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長谷川 耕司
三宅 貴浩
小島 明久長谷川 耕司・三宅 貴浩・小島 明久




誰でも簡単に
大型と渡り合えるために
熟練のプロガイドが求めたのは、使う者を選ばない“ビッグワン攻略”モデル。

「DAIWAルアーへの思い入れは強い。子供の頃、身近にバスがいなかった私は、ナマズからルアーフィッシングを始めた。大きくて肉厚のスプーン・ダンサー、ヘッド側の左右が特徴的なミノー・コネリーⅡなど。当時から少年でも買いやすい価格で、よく釣れた思い出がある」
ビッグレイクを舞台に数々の伝説をつくって来た男・長谷川耕司。なけなしの小遣いでDAIWAルアーを手に入れていた少年期から、今やSTEEZルアーの開発に関わる存在へとなった。彼が一躍脚光を浴びることになったのは『STEEZプロップ』だろう。
国内でシンキングスイッシャーという新たなカテゴリーを生み出した第一人者。かつて『ガストネード』が発表された際、そのこだわりをDAIWAエンジニアへと語ったことが開発の始まりだったという。
「2000年代中盤、シンキングスイッシャーって他に存在していなかった。そのため作り込めなかった部分があったのも事実で、それが心残りだった。長く使い込んできて、さらに細かい部分まで作り込みたかった」
最も重要視したのはペラだったという。
「それも強度。ボディがほんの少しでも動いたら、即座に回り始めるレスポンスの高さはもちろん、ボディが揺れずロールしないことも大切。シンキングスイッシャーは大きくするほど、着水時の圧力でペラが曲がりやすい。かといって強度を上げると、回転レスポンスに支障が出てしまう」
新たなシンキングスイッシャーを作り込んでいく中で、ベースとなるトップウォーターのダブルスイッシャーがあった。ミレニアム前後に故本山博之氏が手がけた作品。氏はDAIWAと長らくリール契約を続けていたレジェンドで、晩年は渓流でのベイトフィネスゲームを提唱するなど後世に残した功績は大きい。長谷川は生前に親交が厚く、共に湖上で釣りを楽しむこともあったという。
「そのあまりにも強いペラに感銘を受けた。スイッシャーが何たるかの教えを受けることもあった。ただペラに関しては何も聞けないままだった」
長谷川はそのペラの強度に、素材の差を疑った。DAIWAは即座に成分解析テストを行い、長谷川へと結果を伝えた。
「素材は全く同じだった。奇しくもその連絡を受けた日、本山さんが急逝された…」
あまりにも劇的な展開だった。長谷川は本山氏の意志を継ぎ、シンキングスイッシャーに精魂を込めた。
「強度は曲げ方に秘密があった。ペラの1枚1枚が平面のままだと、着水圧で曲がってしまう。縦方向に曲げることで強度を増した」
ペラが完成した一方で、ボディは存分な太さを持ちながらも長過ぎないボリュームに敢えて設計。かつてシンキングスイッシャーを開発して以降、各メーカーからフィネス寄りのモデルが数多くリリースされたが、そこには寄せず独自の路線を突き進んだ。
「フィネス寄りでは太いラインに対応できない。ビッグレイクでロクマルを真剣に狙うモデルとして、太軸フックを乗せる必要があった」
さらには長らくガイドを務めてきた長谷川ならではの多角的な目線を見せた。
「ルアーを動かすとき、ただ巻きなら何も難しくない。その反面、水の抵抗の少ないルアーなので、効果的に使うには抵抗のあるクランクベイトなどとは別方向の難しさがあるのも事実。だから、使い方のプロモーションは欠かさない」
それは、誰でも簡単にロクマルが狙えるルアーへと昇華するために。
使い方だけでも
極力優しくしたい

