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ダイワ グレマスターズ


第26回 ダイワグレマスターズ2018 全国決勝大会レポート

接戦に次ぐ接戦を制し、福岡の江藤義紀選手が連覇でV3達成!

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初出場選手が6名のフレッシュな顔ぶれ。

去る2019年2月15日(金)~17日(日)の3日間、長崎県五島市の福江で「第26回ダイワグレマスターズ2018全国決勝大会」が開催された。季節風が吹き荒れる2月。全天候型フィールドとの呼び声が高い五島列島だけあって、悪天候による延期もなく、予定どおり実施される運びとなった。

本大会には各地区大会とブロック大会を勝ち上がった12名と、昨年の全国決勝大会上位入賞のシード選手4名の計16名が参加。全国決勝大会の常連ともいえる実力者がいるなかで、ブロック大会を勝ち抜いたうちの半数にあたる6名が初出場という実にフレッシュな顔ぶれとなった。

15日の前夜祭で行われた組み合せ抽選会では、4名1組の4グループに分けられた。過去の上位入賞者が6名いることから、どのグループも激戦必至。注目カードが目白押しである。

鵜澤政則競技委員長によると「ちょうどグレの産卵期に差し掛かっていて、乗っ込みの個体と寒の個体が混在している状況なんだよね。五島はとにかくグレの魚影が濃いフィールドで、魚がいないってことは考えられない。食い気のある寒の個体が多い場所は釣り合いの好勝負になると思うけれど、産卵に入ってナーバスになったグレしかいない場合にどうするかだよね」

規定尾数の重量勝負になるか、それともゼロワンのシビアな戦いになるか、蓋を開けてみないとわからない。いずれにしても、見応えのある戦いになることは間違いない。

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グレ釣りの聖地・五島福江島に精鋭16名が集結。前夜祭では和気藹々とした雰囲気のなかで組み合わせ抽選会が行われ、選手は4名1組の4グループに分けられた。
大会に先だって鵜澤政則競技委員長から挨拶と激励があった。選手達は五島の磯の素晴らしさをあらためて実感したようだ。
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第1グループの選手。左から昨年度3位の藤田賢治選手(広島)、Bブロック大会4位の原田竜治選手(鹿児島)、Bブロック大会2位の濱田治孝選手(熊本)、Aブロック大会4位の岡本光弘選手(和歌山)。濱田選手と岡本選手はともに全国決勝大会は初出場。
第2グループの選手。左からBブロック大会5位の平井拓也選手(広島)、Aブロック大会3位の山元隆史選手(徳島)、Aブロック大会2位の池田翔悟選手(大阪)、昨年度3位の屋田龍男選手(鹿児島)。優勝候補がひしめくなかで25歳の若武者・平井選手がどう戦うか。
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第3グループの選手。左からBブロック大会3位の吉田英司選手(大分)、第18回、25回大会優勝の江藤義紀選手(福岡)、Bブロック大会7位の渡部辰也選手(大分)、Aブロック大会5位の車孝信選手(富山)。本大会V2の江藤選手を苦しめるのは誰か。
第4グループの選手。左からAブロック大会1位の長谷部求選手(徳島)、Bブロック大会1位の川村崇選手(愛媛)、Bブロック大会6位の小﨑史雄選手(熊本)、昨年度準優勝の木村真也選手(大分)。ブロック大会1位の選手が2名と激戦が予想されるグループ。

予選リーグはグラム差で争う大接戦

明けて16日、北西風が吹き荒れるなか大会初日を迎えた。予選は4名のグループで1試合2時間×3試合を戦うリーグ戦形式。勝敗は25cm以上のグレ5尾の総重量で決定する。勝者は勝点3点、引き分けは釣果のある場合は2点、釣果のない場合は1点が与えられ、グループ内で最も勝点の多い選手が準決勝へ勝ち進むことができる。勝ち点が並んだ場合は、対戦時の勝敗で決定する。対戦時の勝敗が引き分けの場合は総重量の多い選手が「勝ち」となる。3すくみの場合は予選3試合の総重量で勝者が決定する。

鵜澤競技委員長の予想どおり場所によってグレの活性にバラツキがあり、ある磯では2時間で総重量5kgオーバーの好釣果が出た一方で、猛者のウデをもってしても釣果ゼロという磯もあった。大場所である五島ゆえに40cm、1kgを超す良型も数多く仕留められており、それなりに釣果があったグループでは検量が終わっても勝負の行方は混沌としていた。選手としては生きた心地がしなかったであろう。

