを使って布に丸型を付けておく。
まずは7~8cm四方に切ったシルクの布(またはキュプラ布)を準備。それを玉ウキに被せて包み込むように覆って、輪ゴムで玉ウキの軸に止めておく。

1> 手芸綿を直径1cm程度の玉ウキよりワンサイズ小さく丸める。

2> 丸めた手芸綿を覆うように青梅綿を被せて丸める。

3> 玉ウキに被せておいた布を外して<2>に被せる。

4> てるてる坊主を作るように布をねじって頭部に丸みを付ける。

5> ねじった布の根部に輪ゴム巻いて止める。

6> 写真のように輪ゴムを何回か巻いて、柄(持ち手)になる部分を作って完成。

カラー魚拓は形状が平らな生物ほど製作しやすい
最初は貝や海藻などからチャレンジしよう

「通常、魚には厚み(幅)がありますが、カラー魚拓をとる上ではこの厚みが余分な作業・工程を増やす原因になります。そこで入門編としては、比較的小さくて厚みのない2枚貝や海藻からチャレンジすることを私は推奨しています」と智海先生。
ここでは、先生のオススメにある2枚貝のカラー魚拓の製作法を解説していきます。
ちなみに色のせに関しては、別バージョンで紹介するマダイと基本的には一緒ですので、貝をヒイラギやオヤビッチャなどの平らな魚に変えても楽しく作れます。

2枚貝のカラー魚拓を作る材料

  • 材料は、ホームセンターや100~300円均一ショップでほぼ揃います。
  • 作品サンプルとなる魚や貝
  • 油絵具(まずは12色でOK)
  • 薄め液
  • 油絵具を混ぜるパレットナイフ
  • タンポ
  • 和紙(半紙でも可。作品サイズに合わせる)
  • 画用紙
  • 台紙になる厚紙(作品サイズに合わせる)または色紙
  • 吸水紙
  • コピー用紙(A4、A3があると便利)
  • 定規(30cm以上が理想)
  • A4サイズのクリアファイル(透明)
  • 下敷き
  • ベビーパウダー
  • スポンジ
  • 霧吹き2つ(オキシドールと水を入れる)
  • カッター
  • 油性のラインマーカーもしくはマジック
  • 鉛筆
  • 筆(中細、細)
  • のり(障子用と一般用)
  • はけ
  • 先端の大きさが異なる綿棒(極細から太いサイズまで3種類くらいあると便利)

  • 仕上げの裏打ち時(台紙・厚紙に作品を貼ること)に役立つマスキングテープやA3サイズのアクリル板、塗装用ローラー(柔らかめの靴磨きブラシでも可)、消しゴムが必要です。目玉のハイライトを出す胡粉、瞬間接着剤、両面テープ、ティッシュも用意したい。また資料として、作ろうと思う魚や貝類などが掲載されている図鑑または携帯やパソコンで検索した画像などがあると参考になります。

上手に仕上げるコツ

  • 色のせの基本は、明るい部分の色からのせていくこと。油絵具は色修正が難しく、濃くのせてしまった場合の修正は、より周りを濃くするしかありません。この特性を頭に入れておきましょう。
  • 色をのせるときは、薄くのせ始めるのが基本。パレットナイフを使い絵具を薄め液で伸ばしてから使用すること。ちなみに濃い状態でのせると、絵具がのり過ぎて、細かい表面模様などが出なくなるので要注意です。
  • タンポで曲線や曲面をたたいてのせるときは、予め吸水紙(画用紙でも可)で作っておいた曲線定規を利用して、色がはみ出ないようにする。
  • ヒレやウロコなど細かい模様がある部分は、小さいタンポを使用。根元を濃くし、ヒレの先にいくほど薄くすることで、コントラスト(陰影)をつけてリアルに見せよう。
  • 凹凸(おうとつ)や丸みのある部分も同様に、凸の部分を濃くすること。濃淡がはっきり出て、より立体感がでます。
  • 元々白い部分は色のせしなくてOK。白地を怖がらないように!

