angler's IMPRESSIONS
佐野ヒロム / 仲村茂樹 / 瀬川良太 / 佐藤偉知郎
SALTIGA angler's IMPRESSIONS
佐野 ヒロムHIROMU SANO
パワーと高剛性はもちろん、
ルアーの操作性まで高い。
欲しかったのは軽い巻き上げと強化したドラグ、より大型の番手
25SALTIGAの開発に参加させてもらうにあたって、僕からはいくつかの要望を出させてもらいました。それは、より軽い巻き上げ、クロマグロに代表される大型魚への対応力を強化したドラグ、大型番手の必要性などです。
堅牢さについては20SALTIGAですでにかなりタフなリール、壊れないリールになっていました。MQ(モノコックボディ)になってからはボディの撓みも感じないくらい。ギアが壊れるようなこともほぼ聞いたことがありません。こうした良い部分は継承してほしいという要望も出しました。
度重なるテストを経て完成した25SALTIGAを使ったとき、一番強く感じた変化は巻きの強さと巻きの軽さです。巻きの強さを実感したエピソードがあります。ニュージーランドで25SALTIGA14000-XHのプロトモデルを使ってジギングをしたんです。普通はXHでヘビーなジギングはやらないと思いますが、テストの意味もあって挑戦してみました。
結果的には、快適に1日を通してしゃくることができました。十分な剛性があるし、巻き上げパワーがあります。巻きの強さはしゃくっているときにも感じますし、魚を掛けてからもグイグイ上げて来ることで実感できました。そんなに大きい魚とは思わなかった、と周りから言われるようなファイトもできました。僕より体力がない人でも、普通にジギングできたので、凄いパワー、剛性だと思います。
自重としては20SALTIGAより少しだけ重くなっているようですが、デカくなったドライブギア、OVERSIZED POWER DIGIGEARが入っているので重心が後ろの方に寄っています。全体的なウエイトバランスが良くなっているので、違和感なく使えましたし、実際に使うと軽くなったように思えるくらいです。
パワーだけではない。
思い通りにルアーを動かせる巻きの軽さがある
ルアーを操作しているとき、滑らかに軽くハンドルを回せることにも驚きました。ローターが慣性で回って軽く感じるのではないので、初動から軽さを感じることができます。しっかり止めようと思うと止めることもできる。ハンドルから入力した力がドライブギアを通して、いろいろな部分に伝わっていくわけですが、それがとてもスムーズなんです。
このスムーズさはルアーの操作性向上につながります。近年、マグロ狙いなどで求められるルアーアクションがよりシビアになっています。ロッド、ライン、ルアーなどの進化に合わせ、テクニックも進化しています。たとえばポッパーを扱うときでも、ポッピングしてからバックスライド気味に動かして泡の中に残す、という演出法が求められたりします。エリアトラウトの世界でマジックジャークと呼ばれるようなアクションパターンです。
ルアーを止めるところで止める。戻すところは戻す。こうした動かし方は操作性の高いリールでなければできません。ローターが慣性で回ってしまうと、ルアーを引いてしまい、理想の動きが出せません。連続でアクションさせても泡を出さないで、潜るだけを繰り返す動きになったりします。
大型リールでこうした繊細なアクションを演出するには、強い巻きが可能なだけでなく軽さも必要。巻きの軽さを出すためには大口径のドライブギアはとても有効です。自転車にたとえるなら、坂道を登るためのハイギア。軽い力でルアーを連続アクションできるスピードとパワーを得ることができます。
強さの証しであるリールのリア部分
あの部分がたまらなく好きですね
25SALTIGAは繊細なアクションを演出できる、思い通りにルアーの動きを出せるリールです。MQが前提になりますが、やはり大口径化したギア、OVERSIZED POWER DIGIGEARの威力は大きい。大きく厚くなっただけでなく、ギアの歯面の精度、角度が追求されていて嚙み合わせも追い込んでいます。大型のリールになると繊細な部分が犠牲になっていた傾向があると思います。でも、自分たちは、パワーはもちろん操作性も追求しています。OVERSIZED POWER DIGIGEARは摩耗が少なくなっていて、使用できる期間が長くなっている点も嬉しいですね。
基本的にはいままでの力強いデザインが継承されてますし、カラーも凄くいいと思います。デカいOVERSIZED POWER DIGIGEARを入れるためボディのお尻の部分がデカくなっていて、たまらなく好きですね。強さの証しだし格好いい。心臓部がデカく、ボアアップされているって感じがいいです。
デカくなっているのに、使ってみるとしっくり来る。軽ささえ感じる。MQとOVERSIZED POWER DIGIGEARの組み合わせはやっぱり凄いんだな、とあらためて感じさせてくれますね。
