樹脂は金属よりも、弱い。その常識を覆すカーボンテクノロジー。
ZAION(ザイオン)とは、ダイワが開発したカーボン含有樹脂で、おもにリールのボディやローターなどの素材として使用されます。
リールの素材として現在、一般的なのは、アルミニウム、マグネシウムなどの金属と、カーボン含有樹脂も含めた高強度樹脂です。
それぞれの素材の特徴、
アルミニウムは、強さに優れる一方、重い。
マグネシウムは、軽さと強さのバランスに優れるが、耐食性に難がある。
高強度樹脂は、軽さと耐食性に優れるが、強さが足りない。
※耐食性=錆などの腐食に耐える性能のこと
いずれの素材についても、一長一短ありますが、長所をそのまま活かしながら、欠点のみを克服すべく、ダイワは長年、素材そのものの研究にも取り組み続けてきました。
実は、リールの素材としてのカーボン含有樹脂の歴史は意外と古く、今から約40年前の1980年代には、もうすでに使用されていました。ただ、当時の素材は、軽量で耐食性があるというメリットがある一方で、強さの物足りなさは解消されておらず、その後、さらに釣りが多様化していくなかで、もっと強さが欲しいというアングラーの願いに応えられているとはいえないものでした。
しかし、ダイワはたゆまず独自の研究開発を続け、得意とするカーボンテクノロジーを活かし、高密度にカーボン繊維を混合した特殊樹脂を独自技術で成形した唯一無二の素材、ZAIONの実用化に成功しました。
ZAIONは、カーボン含有樹脂ですから、素材特性的には、金属よりも軽量で、耐食性に関してははるかに優れています。その一方、過去のカーボン含有樹脂で懸念とされていた強さは大幅に改良され、驚くことにマグネシウムに比肩するほどの強さを誇っています。ZAIONの加工には刃先にダイヤモンドが付いた加工機械を使うのですが、素材強度があまりに高いせいで、加工機械の刃がどんどん摩耗していくほどです。
多くの方は当然、こう思っていることでしょう。
樹脂は金属よりも弱い、と。
ですが、その常識は、ZAIONには当てはまりません。
秘密は、樹脂に配合されるカーボン繊維の含有量にあります。ZAIONには、一般的なカーボン含有樹脂に比べて、約3倍もの密度でカーボン繊維が入っています。これにより、樹脂の常識を覆すような強さを持っているのです。
このように、軽量性や耐食性と同時に、強さも備えたZAIONには、現在、ZAION Vと、その特性をより高いレベルで実現したZAIONの2種類があり、それぞれ普及価格帯からフラッグシップまで幅広いリールのボディやローターの素材として使われており、多くのアングラーに軽くて強いリールを届けています。
ただ、そのZAIONも、あくまでリール素材においては、ひとつの選択肢です。ZAION、金属、どの素材を用いるにせよ、ダイワは、常に最良の選択ができるための素材を探求し続けています。