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IKA METAL STORY

船のライトゲームにおいて、カウンター付きベイトリール(以下、ICリール)のアドバンテージは、誰しも認めるところのはずだ。船長が指示するヒットレンジを、タナぼけすることなく攻め続けるためには、ライン放出量が数字で正確に把握できるカウンターは、頼もしい味方となってくれるのだから。

その便利さを分かった上で、カウンターを敬遠するアングラーは少なくない。引き換えにしなければならないネガ要素が、今まではデカすぎたのだ。カウンターの機構を乗せたその分、自重がきっちり重くなる。ボディもデカくなり、握り心地もいまひとつ。素材の都合上、フレームの剛性も物足りない。

ただ、それはもはや過去のICリールである。近年は、キャタリナICなど、実戦でストレスなく使えると評価していただけるようなものが、続々と、ラインナップされている。

そして、2020年、胸を張って、ティエラICを送り出す。

カウンター搭載にして、自重165g。
常識にケンカを売ったような軽さ。

ティエラICの開発に携わった、イカメタルの伝道師、岩城透テスターはいう。
「ロッドとセットにしても、250gを切るんですから。ものすごいモノができましたよね」

軽い方が疲れないのは、もちろんわかる。それにプラスして、軽さはイカメタルの釣りに大きなメリットをもたらす。
「イカメタルの釣りは、ロッドの穂先にさまざまに表現されるアタリを取って掛ける釣り方が基本ですけど、慣れてくると、アタリが手でも感じ取れるようになるんですよ。極端なことをいうと、穂先を見てなくても、手感度だけでも釣ることができる。要は、イカが触れば何かしら、手に伝わってくる感覚に変化が出るわけじゃないですか。軽くなるか、重くなるか。当然、タックルが軽い方が、微妙な変化までも感じ取れる回数が増えるんです。そのために徹底的に軽さにはこだわりましたね」

手感度だけでも釣れる。この意味は、実はイカメタルの釣りにおいては、予想以上に大きい。
「釣りは手に任せて、その分、周りをよそ見する余裕が生まれるんです。そこから得られる情報が、ものすごく大事なんですよ。周りの同船者を観察して、例えば、隣の人はエギとスッテ、どっちに掛けているかな?とか、フォールとかステイの、どのタイミングで乗せているかな?とか、リアルタイムで状況を把握しながら、今日のパターンを掴んでいくんです。そのために、よそ見は大事で、その間もアタリを取るための手感度が大事で、それを生み出す軽さは大事と、そう繋がるわけです」

その日の釣りの流れを組み立てるためには、周囲の観察が大事だという岩城テスター。大局が見えれば、イカメタルが、船上で過ごす時間が、もっと面白くなる。

だが、そうなると、肝心かなめのカウンターも見てないことになる。実際、岩城テスターはそうだ。なのにタナは正確に把握している。一体、どういうカラクリだというのだろう?これは実はティエラICに搭載された、強烈に使える新機能のおかげなのである。
「カウンターの機能の中に、『デプスアラーム』っていうものがあって、これがもう筆舌に尽くしがたく便利なんですよ。設定すると、10m、ラインが出るごとに、アラーム音が1回、鳴るんです。20mで2回、30メートルだと3回です。40mだとまた1回に戻る感じで、それがループします。カウンターを見なくても、音でラインの放出量がわかるんですよ」

タナを知るのに、ラインの色分けを見なくていい。ICリールなのにカウンターすら見なくていい。音で知るのだ。
「カウンターがなまじっか付いていると、ずーっとカウンターを見ちゃいがちなんですよね。それでは周囲の大事な情報を見落としてしまう。本末転倒です。だけど、アラーム音があれば、カウンターを見なくていい。それに、僕もそろそろいい歳なんで、カウンターの小さな画面を覗く続けるのは大変で(笑)」

デプスアラームは、年長組の味方でもあるのだ(笑)。
「極端な話、船長からヒットレンジを教えてもらったら、僕は目隠しをしてても、多分、イカを釣れると思います。音と手感度だけで。そんな曲芸みたいなことをするつもりはないですけどね(笑)」

でも、そんな曲芸みたいなことを可能にしてくれるリールだという。

イカメタルに最適なダイワのICリールは、『ティエラIC』、『キャタリナIC』、『LIGHT SW IC SS』
自分の穂先ばかりを注視しすぎず、他のアングラーの釣れ方、ベイトの回遊具合など、広く観察したい
コンパクトなZAIONボディ。
剛性にはいささかも不安なし。

