よく回るリールが、
いいリールと思っていませんか?
よく回るのは、ローターが重いからで、
そのリールは、もしかすると、あなたの釣りに大きな不利益をもたらせているかもしれません。
ローターは軽くあるべきです。
ダイワは長年にわたって、小型スピニングリールの「ローターは軽くあるべき」という信念を貫いてきました。
もちろん、軽さを追求するために、強さを犠牲にすることはできません。
その両方のバランスを保ったうえで、理想のローターを目指す。
その集大成が、
エアドライブローターなのです。
Chapter 1
ローターの重さは、スピニングリールの性能に
どのようにかかわってくるのか。
ローターの役割は「スプールにラインを巻く」ことです。
ベイトリールでは、ハンドルを回すと、スプール自体が回転し、ラインを巻き取っていきます。
いっぽう、スピニングリールでは、スプールは回転せず、ローターが回転し、スプールにラインを巻き付けていきます。
このローターには、回転するパーツとしてのバランスを保ったうえで、必要十分な強度も求められます。
ローターがたわんだり、ゆがんだりしては、スプールに均一にラインを巻き付けることはできません。
魚の強い引きに耐えうる一定の強さも必要になります。
だからといって、強さを重視するあまりに、軽さをないがしろにすることはできません。
スピニングリールにおいて、ローターは非常に大きなパーツで、それが重ければ重いほど、釣り人にとって大きな不利益となるからです。
それは、どういうことでしょうか。
ローターが回転することで生じる力を慣性といいます。
回転の慣性は、軸の周りで回転する物体が重ければ重いほど大きくなります。
また、その物体が軸から遠くにあればあるほど、大きくなります。
回転の慣性が大きくなると、回すときには大きな力が必要になり、一度回りはじめると、今度は長く回り続けようとします。
これを数式であらわすと、こうなります。
ハンドルを勢いよく回してみてください。
手を離しても回り続ける力――これが慣性です。
ハンドルノブから手を離しても、ハンドルはしばらく回り続けます。
これがローターの重さによって生まれる慣性です。
重いローターほど、大きな慣性がはたらきます。
Aのリールは、Bのリールと比べ、約15g重いローターを付けています。
この2つのリールのハンドルを同じ力で同時に回転させて、どちらが回り続けるか、見てみましょう。
Aのリールのほうが長く回り続けているのがわかると思います。
このようにローターが重いリールほど、ハンドルが長く回り続けることになります。
ハンドルが回り続けるのは、ローターが重く、慣性が大きいためで、
必ずしもいいリールというわけではないのです。
ローターが重いとハンドルの巻き始めも、重くなります。
AのリールとBのリールで、ハンドルの巻き始めに必要な力を比べてみましょう。
ローターの重いAのリールのほうが巻き始めに力が必要なことがわかったと思います。
では、慣性が大きいと、実際の釣りにおいて何が問題となるのでしょうか。
Chapter 2
ローターが軽いと釣り人にとって、
どのようなメリットがあるのか。
重いローターによる、大きな慣性は
ハンドルの操作性と巻き感度に、悪い影響を与えています。
ローターが重いと操作性が損なわれます。
ローターが重いと慣性が大きくなり、ハンドルを巻き始める時とハンドルを止める時に、より大きな力が必要になります。
結果として、巻き始める時と止める時のタイミングに遅れが生じてしまいます。
それによって、実際の釣りにどのような影響があるのか、見ていきましょう。
①ルアーの初動が遅れます。
巻き始め時のタイミングが遅れると、たとえば川ならば、そのわずかなタイムラグの間にルアーが流されてしまい、思い通りのスポットやコースを狙うことができません。
②思った通りのアクションがつけられません。
巻き始め時とストップ時のタイミングが遅れることで、リトリーブによる機敏なルアーアクションを操作することができません。
また、変化を感じた所でピタッとポーズを入れるといった誘いを加えづらくなります。
ローターが重いと巻き感度が損なわれます。
ローターが重いと回転し続けようとする慣性が大きくなり、巻き感度を損ねてしまいます。