工程① 色のせ時に活躍する型紙をクリアファイルで作っておく

1-1> 今回は、買ってきたベビーホタテ貝(2枚貝)をみそ汁で食べた後に再利用。良く洗って拭いた後、写真のようにA4サイズのクリアファイルを開いて半分に切った上に貝を並べて、両面テープで固定する。

1-2> 同じ大きさに切ったクリアファイルをもう一枚作る。

1-3> そのクリアファイルを貝越しに重ねて、上からマジックで外周を型取る。

1-4> 型取った部分をカッターで切り、貝越しに重ねて合わせると、貝の大きさ通りに色のせができる型紙(カバー)の完成。ちなみにこれは貝を固定させる役割もある。

工程② 固定した貝の表面に軽くノリを付けて、和紙(半紙でも可)を乗せて水を拭きかける

2-1> カラー魚拓作りの初めの一歩は、クリアファイルに固定した貝に軽くノリを塗ることから始まる。まずはノリを指に付けて馴染ませる。

2-2> 貝に軽く触れるようにノリを塗って全体に伸ばす。

2-3> 貝の上にクリアファイルより大きいサイズの和紙を乗せて、霧吹きで水をさっと拭きかける。

工程③ 濡らしたスポンジで貝を軽くたたいて和紙に形状がうっすら写るようにする

3-1> カップに水を注ぎ、スポンジを湿らせて軽く絞る。

3-2> スポンジで貝を軽くたたくようにして和紙を湿らす。

3-3> 和紙に貝の形状がうっすら(写真程度)写るまで和紙を湿らせる。

3-4> 湿らせた部分にティッシュを押し当てて、軽く水分を抜く。

工程④ エ型紙用のクリアファイルを和紙の上にセットして色のせの準備に入る

4-1> <1-4>で作ったクリアファイルの型紙カバーを和紙越しに乗せて貝を抑える。

4-2> タンポで色をのせるときに使用する曲線定規を吸水紙で作る。形は写真のようなボウリングのピンの先端を曲げたような形にすると用途が広く便利。

4-3> クリアファイルに白いコピー用紙を入れた簡易パレットを作り、自分が使いたい油絵具を出して色のせの準備に入る。今回先生は黒、白、黄色、こげ茶色を用意。

4-4> 簡易パレットの横にコピー用紙を置いておき、必ずのせたい色の濃度調整を行うこと。写真は黄色を調整中。何度かコピー用紙にたたき付けて、使いたい濃さになったところで色のせを開始する。

工程⑤ 自作の曲線定規を利用して特徴的な貝の三日月模様を描く

5-1> 色のせは明るい部分から付けていく。ホタテの場合は、殻頂(閉じている部分)から縁に向かって年輪のように三日月状に伸びる帯・成長線があり、この部分が一番明るいのでここから始める。
自作の曲線定規のカーブを成長線の部分に合わせて配置して色(薄黄色)をのせていく。ここは細かい部分なのでタンポ代わりに綿棒を先生は使用した。

5-2> 年輪のように三日月状の帯・成長線が何本か入るホタテ。今回は縁までに3本あったので再現した。

5-3> ここからはボディの色のせに入る。ホタテ貝の表面はこげ茶色。これを中サイズのタンポに付けて馴染ませる。

5-4> こちらも色をのせる前に簡易パレット横に置いたコピー用紙で濃度調整を行う。基本は薄目。濃くする場合は色を重ねてのせていく。

工程⑥ 貝の外周部の色のせ開始 最初はタンポを強くたたかずチョンと弾くようにのせる

6-1> 濃度調整したこげ茶色を殻頂部から外周にかけてのせていく。失敗しないタンポの色のせは、いきなり強く和紙に押し当てず(色が濃く出る)、軽くタッチする(手首でチョンとタンポ弾く)ように動かして薄目に付けること。念のため、曲線定規も使って外周から色がはみ出ないようにしよう。

