廃棄漁網を通じて新たな付加価値を持った
アパレル製品の創造を目指す産学連携プロジェクト
BE EARTH-FRIENDLY×COLLECTION WORK HRD PROJECT
- 第2回 -
いよいよ本格的にスタートした
アパレル制作
文化学園大学の学生たちによる
作品制作がスタート
いくつもの壁を乗り越え
受賞を目指し努力する学生たち
いよいよ「BE EARTH-FRIENDLY × COLLECTION WORK HRD PROJECT」の作品づくりがスタートしました。参加するのは文化学園大学服装学部ファッションクリエイション学科3年生の学生たち。目指す方向性が似た学生同士でチームを組み、コンセプトづくり、デザイン、素材選び、パターン作成、縫製など、アパレル作成に必要な作業をすべて自分たちの手で行い、作品を完成させます。また、審査員にアピールするためのプレゼンテーション書類づくりも重要な作業です。
基本的に作業は大学の「コレクションワーク」の授業の一環として行いますが、多くのチームは夜遅くまで学校に残り作業を続けます。審査の日が近づくにつれ学生たちに焦りの色が見られるようになり、なかには徹夜で作業に取り組んだチームもありました。
この作品制作は、文化学園大学服装学部ファッションクリエイション学科の授業の一環として行われました
多くのチームがタブレットなどのIT機器を駆使してデザインを作成。ここから実際の制作がスタートします
どのような素材を使うのか、どのような色にするのか。議論しなければいけないことがたくさんあります
迷いや悩みが次々に出てきますが、中西教夫教授をはじめとする教員たちが適格なアドバイスを与えてくれます
難しいのは、アパレル制作の工程に関することだけではありません。多くのチームが悩んだのが、最初のコンセプトメイクの部分でした。自分たちのブランドがどんなコンセプトを持っているのか、誰のために、なぜ、どのような服をつくるのかを明確にするのはとても難しいことですが、商品をつくるためには必要不可欠な作業です。さらに、プレゼンテーションを成功させるには表現力も必要になります。チームのコンセプトをわかりやすく表現するためには、どのような言葉を使えばいいのかを考えなければなりません。
また、チームで作業する難しさもあります。同じ方向性を目指しているとはいえ、意見が食い違ったり、考えが共有できていなかったりすることも多くあります。慣れないチーム作業で、人間関係に悩む人もいたようです。
学生たちはこうした困難のひとつひとつに向き合いながら作品づくりを進めました。
真剣に授業する様子。ファッション業界を夢見る学生にとって、この授業はひとつの登竜門になっています
作業を分担することも多くあるので、メンバーそれぞれが責任を持って作業しなければなりません
文化学園大学には、アイデアを形にする機器がそろっています。これは生地に色柄をつけられるプリンター
チームのコンセプトをどう表現してアイテムに落とし込むか。アパレルづくりは、創造力と技術が必要な作業です
「BE EARTH-FRIENDLY × COLLECTION WORK HRD PROJECT」
全作品
いよいよ全11チームの作品が勢ぞろい
1月の審査会を前に、すべてのチームの作品が完成しました。学生たちの努力と苦労の結晶ともいえる作品たちはどれも個性的で完成度の高いものばかり。サステナブルやSDGsを意識したものも多く見られました。あとは審査員を前に資料や映像も使ってプレゼンテーションを行い、審査してもらうだけです。
果たしてどのような結果になるのでしょうか。自分たちの作品がどう評価されるのか、学生たちは期待と不安が入り混じった気持ちで審査に臨みます。
Link’s(リンクス)
「決して低価格でなくても長く愛されるアイテムを生み出す」というコンセプトのもと、耐久性が高いアイテムを制作。着なくなったアイテムは自社ブランドで回収し、状態によりアップサイクルして新たなアイテムとして販売するという新鮮なアイデアも提案。
継 tsugi.(ツギ)
1枚の反物を無駄なく使ってつくられる和服はSDGsの考えに沿っていることから「和」をテーマに。洋服の生地を使用し、伝統的な和服のカッティングを用いて制作した。ブランド名には、次世代の人が着やすい和服をつくるという思いが込められている。
LICÉRE(ラジュアル)
ブランド名は、ラテン語で自由になるという意味。ストリートカルチャーのエッセンスを取り入れ、自分だけのスタイルと個性を表現した。デニム素材の洋服を撮影し、天竺素材にプリントするなど、自由で斬新なアイデアが光るブランド。
indulge(インダルジ)
「性別に囚われず、それぞれの個性や資質にあった生き方を自分で決定できるようにする」ことをジェンダーフリーと定義し、メンズライクならぬレディースライクなアイテムを提案。「女性らしさが含む美しさ」を、「男性らしいアイテム」に落とし込んだ。
charm(チャーム)
子供時代に着ていた服を、オートクチュールを取り入れて大人服にリバイバル。キラキラしたものやフリルがついたものが大好きだった自分たちが今着用してワクワクできるようなアイテムとした。ただの子供服にならないよう、素材や仕上げで高級感を演出。
ixatch(イクサッチ)
着心地と機能性、若者とシニアを Mix し Match させる=ixatch。ブランド名には、年齢に関係なく服選びを楽しむ選択肢が増えてほしいという思いが込められている。シニアが着用した際にフィットする原型を作成するなど、細部にまでこだわった。
L ∞ P(ループ)
お洒落はしたいけれど気分が上がらない、可愛い服が着たいけれど着心地のいい服が良い。そんな女性の生理のときの気分にインスピレーションを受け、いつでも女性にやさしく寄り添うアイテムを提案。やさしい着心地のために、アイテムすべてを編地で制作。
0 one dred(ワンドレッド)
素材のなかで環境負荷が高いとされているデニム生地に着目したブランド。一般的には価値がないデニムの端切れを新しいものへと生まれ変わらせることで、新たな価値を付加。ダメージ加工やフリンジ加工、パッチワークでデザインのバリエーションを増やした。
Regale(レガーレ)
費用を抑えつつも思い出を残したい女性のために、古くなったウエディングドレスをフォトウエディング用ドレスにアップサイクルし、低価格でドレスのレンタルサービスを行う。写真になったときの美しさを考え、光沢感や透け感があるサテンやチュールを主に使用。
Eternal Angel(エターナルエンジェル)
攻撃は最大の防御。強くなりたい女の子のためのブランド。1990年代のグランジロックが持っていた大人への不満や社会への反抗を今に表現した。グランジをレディースに落とし込むために、ベロアやサテンといった女性らしい生地を使用し、ピンクをメインカラーにした。
Sphene(スフェーン)
「あなたの宝物になる服をつくりたい」という思いからブランドを立ち上げた。どうしたら服を大切に長く着てもらえるのかを考え、着るためだけのものではなく、インテリアや絵のように飾っても楽しめたり、気分を上げてくれたりする特別感のあるアイテムを提案。