夜に行われた中夜祭では、予選リーグ戦の検量結果と準決勝進出者が発表された。

第1グループは2勝1敗の勝ち点6で3選手が並ぶ激戦だった。そのような中、第1試合で黒星を喫しながらも残る2試合で奮闘し、総重量9,305gで2位に3700gの差を付けた原田竜治選手が抜け出した。

第2グループは今大会参加選手中で最年少の平井拓也選手が大躍進。山元選手、池田選手、屋田選手と優勝候補の最右翼と目される選手を次々に撃破し、3勝無敗の完勝で準決勝へ駒を進めた。

第3グループも勝ち点6で3人が並ぶ大混戦。総重量勝負となったここでは、ディフェンディングチャンピオンの江藤選手が50gの僅差で逃げ切る結果。わずか5g差で勝利をもぎ取った試合もあり、すでに準決勝進出を諦めていた江藤選手が、名前を読み上げられて慌てて壇上に上がるという一幕もあった。

第4グループは、4選手が星を奪い合う展開。そんななか、2勝0敗1分と唯一黒星を喫しなかった小﨑史雄選手が他を振り切った。

続いて行われた組み合わせ抽選により、準決勝は原田選手対江藤選手、平井選手対小﨑選手に決定。接戦を制した原田選手と江藤選手、安定した戦いぶりが光る平井選手と小﨑選手。表彰台は確定している。あとは誰が一番高い所へ立つかだ。

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16日は4名ずつ4つのグループに分かれて予選リーグ戦が行われた。午前6時に福江港から出船。これから熱き男たちの戦いが始まる。
第2グループで並みいる強豪を次々に撃破した平井拓也選手。山元隆史選手との一戦では、1735gの良型1尾で勝負を決めた。
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優勝候補のひとりである山元隆史選手。気まぐれな五島のグレに手を焼きながらも、予選の第2試合では昨年度3位の屋田龍男選手に土を付けた。
近年安定した成績を残す池田翔悟選手。この1尾で山元選手から勝利をもぎ取った。
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第1試合で黒星を喫しながらも、残り2試合で驚異の巻き返しを見せた原田竜治選手。総重量9kg超えで予選リーグを突破した。
予選リーグで釣り上げたグレは、養護老人ホーム「松寿園」に寄贈された。中夜祭には橋本幸雄施設長に参加いただき、選手達にエールを贈っていただいた。

シビアな状況が一転、決勝は釣り合いのデッドヒート!

翌17日、風はいくぶん弱まったようである。準決勝の舞台は椛島の大小瀬(おこぜ)周りの磯だ。前日からの寒気で水温が下がったのか、この日のグレは渋かった。

平井選手対小﨑選手の試合も、開始からしばらくは付けエサが取られず、グレの反応はゼロ。かといって深ダナへ仕掛けを入れすぎるとイサキが食ってしまう。実にシビアな状況である。

先に本命を食わせたのは小﨑選手。それも1kg超えの良型である。ややあって平井選手もグレを掛け尾数で並んだ。しかし“あと1尾”が途方もなく遠かった。結局1尾対1尾で試合終了。尾数は同じながら重量で小﨑選手の勝利となった。

原田選手と江藤選手の対決は、今大会2回目のノーフィッシュドロー。ここで予選の勝ち点での勝負となるが、これも勝ち点6で並んでおり、最終的には予選3試合で釣り上げたグレの総重量での争いとなった。原田選手が9,305gに対し、江藤選手が9.990g。わずかな差で江藤選手が競り勝ち、連覇に王手を掛けた。

決勝は江藤選手対小﨑選手の戦い。ステージは福江島にほど近いサザエ島「手代のハナレ」である。決勝戦は25cm以上のグレ10尾の総重量で勝敗を決定する。沖へ向いて左右にエリアを区切り、左側に江藤選手、右側の高場に小﨑選手という位置取りで前半戦開始。

幸先のよいスタートダッシュを決めたのは小﨑選手。開始早々にキーパークラスを立て続けに2尾キャッチ。このまま独走かと思わせるほどの早業である。

江藤選手が入った左側はグレのスイッチが入るのが遅かったが、試合開始から40分経ったところで待望のグレがヒット。これが遠目からでも40cmを軽く超える良型だ。小型を数釣っても一発大型でひっくり返されてしまう。これがトーナメントの怖さであり、また五島の磯は、こんな大逆転が現実的な確率で起こりうるフィールドなのである。