「スターリングとは水の攪拌を意味する英単語。いわば水押しがシリーズコンセプト。そして何より使いやすくて、釣れる」
プロガイドの三宅貴浩が手がけるSTEEZルアーは、釣れ筋ワーム・スターリングシリーズ。スターリングシャッド・スターリングフィッシュ・スターリングツインに加え、2026年は4作目となる『スターリングシュリンプ』が登場する。
「バスはルアーの波動を側線で気付くとされる。しかし、側線で気付けるのは数10cmに迫ったときだけ。それよりは見た目、視覚的効果のほうが重要だと思う」
自在に見せるロールアクションに加え、体表のラメ、空気室による太陽光の自然な反射がフレキシブルに発生。他にはないビジュアルがバイトを誘う。
「プロガイドとして、ゲストさんが使いやすいことが開発のベースになっている」
様々なスキルのゲストを迎えても、パッと見ただけでセッティングしやすいその構造。ワームに反射板を2枚内蔵することで、その中間にフックセットが可能なツインフラッシュ構造、そしてフックセットアシストマーカーやボディスリット、ネイルシンカーを挿入しやすいネイルホールなど、簡単にセッティングできるゲスト目線のモノづくりがそこにある。
「アクション的には、ワーム自体がしっかり水を掴むことをベースに作り上げた」
ツインなら動き過ぎない中で水を押すボリューム感。シャッドなら動き過ぎず弱過ぎない、誰が使っても絶妙な水押し。フィッシュはミドストやダウンショットで簡単にロールを引き出せるセッティング。
「使いやすさが最も大切。かといって、小型の数釣り用ではない。大きな魚も釣れるのがビッグレイク。太軸フックにも対応して、タックルもそれ相応のモデルを勧めている」
新たに登場する『スターリングシュリンプ』にも三宅の想いが詰まっている。
「シュリンプはネコリグで刺しやすいネイルホール、フックを指すチューブセッティングのガイドも搭載。ダウンショットではオフセットフックでも使いやすく、スイミング時の泳ぎも秀逸。脚を足すことで、ボトムでの倒れ込みもよりスローになる」
近年厳しさを増すビッグレイク。時に1本を仕留めることも困難な状況にも遭遇する。
「フィールドは難しくなっているが、使い方は優しくしたい」
誰でも簡単に実践しやすいルアー、普段使いのできるルアーがスターリングシリーズだ。
難しいルアーは
手に取ってもらえない

システムクランク・『STEEZクランク』のリニューアルに際して、開発者として白羽の矢が立ったのが巻き物スペシャリスト・小島明久。プロガイドとしても活躍する小島もまたゲスト目線のモノづくりは欠かさない。
例えばSTEEZクランクには350というモデルが存在する。700、500とラインナップする中で、通常であれば、そこに続く数字としてシステムクランクには400か300というキリの良い数字で、その潜行深度(cm)を示すものだ。
「リザーバーを始めとする全国のフィールドには、水深3〜5mにコンタクトポイントが多い」
小島が長らく培ってきた経験値を前提に開発が始まった。
「特にビッグレイクは3〜3.5mを引ければいい。そのゾーンをより長く引くためには、表示より潜行深度を深くしたモデルを作る必要があった。いずれのモデルもその名より“プラス20cm”の潜行深度を与えた。350なら370として機能。狙いが350のゾーンだとしても、370なら到達時間が早く、長く引くことができる。短い飛距離でも到達できる」
浮力を抑えたタイトなウォブリングを見せるワーミングクランクが350。小粒に仕上げたボディはビッグレイクのみならず、日本全国のフィールドで使いやすい。
「元々は、700が最初期モデル。ディープと呼べる水深に、パワーはあるが他よりコンパクトなクランクを送り込みたかった。そのレンジに到達できる従来のクランクは何より巻き感が重く、使い手を選ぶモデルだった」
巻き重りを解消したのは、そのリップ形状。潜行能力を維持する長さを持ちながら、先端方向が反り返ったリップ。根掛かりを防ぐべく高めの浮力設定に仕上げたが、優れたボディバランスが潜行能力を向上させた。最大720レンジへと到達して、よりプロダクティブゾーンを稼ぐことが可能だ。
白眉だったのが500。前作よりボディが大きくなったことで高浮力化。リップ先端がカバーに当たれば、キックバックして戻るカバークランクの様相。従来のディープクランクとはまた別の方向性を得た。
「全国のリザーバー、特に関東でディープのカバークランクとして定評を得ている。使い方が難しいルアーは、手にしてもらえてもその後長くは使ってもらえないと思う」
長谷川、三宅と同じく、小島もプロガイドとしてゲスト目線のモノづくり。総じて西日本発信のSTEEZルアーには、ユーザー愛が宿っていると言えそうだ。