10th Anniversary
これまでの紅牙。
これからの紅牙。
タックルの進化が
タイラバの世界を変えてきた。
未来へとつながる、
紅牙10年の濃厚な歳月とは。
これまでの紅牙。
これからの紅牙。
タックルの進化が
タイラバの世界を変えてきた。
未来へとつながる、
紅牙10年の濃厚な歳月とは。
紅牙以前、職漁師の漁具から発展した
タイラバ誕生期
ルアーで真鯛は釣れない、という時代があった。他方で漁師はタイカブラやタイサビキと呼ばれる疑似餌で真鯛を釣り、生計を立てていた。そんな漁具にヒントを得て生まれたのがマダイ用のラバージグ、「タイラバ」だ。タイラバはインチクという漁具とともに、プロの道具からヒントを得たルアーとして脚光を浴び、新たなスタイルの釣り、「漁具ING」として市場を席捲した。
黎明期のタイラバは漁具のタイカブラと同様、固定式と呼ばれるヘッドとフックが一体化したシステムだった。DAIWAの初代タイラバも「ベイラバー」という固定式のものだった。漁具INGのトレンドに遅れをとったわけではなかったが、ベイラバーが初期のタイラバシーンをリードしていたかと問われればイエスとは言いがたい。そんな状況がしばらく続いたのも確かだ。
タイラバ関連商品を散発的に発表していたDAIWAの開発スタッフは、ブランディングの必要性があると強く感じていた。タイラバシーンに一石を投じたい、という思いもあった。そこにひとつのエポックが訪れた。固定式一択だったタイラバの基本構造に、遊動式という新システムが登場したのだ。発案者は遊漁船「ガイドサービス セブン」の宮崎晃船長。ヘッドとフックが分離されることで、真鯛が感じる抵抗が減少。結果、フッキング率がアップ。しかもフッキング後もヘッドの重みによる干渉が少ないのでバラシも減少、という優れたシステムだった。DAIWAの開発スタッフは愚直にもガイドサービス セブンに赴き教えを乞うた。すると宮崎船長は快諾。一緒にタイラバシーンを盛り上げていきましょう、という後押しまでいただいた。遊動式タイラバへの取り組みは紅牙ブランドが動き出す大きなきっかけともなった。
総合戦略で勝負をかける!
紅牙ブランドの立ち上げ
2013年、満を持して紅牙ブランドがスタートを切った。高い評価を受けているタイラバは、すでに市場に数多く存在した。だからこそ紅牙では、ロッド、リール、タイラバなど、すべてを網羅する総合戦略で切り込んだ。紅牙を冠せられたのは、ロッドが「紅牙MX」「紅牙」、2つのシリーズ。リールが「紅牙ICS103」。タイラバが「紅牙ベイラバーフリー」だった。
戦略的に最も大きな役割を果たしたのはリールだった。カウンターに水深だけでなく巻き上げスピードをシンプルな数字で表記できるようにした。これにより船上で容易に情報共有できるようになった。タイラバという釣りでは巻き上げるスピードが非常に重要だ。しかし、それまでの船上では船長からのスピード指示や同船者同士の情報共有は、「速く巻いて」「ゆっくり巻いて」という曖昧な情報のやり取りに留まっていた。紅牙ICS103の登場により「スピード2で巻いて!」「スピード3で巻いていたら食った」という情報が正確に共有でき、そのスピードに合わせたら真鯛が釣れる、というシステムが構築されたのだ。
紅牙ベイラバーフリーは単なる遊動式に留まることなく、完全遊動式にこだわった。ヘッドの前方にリーダーとハリスの結節部があっても遊動式として機能はする。しかし、シビアな状況ではより自由度が高い、ヘッドの後方に結び目があるほうが真鯛は違和感なくフッキングするはず。これが完全遊動式を重視する根本的な考え方だ。また、鉛に穴をあけただけでは、ラインがこすれて抵抗になるばかりか、リーダーブレイクの原因ともなってしまう。そのためヘッドにセラミック製のパイプを埋め込み、可能な限りリーダーとの摩擦抵抗が少ない遊動感を追い求めた。
