金属同士の接触を徹底排除。
絶縁パーツを各部へ配備。
クラッチユニット構造
塩噛みさせない、固着させないクラッチユニットの構造
絶縁カラーの配置や絶妙なクリアランス、グリス馴染みもコントロールする機能などを加えて進化してきた。常に酷使する稼働部でありながらトラブルを未然に防ぐように、改良を積み重ねて続けてきた機構だ。左図はハイパータフクラッチの断面図。①はボールベアリングとピニオンの間に電蝕を防ぐための絶縁パーツを追加した箇所。②はクリアランスを最適化。ピニオンと絶縁パーツ間のスペースのグリス切れを予防。③は海水の侵入口となるゼロアジャスター部をOリングで防水。④はピニオン部。ボールベアリングの受け部の形状を変更。クラッチ稼働時のグリスの馴染みを改善。⑤はピニオンそのもの。より高強度、高耐食性グレードの材質に変更。上写真は実際のピニオン周囲のパーツで、このように接触部を絶縁パーツで保護
ハイパータフクラッチにおけるオンオフの構造
クラッチレバーを押し込み、「クラッチ・オフ」にすることでピニオンが稼働し、スプールがフリーになる。ハンドルでクラッチを返し、「クラッチ・オン」でドライブギアとピニオンの歯面が噛み込み、ハンドルと連動してスプールが回転する
ベイト(両軸)リールでクラッチというと、クラッチレバーを想起しがちだが、それだけを指すのではない。このクラッチレバーを押すことにより、内部パーツが瞬時に稼働し、ドライブギアとピニオンおよびスプールとの切り離しまで連動する、ひとつなぎのシステムのことだ。つまりクラッチは、スプールをフリーにしたり、巻き上げの動作に移ったりするための、まさに駆動の要なのだ。
クラッチの主なトラブルの原因は、スプールとボディフレームの隙間から浸入する海水によって内部のクラッチシステムが腐食や固着し、クラッチ内部システムが正常に動作しなくなること。その意味で海水はベイトリールにとって不倶戴天の敵ともいえる。ベイトリールの釣りでは、キャストやフォールのたびに、クラッチのオンオフを絶えず繰り返す。クラッチが作動しないことには、釣りにならない。高度な耐久性が求められる稼働部なのである。
それゆえ、ダイワは長年、クラッチシステムの改良にたゆみなく取り組み続け、このハイパータフクラッチにおいてひとつの完成に到達した。
腐食に強い素材のピニオンを採用するとともに、従来機種で実績のあるソルトバリアタフクラッチで培われた機能も生かされている。これは金属同士が接触することで起きる電蝕を防ぐために、ユニット内の金属同士の接触部分に絶縁パーツを介在させる機能。これを搭載することで、潮噛みや固着に対しても非常に強いトラブルレスなクラッチが実現したのだ。