どんな海況、シチュエーションでも——。
安定した飛行姿勢からなる飛距離、
そして、使い手を選ばずに再現できる
泡をまとうアクション。
瀬川良太が理想とする
ポッパーが誕生。
ニュージーランドに住んでいたころ、一年間あえてポッパーだけを投げ続けたことがあります。そして行きついた結論は、ポッパーというルアーは一番サーチ能力が高い。ということ。エサよりも、ダイビングペンシルよりも、フレッシュな魚に対してもっとも釣果が出しやすいルアーがポッパーだと考えています。
もちろん、キャスティングゲームの定番ルアーはダイビングペンシルであることは間違いありません。ただ、ポッパーにはダイビングペンシルにはない効力というか、威力があることを何度も体験しました。
音や泡で寄せることができて、しかも魚を寄せるパワーが強い、という点がポッパーの長所です。なんと言ってもアピール力が強いのでとにかく勝負が早い。ポッパーを喰うヤツがいたら一発で答えが出ることが多く、光量が足りない時にも効果的なので手札としては外せないルアーだと思っています。
こうしたポッパーというルアーの威力を考えても、やはりDAIWAでトータルバランスの優れたポッパーが欲しいよね、ということで開発に着手したのがSALTIGA FROTHER(フロッサ―)170Fです。
基本性能が高く、
誰もが使いやすいポッパーを作りたい
FROTHER170Fはポッピングによるスプラッシュと音、そして泡をまとうアクションで誘うことができるタイプのポッパーで、浮き姿勢はほぼ垂直。単純にバゴーン!とスプラッシュを前方に広げて誘うタイプではありません。真下にボコッと頭が入って、捕食音に近い音と動きを武器にするタイプで、ダイブさせるとブリブリと泳ぎます。
170mmというサイズは小さい部類ですが、磯からヒラマサを狙うとなるとちょうどいいサイズ感で、自重も71gと出番の多いPE6号タックルで使いやすいように設計されています。
形状としてはヘッドのカップが上下左右、ボディいっぱいに幅広いのが特徴です。カップの深さは上部を深く、下部を浅くしていて、海面状況問わずに水を掴みやすい形状を追求しました。カップ上部で空気を大きく掴んで、泡を散らしてくようなイメージですね。
さらに特徴的なのがポッピング時に出る微細なバブル。経験上大きな泡は消えるのが早いと思っていて、スモーク効果をより長く出すためにきめ細かい泡が出るように、カップの厚さやラインアイの位置、浮き姿勢にこだわり、幾度となく調整を施しました。
この細かな泡がどれだけ効果的かは魚に聞いてみなければわかりませんが……綺麗にアクションが出せると投げ続けるモチベーションにもなるじゃないですか(笑)。
対応幅の広さがFROTHERの魅力
微細なバブルと同じくこだわったのが、ダイビングペンシルと同じような引き心地で使えるということ。一発一発ポッピングして使うタイプはとにかく疲れますよね。なので軽快に引けるように、浮力にはかなりこだわりを持って作りました。
FROTHER170Fはダイペンと同じようにリズミカルにアクションが入れられるので、チェイスがあって乗らない。みたいな時にはショートポップもできるし、潜らせてただ巻きすればミノーみたいに追わせて喰わせることもできる。さまざまなアクションで狙えるポッパーです。ナブラが出て喰わない。みたいな時に色々アプローチできるのは武器になると思います。
フックセッティングは、トレブル・トレブルで2/0~3/0サイズを目安にしてみてください。
2/0は泳層が浅くなり、レスポンスが早くなるため使い勝手がよくなります。もっと大きい魚を狙う場合は3/0のトレブル・トレブルですね。
それより大きくしたい方は、3/0のトレブルに5/0のシングルのセッティングもおすすめです。浮力は十分に確保しているので、どの組み合わせでも気持ちよく引けますよ。
飛距離だけは絶対に妥協できない
もうひとつこだわったのが、カドラー同様に誰でも安定した飛行姿勢を作りやすいルアーであること。ダイビング系ポッパーは、その形状から風の抵抗を受けやすいので、キャストするとクルクル回ってしまうモノが多いんですよね。だから基本的に飛ばない。でも、FROTHER170Fは横風に対し、バランスを崩しにくい設計思想で作っており、風の影響をプラスに持っていけるように仕上がっています。