SALTIGA angler's IMPRESSIONS
仲村 茂樹SHIGEKI NAKAMURA
“突き抜けた強さ”が一番うれしい。
ルアーを投げて引き続けるGTゲームでは
キャストが重要
ガイドとしてもアングラーとしても、僕がメインスタイルとしているのがGTキャスティング。この釣りはキャストしている時間がとても長い釣りです。それゆえにキャストという動作がとても大切。リールには遠投性能はもちろん、投げ続けても、ルアーを操作し続けても疲れにくいことが求められます。
トラブルレスということも重要。キャストによるトラブルは20SALTIGAでも本当に少なく、快適にキャストできていました。でも、25SALTIGAでは、それ以上の快適なキャストフィールです。プロトモデルを使って3日間、GTを狙って投げ倒しても、ライントラブルは1回もありませんでした。飛距離もラインがストレスなく出ていく感触があり、十分な伸びも感じました。
スプールから放出されるラインを注視しましたが、らせん状のループがロッドのバット部に当たることもありませんでした。8号、10号ラインを使っても元ガイドにバタバタッと当たるようなこともなく、凄くスムーズな放出でした。新しく搭載されたLC-ABS SWの効果には驚きましたね。
ロッドをぶち曲げた状態でも
ハンドルを回すことができた
意外に思うかも知れませんが、GTとのファイトタイムは3分、4分ということも多く、とても短いのが特徴。素早くファイトをしないと根や障害物に巻かれ、ラインブレイクにつながるので緊迫したやり取りになります。ファイトのときはロッドを大きく曲げ込みながらもハンドルを1回転でも多く回す、ラインを1cmでも多く巻き取ることが重要です。少しでも距離を縮めて有利に展開したいという理由から、高負荷時でも巻けるリールが理想になります。
テスト釣行では25SALTIGA14000-XHを使い100kg弱ぐらいのサメを掛けました。リールのテストなのでパワーファイトをしましたが、ロッドがぶち曲がっているところで、ゴリ巻きしてもかなり巻けたので、力強さとともに滑らかさも実感できました。これまでは高負荷時には巻けない場面が多かったんですが、ギシギシ巻くのではなく滑らかに巻ける。ボディが苦労しているような感覚はまったくなし。大型化されたMQ(モノコックボディ)の剛性は強烈でした。20kg、30kgのGTに対する巻き上げパワーとしては、あり余るものがあると思います。このあたりは、大きくなった OVERSIZED POWER DIGIGEAR、MQの相乗効果だな、と強く感じましたね。
ローターも強い。高負荷ドラグでファイトをすると、どうしてもローターには負担が掛かりますが、歪むような感覚はまったくありませんでしたね。さすがPOWERDRIVE ROTORという印象です。まさに堅牢という言葉がぴったりだと思います。
シンキングの釣りを快適に行える
巻きの軽さが凄い!
25SALTIGAは、巻きのパワーを追求したことがはっきり分かるくらい、驚くほど巻きが軽くなっています。とくに負荷が掛かったときが凄い。大型ポッパーを使うとその感覚が分かりやすいです。アクションはロッドで行いますが、回収がけっこうキツイ。1日通して何百回もキャストすれば、それだけ回収作業も増えます。GTキャスティングではこんなシーンは当たり前ですが、25SALTIGAの巻きの軽さは非常に疲労軽減につながります。
これはPOWERDRIVE ENGINEのなかでも、OVERSIZED POWER DIGIGEAR、摩擦抵抗を軽減するROLLER POWER OSCILLATIONの恩恵が大きいのでしょう。
巻き上げの強さ、軽さは近年、流行しつつあるシンキングの釣りでも威力を発揮します。シンキングルアーはアクションさせると引き抵抗が凄く大きいものが多いんです。ラインの抵抗も加わって、潮が当たっているときなどは本当にキツイ。一投で嫌になることがあるくらいキツイときもあります。
でも、25SALTIGAでやると驚くほど引きが軽い。やはり巻きの軽さ、パワーが凄いんですね。MQとPOWERDRIVE DESIGNの真価、20SALTIGAとの確実な違いを感じられるところだと思います。また、何時間も投げ続け、引き続ける釣りなので、体力が残ることは飛距離をキープできることにつながります。そういう意味では、巻きの軽さはキャスト性能にも貢献していますね。
25SALTIGAを使うと、いろいろなことを突き抜けて強くしたことをダイレクトに感じられます。アングラーであり、ガイドという立場もあって、使用頻度が高い僕からしたら突き抜けた強さがある点が一番うれしい。もちろん強さだけでなく、快適に投げられて、軽くも巻ける。それで堅牢性がズバ抜けている。ぜひ万人に使ってもらいたいリールですね。
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瀬川 良太RYOTA SEGAWA
素晴らしいキャスト性能が
チャンスを拡げてくれる。