この後、両選手ともポツポツグレを食わせたところで前半終了。展開的にはシーソーゲームだが、釣り上げたグレの型が良いぶん、この時点ではやや江藤選手が有利に見えた。

エリアを交代して後半戦がスタート。ここで江藤選手が、それまでの苦しい戦いの鬱憤を晴らすかのようにスパートを掛けた。向かい風のなか、沖から押し込まれて左へ抜ける当て潮を見事に攻略。前半ほどの型は出ないものの、30cmクラスを順調に掛けていく。終了間際には良型のチヌまで食わせ、ギャラリーを湧かせてくれた。

一方の小﨑選手も着実に釣果を上げていくが、どうにも型に恵まれない。結果、5100g(10尾)対2506g(7尾)で、江藤義紀選手が連覇で通算三度目の優勝を決めた。

予選でのバラシを反省する江藤選手だったが、バラシながらも釣りのリズムを崩さないあたりはさすが。僅差の戦いのなかで、どれか1尾でも取りこぼしていたら決勝の磯にも立っていなかったはずだ。土俵際へ押し込まれながらも寄り切られなかった要因は場慣れだけではないだろう。決勝では堂々とした横綱相撲を披露してくれた。

追撃及ばず、あと一歩のところで栄冠に手が届かなかった小﨑選手の戦いぶりも見事だった。大勢のギャラリーが注目するなか、自分の釣りを貫き通した。表彰式ではさすがに悔しさを隠しきれない様子だったが、しっかりと来期のシード権を獲得。来年も素晴らしい釣りを見せてくれるはずだ。

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準決勝に進出した平井選手、小﨑選手、原田選手、江藤選手。表彰台は確定した。あとは一番高い所へ立つのは誰かだ。
平井選手と小﨑選手の一騎打ちは尾数タイの接戦。重量で平井選手を上回った小﨑選手が決勝進出を決めた。
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決勝戦、開始早々に鮮やかなスタートダッシュを見せたのは小﨑選手。このまま良型を絡めて逃げ切りたいところ。
江藤選手のファーストヒットは前半戦開始から40分後。やや出遅れたものの良型の口太をキープした。
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我慢を重ねて決勝まで這い上がった王者と、強豪に真っ向勝負を挑んだ若き精鋭。試合が終わり、互いの健闘を讃え合う。
藤掛進大会委員長より江藤選手に優勝トロフィーが手渡される。手に感じる三度目の重み。苦労の末につかんだ栄光だけに、喜びもひとしおだろう。
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左から準優勝の小﨑史雄選手、優勝の江藤義紀選手、3位の平井拓也選手、原田竜治選手。トーナメントは運だけで勝ち上がれる世界ではない。確かな実力があってこそ、運を引き寄せることができるのだ。
選手達による祝福の胴上げ。長い戦いが終わった。来年もここで会おう!
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●優勝・江藤義紀選手のコメント

五島は何度も釣行している釣り場で、今回試合を行った磯のなかにも、以前に乗ったことがある場所がありました。大会前には下見もして、マキエの打ち方や攻め方をある程度は絞って試合に臨んだのですが、特に準決勝は普段とは向きが違う潮が入ってきたりで、思いどおりの釣りをさせてもらえませんでしたね(笑)。

決勝戦を行った「手代のハナレ」は、マキエを撒いてもグレが反応するまでに時間がかかる磯なんです。磯にマキエの跡がなかったことから、しばらく釣り人が乗っていないんやろうなぁと判断して、試合開始直後からかなり多めにマキエを入れました。グレがマキエに反応し始めればバタバタ食ってくるはずなので、はじめは仕掛けを深く入れてタナを探り、グレが出てきたら浅ダナに的を絞ってキーパーを揃える作戦です。タナを探っている段階で良型が食ってくれたので、かなり気が楽になりました。

後半は表層の尾長が小さく、その下にいる良型狙いに切り換えました。先に仕掛けを投入してハリスを立たせておき、その後にマキエを入れて表層にコッパ尾長を集めるイメージです。表層でマキエと仕掛けを合わせたら、おそらくコッパ尾長ばかりでキーパーを揃えられなかったと思います。

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【仕掛けデータ】

竿 トーナメント ISO AGS1号-53
リール トーナメントISO 競技LBD
オモリ ガン玉7号を1~2個
道糸 ナイロン 1.5号
中ハリス フロロカーボン 1.5号
ハリス フロロカーボン 1.5~1.7号
ウキ 円錐ウキ0C号
ハリ グレ4号
配合エサ 「アミノXグレ遠投SP オキアミレッド」×2袋、「アミノX 同調グレ」×0.5袋