6-2> タンポは、凹凸のある部分では凸部に色が乗る。ホタテの場合は、殻頂部から放射線状に伸びる筋(凸部)があるので、その部分を意識してこげ茶のタンポをたたこう。

6-3> 最初に黄色く塗った三日月模様を自作の曲線定規でガードしながら、内側の筋にもこげ茶色をタンポでのせていく。

6-4> 最終的には、三日月模様の上にもこげ茶を軽く被せてのせ、質感を出す。黄色が消えてしまうと意味がないので、よりタンポを軽く叩いて色合いを調整しながら質感を出そう。

工程⑦ タンポ代わりの綿棒で細かい部分の色合い調整などをして和紙を剥がす

7-1> 縁の部分が黒くくすんで見えるホタテ貝。これを再現するために黒色を薄め液で薄くして同系色を作る。ここはタンポでは色のせ面積が大きくなるため綿棒を使用。たたいて絶妙なくすみを出そう。

7-2> 放射線状に伸びる筋と筋の縁よりの間にこげ茶を入れて、質感を出そう。ここも細かい作業なので綿棒を使用。窪みとなる筋の端は、色を重ねてのせてことで濃く出し、次の筋の手前は淡くなるように軽いタッチでたたいてグラデーション(色の濃淡変化)になるように仕上げると、よりリアルな作品になる。最後に最終的な陰影をタンポをたたいて調整。ハイライト(光)があたるホタテの中央部を白く残すのもテクニックのひとつだ。

7-3> ホタテの裏面は白が中心なので、比較的色のせは簡単。筋目に薄めた黒(グレー、シルバーに見える色)をタンポで入れて完成させる。その後、しばらく乾かしたら、型紙に使用していたクリアファイルを外して、霧吹きで作品に水を少々拭きかける。

7-4> 和紙の端を持ってゆっくり引き上げて貝と分離させる。貝に和紙がくっついているようなら、筆に水を付けてその部分をこすりながら持ちあげるとはがれやすくなる。

工程⑧ 余分な部分の和紙をカット 裏打ちする前に和紙を湿らせて伸ばす

8-1> 作品の余白が大きいときは、余分な部分を切る。ちなみに飾りたい額があれば、そのサイズより大きめにカットしておくのがセオリー。、後の作業がしやすくなる。

8-2> クリアファイルに作品を裏返して乗せて、霧吹きで水を吹きかける。

8-3> はけを使って水分を均等にいきわたらせる。

工程⑨ 液状のりを作り、台紙に塗って裏返した作品の上に台紙を貼り、空気を抜く

9-1> ここからは台紙に作品を固定する裏打ち作業に入る。
まずは3倍に薄めた障子用ののりを用意する。

9-2> 台紙となる厚紙(厚めの画用紙や色紙なども可)に、3倍に薄めたのりを付ける。

9-3> クリアファイルに載せていた作品に厚紙を貼る。

9-4> 貼った台紙に入っている余分な空気を塗装用ローラーで抜く。抜き方は四方にローラーを押し当てた後、叩いて気泡を潰し出す。

工程⑩ のり付けした台紙を固定 3~5時間後に剥がして総仕上げに入る

10-1> のり付けした台紙が、めくれ上がらないようにマスキングテープで固定する。

10-2> 最低でも3時間はそのままにして、完全に台紙と作品をくっつける。
今回は5時間後にクリアファイルから台紙を剥がして、しっかり台紙に作品がくっついていることを確認。その後消しゴムで汚れを削除。

10-3> 作品が貼られた台紙に額を置き、作品の配置を確認したら鉛筆で枠線を引く。

10-4> 枠線通りにカッターで切って、額に入れたらカラー魚拓の貝バージョンの完成。