キャスト性能が素晴らしく
気を使わなくていいので快適
25SALTIGA、かなりいい出来だと思います。初期のプロトモデルから使っていますが、25SALTIGAをしばらく使ってしまうと、20SALTIGAを使うのが少しキツく感じてしまうくらいです。
最初にキャストしたときから違いを感じることができると思います。飛距離があきらかに違うんです。それにキャスト動作が楽。これまでは毎回、ルアーの飛行姿勢を綺麗に整えて、しっかり投げて飛距離を伸ばそうと気を使っていました。でも、25SALTIGAではそういう配慮をしなくても、ルアーが綺麗に飛んでくれる。ラインもスムーズに出ていきます。だから、とてもキャストが楽。気を使わずに気持ちよく釣りができます。
キャストが楽、ということを一番感じたのはSALTIGA CUDDLER200Fのテスト釣行、ショアからの釣りのときです。
そのときのSALTIGA CUDDLER200Fは、ボディバランスがまだ決まっていない状態でした。そういうルアーは飛ばすのがけっこう大変で、オートマチックには飛んでくれないんです。自分でいろいろ整えて投げないと飛距離が出ない。そういう未完成状態のルアーだったんです。それが25SALTIGA18000-Hを使って投げると綺麗に飛んで行ってしまうんです。ラインが出ていくスピードが一定で、しかも綺麗に出ていくから、キャストスピードを調整しなくても勝手にビューッと飛んで行っちゃう。これには本当に驚きましたね。
LC-ABS SWというスプールは、巻糸部上側面に、スプールリングに向かう二段テーパー形状を採用していて、太いラインを使ってキャストしてもスムーズに綺麗に出ていくんです。この違いは投げてもらえば、誰でも一発で分かると思います。
25SALTIGAを使って、ボートからナブラ撃ちをやって感じたのは、これまでの感覚でキャストするとナブラを追い越してしまう、ということ。20SALTIGAと同じように投げると飛びすぎちゃう。フェザーリングして飛距離を調整したんですが、それくらい体感的にも大きく飛距離が変わる。とくに後半の伸びが変わってきますね。
ラインが出ていく、らせん形状がすごく綺麗なんですよね。ノイズが減っている感覚もあります。たとえば15SALTIGAのときは10号ラインを使って投げるとバタバタってラインが放出されていました。20SALTIGAになってからはバタバタとは出ないんですが、ブブブブッと出ていく感じになりました。バタバタという感覚がもっと小さくなって、ラインも綺麗に出てはいくんですけど、やはり手に抵抗の感覚は残るんです。25SALTIGAになってからはシューっと綺麗にラインが出ていくようになりました。10号が8号、8号が6号に感じる、ひとランク細い感覚でラインがスプールから出ていく印象があります。これはなかなか凄い進化だと思います。
魚を掛けるまでも掛けてからも
巻きたいときに巻ける
巻きに関しても進化してます。メチャメチャいい。20SALTIGAからそれほど不満はありませんでした。ただ、ルアーローテーションをしていくなかで、大型のダイビングペンシルやポッパーを投げてアクションさせると、巻きが凄く軽くなったな! って実感します。GTキャスティングではシンペンとかミノーを使うときもありますが、そういう引き抵抗の大きいルアーを使うときもとても楽になりましたね。
魚を掛けるまでも巻きの軽さ、力強さは感じますが、掛けてからも「これは凄い」と思ったことがあります。小笠原の母島でおそらく60kgオーバーのイソマグロと思われる魚を掛けたんです。やり取りしていて、これまでだったら巻けないときでも巻ける、ハンドルが動かせると感じました。リール自体の剛性の凄さを実感した経験でした。やはりMQとOVERSIZED POWER DIGIGEARのおかげでしょうね。
韓国で20kg級のヒラマサともファイトしました。このクラスであれば巻きたいと思ったときに巻けない、ということはなかったです。楽に巻けましたよ、クルクルクルって(笑)。
ボディ剛性は20SALTIGAのときから満足してましたが、確実に巻き上げの力は上がっていると感じます。HとかXHモデルを使っているのに、巻き感としてはPモデルを使っている、という感じです。
ファイトをしているときは一生懸命なので、その瞬間は巻きが軽い、とか思いませんが、あとで動画を見返したりすると、凄く動きがスムーズ。大きな魚とファイトしているように見えなかったりする。これまでとは自分の動きが変わっていますね。
デザインでとくに気にいっているのはボディ。OVERSIZED POWER DIGIGEARを納めるためにデカくなっていて、凄く武骨だけど男の道具って感じがして格好いい。シンプルにデカくてドーンッとしている雰囲気。凄く気にいっています。
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佐藤 偉知郎ICHIRO SATO
これなら獲れる!