ICリールが敬遠される理由のひとつ、重さを、165gの自重で見事に解消したティエラIC。
「キャタリナICが出たときに、僕の感想としては、コンパクトだし、剛性は高いし、個人的な好みとしては、がっちり丈夫なリールが好きなので、高く評価していたんです。ですが、ある女性アングラーに使っていただいたら、それでも重い、握りにくいって、言われてしまったんですよね」

タイラバやライトジギングも視野に入れたキャタリナICは、イカメタルにも十分、お使いいただける自信作ではあるが、堅牢寄りに振った分、やや重く、大きいかもしれない。男性アングラーならば、気にならないくらい握りやすいだろう。ティエラICはむしろ小さすぎるのではないかという懸念を抱いているのであれば、ぜひ握ってほしい。
「ビックリするほど楽です。イカメタルの釣りって、ワクワクが抑えられなくて、みなさん、スタートから飛ばすんですよ。船長が、時合は明かりが効き始めてからだから、まだまだ先だよって、どれだけ言っても聞かない(笑)。気持ちはわかりますけどね。で、本当に今からってときに、みなさん疲れて竿が止まっちゃうんですよ。やるのは今!ってときに限ってね(笑)。ですが、ティエラICだと、1日やっていても疲れない。釣り続けられる。みなさんも驚くんじゃないかな」

手が大きい方、腕力のある方でも、握り心地のよさ、疲労感の少なさは、きっちり味わっていただけることだろう。ましてや手の小さい方ならなおさらだ。
「ティエラICは、ボディーをコンパクトにしたかったので、スプールも小さくなっています。でも、スプールを小さくすると、巻きスピードが遅くなりますよね。だからギヤ比は8.1のハイギアにしています。巻取り長さは76cm/1回転ですね。ハイギアでもすごく楽に巻けるのは、ギアやスプールを支えるフレームとサイドプレートが、ザイオン製で、がっしりしているからなんです」

ザイオン(ZAION)とは、ご存知の方も多いだろう、ダイワが誇る、カーボン繊維を織り込んだ樹脂素材である。ここだけの話、世にカーボン樹脂は数あれど、ザイオンはぶっちぎりでカーボン含有量が高密度で、別物といえるくらい剛性が高い。
「さきほどもお話ししたように、僕は丈夫でカチッとしたリールが好きですから、グニャグニャとたわむリールは耐えられない。でもザイオンは、軽さと剛性がしっかりと両立していますから、ものすごく安心感のあるフィーリングが得られますよね。世にあるカーボン樹脂が魚の身くらいの感じだとしたら、ザイオンはそれをもっとギュギュッと干物にして、旨味を凝縮させたような、硬さですよ。なんとなく伝わりますかね(笑)」

ティエラICは、圧倒的な軽さ、握り込みやすいコンパクトさ、剛性感のあるザイオンボディなど、イカメタルのあらゆる場面において、ストレスを感じさせない
ゆかちりが使っているリールは、LIGHT SW IC SS。エントリーユーザーにも手に取っていただきやすいモデルながら、イカメタルに必要な機能はしっかり備えている
極細PEラインが
必要量、巻けるスプール。

最後にひとつ、イカメタルのとっておきのコツを、岩城テスターに教えてもらった。
「簡単に釣りたいと思ったら、1番の秘訣があって、まずは糸を細くしてもらうことです。0.4~0.5号がベスト。0.6号でも、ちょっと太いかもしれません。0.8号だと、ラインは切れないんですけど、釣りはものすごく難しくなっちゃいますね」

ティエラICには、0.6号が200m巻ける超浅溝スプールの、105XH/XHLがラインナップされている。ここまでの細糸対応スプールは、過去にはなかった。
「ティエラICは、イカメタルの釣り専用といってもいいくらいのセッティングになっています。イカメタルに対するダイワの本気を見ていただきたいですね」

深場からの巻き上げも楽なアルミ製100mmクランクハンドル。ドラグ引き出しクリック音搭載のATDドラグ。塩による固着などに強く、繰り返しのオンオフにもへこたれない、タフ&リジッドクラッチシステム。

高い基本性能と、イカメタルにばっちりマッチするスペックを備えているのが、ティエラICなのである。

岩城透
イカルアーメーカー・アニサキス代表にしてダイワフィールドテスター。攻撃的な展開を身上とするイカメタルの伝道師として活躍中。タルイカジギングの提唱者でもある
光安友香莉
愛称はゆかちり。福岡を拠点とするSFA(スーパーフレッシュアングラー)。タイラバをはじめとしてオフショアのさまざまなターゲットを楽しむ