ロッドはハイエンドモデルの紅牙MX、スタンダードモデルの紅牙と2つのシリーズを同時リリース。幅広いユーザー層にアピールした。とりわけ紅牙MXには当時の最先端、DAIWAが釣趣をまたいで売り出し中だったメタルトップを搭載。高感度とアタリを弾かない追従性の両立を実現した。
最先端のテクノロジー、そしていくつもの革新的なアイデアを武器に、紅牙の名を冠したロッド、リール、タイラバがシーンに投入された。巻き上げスピードの共有という新しい釣り方のスタイルも各地に浸透。紅牙の名は一気に全国のタイラバファンに拡がった。
紅牙というブランド名は社内公募から浮かび上がった造語だ。真鯛の魚体の色から「紅」。歯が発達する真鯛の老成魚のイメージから「牙」。ブランドカラーは紅牙ピンクとも呼ばれる、発足時から変わることのないイメージカラーが使われている。このカラーに彩られていれば基本的に、真鯛に関係している製品と思って間違いない(コマセ釣りをのぞく)。つまり、テンヤ、ジグなどの製品も紅牙ブランドに含まれている。紅牙のブランドロゴは「鯛の鯛」と呼ばれる、骨の一部をモチーフにしたもの。真鯛にかける情熱が形になっているデザインと言えるだろう。
紅牙HISTORY2013-2023
2013
紅牙ICS
紅牙ベイラバーフリー&フリーヘッド
紅牙ロッド
紅牙ICS
2014
紅牙ベイラバーフリーTGタイドブレイカー
2015
紅牙X
紅牙EX
紅牙EX
2016
紅牙ベイラバフリーカレントブレーカー
紅牙(2代目)
紅牙ベイラバフリーカレントブレーカー
2017
紅牙TW
紅牙AIR
紅牙TW
2018
紅牙TW HYPER CUSTOM
紅牙IC
紅牙TW HYPER CUSTOM
紅牙IC
2019
紅牙MX AP
紅牙AIR 秋丸美帆 シグネイチャーモデル T
紅牙AIR 秋丸美帆 シグネイチャーモデル T
2020
紅牙AP
紅牙EX(2代目EX)
紅牙EX(2代目EX)
2021
紅牙IC
2022
紅牙X
2023
紅牙MX
紅牙を形作るのは「普遍なもの」と
「常に新しく進化するもの」
紅牙ブランド発足以降のタイラバシーンの動きは、紅牙製品を時系列に追えばそのほとんどを辿ることが可能だ。
タイラバのトレンドを振り返ってみよう。ヘッドにはそれほど大きな変化はないが、スカート、ネクタイには明確なトレンドが存在している。スタート時はスタンダード、次に「中井チューン」に代表されるボリュームダウン期があり、「タコマラカス」に代表されるビッグベイトが続き、さらにスリムなものに再び注目が集まり、いままたビッグベイトの時代が到来している。ボリューム感に関するトレンドの縦軸とは別に多様なワームの登場があり、ユニットの変遷もある。また紅牙のタイラバに、他社の製品にはない最大の優位性をもたらしているのがフッ素加工処理を施したフック、「SaqSas」の採用だ。ベイラバーフリー登場以来、どのアイテムにも必ず採用されている不動のフックだ。紅牙のタイラバを釣れるモノに仕上げている、影の(真の?)実力者だ。
ロッドのトレンドは釣り方の変化に呼応している。鋭敏な感度を生かして掛けていくコンセプトのメタルトップからスタートし、続いてアタったらロッドが追従していって乗せてしまう、というイメージを追求した乗せ調子の製品リリースが続き、その究極は中井一誠テスター提唱のフルソリッドシリーズ、「スリルゲーム」に昇華した。リールシートに注目しても、当初こそ既存のシートを採用していたが、タイラバという釣りに特化したホールド性、アタリを取るための感度、疲労度を軽減するために工夫などがふんだんに盛り込まれ、専用設計を施され今に至っている。
リールはどうだろう?紅牙リールとしての普遍なキーワードはスピードだ。紅牙ICS103のカウンターにスピードを表示させることで釣りがシステマチックに変化した。以降もスピードを軸としたタイラバ用リールのコンセプトは変わらず、そこにマグシールド、ハイパワードライブデザインなど、テクノロジーの進化が盛り込まれ、次々と専用機がブラッシュアップされてきた。
タイラバのセオリーを覆す!?