革新的なドラグシステム。
強さはもちろん、
巻きの軽さもさらに上を目指した25SALTIGA
完成した25SALTIGAを使って、最初に強く感じたことは、巻き心地が凄く軽くなっている、ということ。20SALTIGAの巻き味も嫌いじゃないし、重くもなかったですけど、やはり比べると凄く軽くなっているのは確かです。
もともと僕がSALTIGAに求めていたのは強さ。これは巻きの強さでありギアの強さ。強さを求めたがゆえの巻き感には満足でした。でも、25SALTIGAでは、さらに上を目指そうということで、巻きの強さはもちろん、巻きの軽さも実現できた、ということです。
巻き上げの軽さを感じる場面は大きく魚を掛ける前と後に分けられます。魚を掛ける前としては、ルアーを操作するときなどに感じる、微妙な、小さな振動がなくなりました。スムーズで軽い。明らかに満足できる軽さだし、かなり軽くなったということは、誰が使ってもわかってもらえると思います。誘い出しを続けるような状況でも、疲れがだいぶ減ると思います。
マグロキャスティングゲームでは、ファイト中でのリールの巻きの軽さ、重さは、疲労とは直結しない、と考えています。ロッドの反発力をしっかり使って寄せてきますからね。それにも関わらず巻き上げの軽さをはっきり感じたわけですから、逆にかなり大きな変化とも言えますよね。25SALTIGAでは、80~100kgくらいまでのクロマグロを10本以上掛けています。掛かりどころにもよりますが、どれもかなりファイトタイムは短くできました。
ギア、ボディの剛性感は当然、
全体的に弱い点が見当たらない
巻きに関してですが、OVERSIZED POWER DIGIGEARの搭載が大きいですね。20SALTIGAに比べてドライブギアの口径が約10%大きくなっていて約6%厚くもなっている。でも、単純にギアを大きく厚くしただけでなく、歯面形状も最適化されているんです。つぶれとか故障の原因にもなりやすい、ベアリングに頼って巻きを軽くするのではなく、ギアの歯面で巻き上げの軽さを追い求めた、ということです。強くて軽い巻き上げに大きく貢献しているのも分かりますよね。
ボディの剛性、耐久性については20SALTIGAのときからMQ(モノコックボディ)を採用していたので十分に満足していました。25SALTIGAではギアサイズに合わせてボディがさらに大きくなっていますが、バランスがいいので、大きさの変化はほとんど感じません。MQもさらにも追い込んでいるのかな、という印象です。
POWERDRIVE ROTORに関しても同様です。ベール周りに関してもCRANK POWER BAIL、TOUGH LINE ROLLER SYSTEMを搭載して強化しています。もちろん、ボディ、ローターなどはそれだけでは語れないのは確か。全体のバランスが大切です。ただ、自分が使った感じでは、どこにも弱点がない印象です。
長時間ファイトをしても固着せず、
熱ダレも少ないドラグ、DRD
25SALTIGAで注目したいのは18000番以上に標準搭載している新しいドラグシステム、DRDです。ATDなどのドラグシステムではカーボンワッシャーと金属のプレートを組み合わせて構成されています。基本的には優秀なシステムですが、モンスターサイズのマグロやカジキなどとの長時間ファイトになると、カーボンワッシャーの樹脂が溶けて設定値が下がったり、一度溶けたワッシャーの樹脂が冷えて固まり、固着したりするトラブルの可能性があります。
DRDはすべて金属製のドラグシステムなので、溶け出すことがありません。ただ、長時間ファイトするとスプール自体がアルミでできているので、ドラグを含め、どうしても熱膨張は起きてしまう。これはどのスピニングリールでも同じ。宿命と言える現象です。でもDRDは高熱になって膨張、多少変化して設定値が少し落ちても、そこで締め直せば元の設定値に戻すことができ、スムーズに機能します。
ドラグが滑って放出されるラインの量も、いままでのシステムよりもかなり少ないと思います。100kgくらいのクロマグロを何本も獲りましたが、走れないんですよね、魚が。掛かり方にもよりますが、100kgクラスでも5分、10分でキャッチできたりしました。画期的ですよ、どうみても。素晴らしいドラグシステムであることは間違いありません。
DRDではカーボンワッシャーのシステムに比べて10m、20m走られる距離が短くなっている気がします。ぜひマグロ狙いのアングラーに試していただきたいドラグシステムですね。