テール側にしっかりウエイトが集まっているし、テール部の形状もCUDDLER(カドラー)みたいに細くなっているので、風を切り裂いて飛ぶ。風にも乗りやすいので、この手のルアーにしてはかなり飛ぶルアーだと自信を持って言えます。
ルアーサイズ的に6号を使う方が多いと思いますが、テストでは8号を使っていました。太い糸でも十分に飛ばせますよ。
FROTHER170Fは安定して飛距離が出せるため、ヒラマサ、GT、マグロ、どんなターゲットを狙っても頼りになると思います。僕自身はロックショアの釣りで使うことが多いですが、ルアービルダーという視点から見るとオフショアでも使ってもらいたいですね。テストではキハダもよく釣れていますし、ナブラ撃ちなどでもFROTHER170Fの飛距離は大きなアドバンテージになるでしょう。
類い稀なFROTHERの性能
FROTHER170Fに似たタイプのポッパーは、ここ数年で増えてきています。そうしたなかで他のルアーとちょっと違うところは、あまり深く潜りすぎないところだと思います。ダイビング系ポッパーは、ドーンと頭を水中に入れて引っ張った時に、下に潜って行っちゃうものが多いんですが、そうすると浮き上がりを待つため次にポッピングするまでにタイムラグができてしまう。そうなるとリズムが刻みづらいし、ショートポッピングもできないので、使っていて気持ちよくないんです。
FROTHER170Fは背中に浮力を持たせてあるので、深く潜りづらいし、潜ったとしても速く浮き上がるからリズムを刻めます。このリズムを刻めるということが重要で、釣果を大きく左右する要因になると考えています。僕自身が一番気に入っているところは、やはり浮き上がるスピードとリズムです。判断の基準になったのは、自分の中のリズムに合うか合わないか。気持ちよくポッピングできるかどうか。
ポッピングしたあと、次のアクションを入れたいのに浮き上がりを待ったりするのは凄くストレスに感じるんです。パンパンパンパンと速く誘ってからステイを入れて喰わせる、という演出をするのと、ルアーが浮いてこないから、ただ単にアクション自体が全部スローになっちゃうのは違いますからね。
この浮力調整には苦労しましたね。思い通りのアクション・浮き姿勢はもちろん、必要な強度を保ちながら、3/0のフックを背負える浮力を確保するというのが、あらためてインジェクションルアーって難しいな、と感じた点でした。
結局、金型を3回やり直したのですが、リブの形状や気室をどのくらい確保できるか……数ミリ単位の調整を繰り返して、ようやく思い通りの性能にたどり着いたのがFROTHER170Fです。
FROTHER170Fには、反射光でアピールできるLASER IMPACT搭載のカラーも4色ラインナップしています。目の周りだけにギュッとまとめて、ボディ側の気室をしっかり確保、浮力をキープしています。浮力の確保だけでなく、前方は平たい面積が多いから、横向きになった時にキラキラと反射しやすいですしね。
また、今後のサイズ展開ももちろん考えています。
テストでは8号タックルでも十分な飛距離が出たし、170mmサイズでも小さいサイズから大きいサイズのヒラマサからGTまで釣れました。
ただ、やはりもっと大きなフックサイズを使いたい方に向けて、200mm以上のサイズ展開も考えていますし、マイクロベイト喰いに対応できるようダウンサイズモデルも考えています。
じつは、フロッサーというルアー名には2つ意味があります。
ひとつはルアーの性能を表す「泡立て器」という意味。そしてもうひとつは、オーストラリアのスラングで「口から泡を出すほど興奮している様」を表現する時にFROTHINGと言います。
ロックショアでのビッグバイトやオフショアの鳥山ナブラに投げるその瞬間。アドレナリンが出て、まさに釣り人の興奮が最高潮に達する瞬間。
そんな時に、このルアーを使って最高に興奮する瞬間をみなさんにも味わっていただきたいと思っています。そして、そんな瞬間をみんなで共有できたらこれ以上ない喜びですね。