革新的な玉噛みコンセプト
2024年、紅牙では大きく2つのコンセプトを柱に製品を展開している。ひとつは「玉噛みコンセプト」、もうひとつは「ディープコンセプト」だ。
「玉噛みコンセプト」から説明していこう。タイラバを追ってきた真鯛はネクタイをついばみ、じゃれているうちにフックに掛かる、という考え方がこれまでの主流だった。しかし、普通にタイラバを楽しんでいるだけで、ヘッドに傷がつくことに気づいたアングラーも多いはずだ。この傷がいかにして付くのか? 開発スタッフは水中カメラを投じて、真鯛がタイラバが食う瞬間をさまざまなフィールドで撮影し、数多くのバイトシーンを得ることに成功した。結果、ほとんどの真鯛がヘッドを含め、タイラバすべてを口の中に、ひと飲みしてしまうことが判明した。ネクタイをついばんでいる動きと考えられていた、ロッドティップを引き込むアタリは、真鯛がタイラバを飲み込み、頭を振る動作の現れだった。カメラをリーダーにセットしての釣りとなるため、活性の高い真鯛しかタイラバにバイトしてこない可能性はあるものの、それでも玉、つまりヘッドを噛みにきている真鯛が圧倒的に多いのが現実だった。
ヘッドに食らいつく、飲み込んでくる真鯛。つまり玉嚙みしてくる真鯛をいかに掛けるか。いかに真鯛の活性を上げて効率的に釣るか、を考えて作られたのが「紅牙ブレードブレーカーTG玉神」「紅牙ブレードブレーカー玉神」だ。ヘッド部へのバイトに対応するため、できるだけヘッドの近くにフックをセットすることを第一に考えた。さらなる工夫として、ボディ形状を少し長くし、フックがヘッドの中心にセットされるようにデザインした。さらに真鯛がバイトしてきたときにボディが真鯛の口に当たることで、フッキングミスが起こらないよう、ヘッドの前方部を絞り込んだ。ボディの形状、ボディとフックが一体化するバランス、長さを含めたパイプの形状、バイトを弾かないユニットの安定性…。これらを徹底的に追い込んでいった。
ブレードの装着にも注目したい。一部のマニアなアングラーが、浅場を狙ってシーバス用のブレード付バイブレーションを使って好釣果を上げていたことにヒントを得たものだ。実際、ブレードがものすごく効く状況は存在する。とりわけイワシなどのベイトフィッシュを追っているときなどは効果的だ。開発段階ではフックとブレードが絡む、ボディに傷がつく、というトラブルも生じたが、ゴムチューブでスイベルをカバーするアイデアによってブレードが暴れることを解消した。
ブレードブレーカーTG玉神の威力は上々。しかし、素材がタングステンであるがゆえ高価になってしまう。より手軽に玉神を使えるようにとの願いを込めてリリースしたのが、鉛製のブレードブレーカー玉神だ。TGモデルに比較すると多少シルエットが大きくなり、引き抵抗が増すのは間違いないが、TGモデルとはバランスを変更することで、引き抵抗を減らし、フックが絡みにくい、ボディに傷がつきにくい形状を採用している。
ディープの大鯛を
ドテラ流しで釣るスタイル
玉噛みに加え、紅牙ブランドが取り組んでいるのが「ディープコンセプト」だ。フィールドからの要望に対応する、というシンプル、しかし重要な方向性だ。
玄界灘や錦江湾など、水深70~80mラインをドテラで大流しという攻略スタイルや敦賀などの日本海の潮の動きに乏しいエリア、または水深200mに迫るエリア、なおかつ大鯛の実績が高いフィールドの釣りに対応する、というコンセプトが核となっている。「ディープ」「大鯛」「ドテラ流し」がキーワードだ。
水深が70~80mであっても3回ほどタイラバを落とし直すと、200m程度のラインは一瞬で出て行ってしまう。このような釣りに対応するにはヘビーなタイラバヘッド、相応のラインキャパシティと重いタイラバを快適に巻き上げることができるパワーを備えたリールが求められる。TGブレードブレーカー玉神、ブレードブレーカー玉神には200g、250gのヘッドが用意された。さらに紅牙ブランドのリールとしては初の200番サイズとしてリリースされたのが「紅牙IC200」だ。
紅牙IC200
紅牙IC200のパワーを生み出しているのはダイワが誇る最先端テクノロジーの数々。ハイパードライブデジギア、ハイパードライブデザインなどの搭載だ。また、たわみの少ないアルミ製150mmクランクハンドルを採用することで、ヘビーウエイトのタイラバの巻き重りに負けない力強いリーリングを可能にしている。ライトタックルを前提としながらも、タフさも併せて求められるディープタイラバゲームならではの仕様だ。ラインキャパシティについてはPE1号を600m巻き込むことができる大容量スプールを搭載。いかなるディープエリアでも十分に対応が可能だ。