自分の力だけでハンドルを巻いているつもりが、実際にはローターの慣性という別の力が加わっていることで、アタリがあっても勝手にラインが巻き取られてしまい、感度という形で手元に伝わりづらくなるのです。
具体的に見ていきましょう。
①水中の様子がわかりづらくなります。
流れの強弱など、水中の様子は、ハンドルの巻き抵抗の重さや軽さで判断できますが、ローターが重いと自分の手で巻く力以外の慣性が大きく加わることで、わかりづらくなってしまいます。
②アタリを感じづらくなります。
魚のアタリも、リトリーブ中の巻き抵抗の変化が手に伝わることで感じることができます。しかし、ローターが重いと、アタリがあっても自分の手で巻く力以外の慣性で巻き取ってしまい、アタリを感じ取りづらくなります。
このように、スピニングリールのローターが重いと、
アングラーに大きな不利益をもたらすことになるのです。
大型スピニングリールでは、ローターの重さによる慣性がハンドルの巻きやすさやリトリーブ時の疲労度の軽減につながることもあります。
しかし、繊細な操作性や高い感度を必要とする小型スピニングリールにおいては、ローターの重さによるアングラーへの不利益は、絶対に解決しなければならない課題なのです。
だからこそ、ダイワは小型スピニングリールに軽く強く、
低慣性のローターを求め続けてきました。
Chapter 3
回転体として最も合理的なカタチ、
それがエアドライブローター。
そして、たどり着いたのが、回転体として最も合理的なカタチである
球体のエアドライブローターだったのです。
球体のエアドライブローターは、なぜ合理的なのでしょうか?
球体のエアドライブローターが合理的である理由①
~球体は回転体として理想的~
球体は軸(中心線)に対して対称で、完全なバランスを保っているため、回転体として理想的です。
球体のエアドライブローターが合理的である理由②
~球体は強い~
なおかつ、球体は地球上で最も外からの力に強い形状とされています。
1カ所にかかった力が周囲に分散するためで、ドーム形状の建物が強いとされるのも、そのためです。
ボックス形状
ドーム形状
球体であるエアドライブローターは、力のかかり具合が広範囲に分散することで、これまで以上の強さを実現しています。
球体のエアドライブローターが合理的である理由③
~強いから軽くできる~
ローターには一定の強さが必要です。
ただ、想定する釣種に応じた十分な強さが実現できれば、それ以上を求める必要はありません。
これまで以上の強さを実現したエアドライブローターは、必要十分な強さを保持したまま、有り余った強さをローターの軽さへと転じることに成功しました。
結果として、従来ローターよりも約16%もの軽量化を実現しました(*1)。
【ローターユニット重量比較】
*1 軽量化の比較値はサイズにより異なります。球体のエアドライブローターが合理的である理由④
~球体は慣性を小さくできる~
球体を目指したことで、結果的にコンパクトな形状となり、さらに低慣性化することができます。
エアドライブローターは、これまでの四角いローターに比べて、軽さと相まって、約16%の低慣性化を実現しました(*2)。
【ローターユニット慣性比較】
*2 慣性力の算出値はサイズによって異なり、2500番で最大化。このようにエアドライブローターは、小型スピニングリールのローターに求められる、極限までの低慣性を、最も合理的な球体によって可能としたのです。
球体ローターの実現には外側からの設計という
逆転の発想が不可欠でした。
これまでのローターは内側から設計して、外側で強度とバランスを取ってきたため、後から設計したパーツは、どうしてもローターの外側に四角く出っ張っていました。
対してエアドライブローターでは、外側の球体から設計をはじめ、内側を肉抜きしながら強度とバランスを取るという逆転の発想によって、思い通りの球体バランスを設計できるようになったのです。
エアドライブローターは合理的な球体で、
これまでにない低慣性を実現しました。
球体は、操作性がいい。
球体は、感度が高い。
エアドライブローターは合理的な球体形状によって、スッと巻いてピタッと止めることのできる高いルアー操作性と、魚の小さなアタリや、わずかな水流の変化など、水中からのたくさんの情報量を感じることのできる高感度を実現しました。
球体がより魚を釣ることのできるスピニングリールを作り上げたのです。