ドラグは実用作動域の0.5kg~4.0kg付近のドラグ調整幅を拡大したATDを採用。さらにスプール回転を検知してドラグの作動を電子音で伝える「電子ドラグサウンド」を搭載。わずかではあるがラチェットの抵抗が存在した引き出しクリック(機械式構造)に比較して、よりスムーズなラインの放出を実現。よりシビアに、ファイト時の真鯛に対する違和感を考えた結果のドラグシステムだ。
幅広く、そして深く。
これからの紅牙ブランドが目指すもの
スタートから10年。紅牙の歩みは加速を続けている。タイラバシーンは成熟の度合いを深めてもいる。だからこそDAIWAではあらためてタイラバの面白さを体験してもらいたいと考えている。紅牙はエントリーモデルからハイエンドモデルまで、ラインナップが充実しているのが強み。紅牙の製品のなかから自身のスタイル、フィールドに合ったものが必ず見つかるはずだ。そして紅牙の製品を使っていれば釣れる、という安心感を持っていただけると確信している。
確かなモノを作ってきた。ブランドを大切に育ててきたという自負もある。中井一誠をはじめとするテスター陣、タイラバという釣りだけで生計を立てている船長たちも深く関わっている。紅牙を使っていれば釣れます、そう胸を張って言い切ることができるのは、膨大な量のフィールドテストの積み重ねがあるから。幅広く、そして深く。紅牙ブランドはこれからもタイラバの世界を追求していく。
ミスター紅牙。
フィールドテスター、
中井一誠の存在
紅牙ブランドを語るに欠かせない人物がいる。それはフィールドテスター、中井一誠だ。中井チューン、フレアリーフ、スリルゲームといった代表作は言うまでもなく、あらゆる場面においてアイデアの核を提供してきた重要人物だ。
「紅牙ブランドの顔でありリーディングテスター。時代を引っ張っていく釣り人です。パイオニアだし、常に新しいことにチャレンジし続ける姿勢もあります。彼が考えたものを具現化、何もないところから二人三脚で作り上げてきたのが紅牙とも言えます」と開発担当者。中井とDAIWAの絶大な信頼関係が紅牙の礎だ。ここからは中井の言葉を紹介していこう。
紅牙ブランド、スタート時の衝撃
「紅牙のスタートで印象的だったのはやはり遊動式の登場です。タイラバは固定式のときからやっていましたけど、アタリは多いけれどバラシもめちゃくちゃ多い。どうにかならないかな、と思っていました。最初は遊動式になっただけでそんなに変わるのかな?と思っていました。たまたまロケがあって最初に何枚か固定式で釣ったあとに半信半疑で遊動式を試したんです。そうしたら爆釣。すべてバラすことなくキャッチできました。これは凄いなと。衝撃でした。小さなハリ、しかもSaqSasを採用したことも大きかったと思います。フッキング率が高くなりましたからね。ベイラバーフリーのフッキング率とバラしにくさ、紅牙を立ち上げたときの衝撃といえばこの2つですね」
紅牙10年でのメモリアル製品①
中井チューン
「なんとかお客さんに釣らせたい、と試行錯誤しているなかで生まれたのが中井チューンです。他社のネクタイより紅牙のネクタイは少し厚かったんです。ちょっとヒラヒラ感が足りないな、と思っていました。薄くないので細くしたらヒラヒラ感が出るかな、と思ったのが中井チューン誕生のきっかけです。それまでのネクタイをハサミで切って細くしたらめっちゃアタリが出始めました。ちょっとしたことで、これだけ釣果が違うのか、と自分でも驚いたくらい。当時からラバースカートはゼロでした。スカートまで入れちゃうと選択肢が増えてしまうので。とりあえずなくしてシンプルなところからスタートした感じですね。でも、シンプルにしたほうが釣れる、という考えに落ち着きもしましたね。
中井チューンが生まれたのは自分のホームが和歌山県の加太ということも大きいと思います。漁師さんがタイサビキという釣法で真鯛を釣っている海域です。長いサビキにビニールの切れ端をつけてやる漁法で、これをゆっくり巻き上げて釣るんです。漁師さんからビニールの大きさや色、潮色の濁り具合に合わせた選び方などを教えてもらっていたので、ネクタイに対する考え方にいろいろ応用できましたからね」
紅牙10年でのメモリアル製品②
フレアリーフ
「いまはどこでもタイラバのフックにセットするトレーラーが出ていると思いますが、その一番最初の製品だと思います。テーマはフッキング率をいかに向上させるか、ということでした。遊動式であっても掛からない鯛は掛からない、フッキングしても外れる鯛は外れます。もう一歩進める、より獲れるものはないかな、と思っていました。フレアリーフの原点は風呂場で発見したんです。湯舟の中でタイラバを引いていたらネクタイとハリが離れることが多いことに気づいたんです。これではネクタイを食いにきた鯛が掛かりにくいし、掛かってもバラしやすい掛かり方になる。ネクタイとハリが同調するためにはどうしたらいいんだろう、と思いました。抵抗が生まれればハリが浮いてネクタイと同調しやすくなる。それでハリの上にソフトビーズを入れたりもしましたが、いまひとつ使いにくい。何かないかな、と思っていたところ、ふと思いついてアジング用のワームをつけてみたんです。そうしたらハリとネクタイが同調した。あ、これやと思いましたね」
独創的な製品を生み出す
アイデアの源泉とは
「ありがたいことにいろいろなフィールドで釣りをさせてもらっています。それでホーム以外のフィールドで釣りをしているとフッと気づくことがあるんです。自分のフィールドにはないけれど、ここではこんな釣り方が効果的なのか。これを自分のフィールドで試したらどうかな、というようなことです。この考え方を基にした試行錯誤で気づくことは多いですね。別の釣りからヒントを得ることもあります。これ、こうしたら便利じゃないかな、これを鯛釣りでやったらもっと釣れるじゃないかな、とかですね。
ホームでも気付きはあります。仕事柄、操船しながらお客さんを後ろからずっと見ていることが多いわけですが、初心者の方、初めてという方もいらっしゃいます。とくに慣れていない人に対して、こうしてあげたらもっと釣れるようになるのに、もっとこうしたら便利だな、とフッと思いつくことは多いですね。
釣れないときは固定観念を捨てていろいろなことを試します。試してみてこれは、と思えたら家に帰って試作してまた釣りをします。この繰り返しのなかで製品につながるようなものが見つかることもあります。なかなか簡単に答えは出ませんけどね。でも、ひとつだけ言えるのはとにかく釣りをすること。これが一番ですね」
紅牙とともに歩んだ10年とは
「紅牙とのお付き合いが10年続いた理由は、やっていて楽しかった、これが一番だと思います。自分が考えたものがモノとなって形になるって楽しいですよ。それがあって10年続いてきたのかな、と思います。釣れるモノがたくさん出来ましたし、そうした製品を使って釣れるとお客さんも喜んでくれます。
これは、と思ったアイデアを担当者に伝えるとすぐ試作を返してくれる、この関係性も大きいと思います。アイデアを伝えても止まってしまうことも多いと思いますけど、こちらが驚くほど早く返してくれる。こちらは無理難題、わがままも言いますからね。ずっと良好な関係性を保てたことは、いろいろな製品をリリースできた要因のひとつだと思いますね」
あらためて振り返るタイラバの魅力。
これからの紅牙
「タイラバの魅力はタックルがライトで少なくて済む、コンパクトに楽しめるところだと思っています。いろいろな魚が釣れるところもいいですよね。真鯛はゲーム性があってすごく面白いですけど、それ以外にもアマダイ、ハタ系など、いろいろな魚が食ってきます。ここも魅力ですね。タイラバほどいろいろな魚が釣れるルアーはないんじゃないですか? タイラバはもはや万能ルアーになりましたからね。入門しやすいけれど、奥は深い。そんな釣りだと思いますね。
タイラバにはまだまだ進化の余地はあるし、楽しめる釣りだと思っています。タイラバ自体、タックルの進化によって進化してきた釣りです。たとえばリールについては10年、20年前に、もうこれ以上のものは出来ないんじゃないか、と思ったときがありました。でも現実は年々、進化しています。タックルが進化することで出来る釣りが増えてきました。だから、今後も紅牙も進化していくと思います。僕自身、解決できていない疑問はまだまだあります。アイデア、発想、タックルの進化、リレーションシップ。こうしたものが、まだまだ紅牙を進化させていくと思いますよ」