HOMESTYLE

STYLE
釣りのスタイル
釣り場と相手の
習性に応じた
多様なアプローチで楽しむ
クロダイ(チヌ)は人間の生活圏のすぐ近くに生息しているターゲット。釣れるフィールドは多彩で、狙う場所や地域により様々なタックルや釣り方で楽しまれています。ここでは基本的な釣り方のほか、タックルの進化によって構築された新たなスタイルや、代表的なフィールドでの釣り方についてご紹介しましょう。
STYLE 1
基本 METHOD
円錐ウキ
円錐ウキ
釣り場を問わない
汎用的なアプローチ
円錐ウキとは流通しているウキのなかでも種類が多く、現在のウキフカセ釣りにおいては最もポピュラーなウキといってもよいでしょう。
キャスト時のコントロール性や足場が高い所からの見やすさ、道糸への絡みにくさといった特長のほか、全遊動釣法や沈め探り釣りなど応用が利くのもこのウキならではです。道糸の張り加減で仕掛けの角度を調整できるので、たとえば潮目など潜り潮が生じているポイントで、潮の壁に沿って仕掛けを深く入れ込むといった立体的な攻めも可能。このような特性から、潮が複雑に流れる磯で力を発揮します。
上手に使いこなすには、適切な道糸管理が大事です。円錐ウキは風に弱く、横風を受けると道糸が風下へ大きく膨らんでポイントから仕掛けが外れてしまいます。これを防ぐためにも、適宜道糸を打ち返す「ラインメンディング」と呼ばれる作業に気を使わねばなりません。
基本的に、円錐ウキは道糸を張り気味にし、ハリスを伸ばした状態で流すのがセオリー。ただ、過度に張り過ぎるとハリスが浮き上がって付けエサが漂う層が浅くなってしまうし、逆に緩めすぎるとハリスが立ったり弛んだりして食いが悪くなってしまいます。海中での仕掛けの角度をイメージしながら、適切に道糸を操作することが大切です。
棒ウキ
棒ウキ
繊細なアタリも捉える
高感度が魅力!
細長い棒のような形状により、微妙なアタリも表現する「高い感度」が特長の棒ウキ。アタリの見やすさ以外にも、道糸と接触する面積が小さく、糸落ちが非常にスムーズ。特に深ダナ狙いではその力が最も発揮されます。またボディの大半が海中に入るので風に強く、足場の低い場所や逆光時に見やすいというメリットもあります。棒ウキの中空トップには適度な浮力があり、練りエサのような重いエサとの相性もバッチリ。エサが取られると沈み気味だったトップが浮いてくるので、効率のよい攻めが可能です。
棒ウキの釣りは適度な糸フケを作りながら流すのが基本。棒ウキは道糸を張るとシモって倒れてしまい、せっかくの感度が活かせません。かといって糸フケを出し過ぎるとポイントから外れてしまうので、必要に応じて道糸を風上に打ち返し、潮流に乗ったウキを引っ張らないよう道糸を送り出すのがコツです。
なお、棒ウキには本体にオモリが仕込まれて遠投が可能な「自立タイプ」のほかに、オモリが仕込まれていない「非自立タイプ」があります。自重が小さい非自立タイプは水中ウキを併用するなどして投入性を補う必要があるものの、水中ウキに海中の流れをつかませることで表層流や風の影響を軽減するといった使い方も可能です。
STYLE 2
進化系 METHOD
遠投釣法
遠投釣法
前人未投のポイントを
ダイレクトに攻略!
遠投釣法は沖のポイントでダイレクトにコマセと仕掛けを同調させる高度な釣りです。瀬戸内海や五島列島福江島の玉之浦湾など、足下が浅く、ダラダラと落ち込んだ先の深みを狙う地域では特に盛んな釣り方です。沖のポイントはエサ取りが少ないことも多く、エサ取り対策としても効果的な釣法といえるでしょう。
遠投で攻める場合、タックルと同様にコマセ使いも重要です。重めのウキを用いれば仕掛けは遠投できますが、投げるたびに空中でバラケてしまうコマセでは釣りが成立しません。
遠投の利くコマセを作るには配合エサのセレクトと水加減がキモ。まとまりを重視した配合エサをブレンドし、ややパサついたタッチに仕上げるとバラケにくいコマセになります。
このほかにも、オキアミを細かく刻んだり、しっかり練り込んで空気を抜くなどすれば、さらにまとまりがよくなって遠投性能が高まります。いろいろ試してみるとよいでしょう。
タックルについては自重のあるウキを使うほか、道糸を細くするのも効果的。スプールエッジやガイドへの抵抗が減少するので遠投面で有利です。近年脚光を浴びているPEラインを使用するのもよい方法です。
実釣面で何よりも心がけたいのは、コマセと仕掛けをきちんと同調させることです。遠投するほど風に晒される道糸が長くなり、コマセと仕掛けの同調が難しくなります。ラインメンディングをこまめに行い、極力風の影響を受けないよう意識しましょう。
PE釣法
PE釣法
高い感度と遠投性が魅力の
先鋭釣法
ウキフカセ釣りの道糸といえば近年までナイロンが主流でしたが、PEラインの人気が徐々に高まりつつあります。コシのない糸質ゆえガイド絡みが多いこと、そして比重が小さく海面に浮いてしまうため風に弱いことから普及に時間が掛かりましたが、かつてのウィークポイントを克服したウキフカセ用PEラインの登場により、愛用者が増えました。
PEラインはナイロンに比べて直線強力が非常に高いため、一般的な釣り場であれば0.6号を中心に使用する場合が多いようです。また、伸びが小さいため非常に高感度。水切れもよく、波や潮流の影響も軽減されます。遠投の釣りでも楽に道糸を管理することが可能で、潮の速い場所で100m以上仕掛けを流しても手元へ明確にアタリが伝わります。
ただ、PEラインは結節強力が低く、結ぶと著しく強度が落ちるので、ショックリーダーとしてナイロン、もしくはフロロカーボンを2~3mつないだうえでハリスやサルカンに結ぶ、というのが、現在における一般的なPEラインの使い方です。リーダーとの接続は、ルアーで多用されるFGノットがおすすめです。
FGノットの結び方解説動画はこちら
PEラインを使う際に気を付けたいのは「アワセ切れ」です。伸びの小さいPEラインは、強いアワセを入れると、そのショックで切れてしまうケースが稀にあります。
これを防ぐため、ダイワではQD(クイックドラグ搭載の専用リール)を駆使した新たなファイトスタイルを提案させていただきました。
アワセ切れにお悩みの方は、ぜひとも試していただきたいスタイルです。
STYLE 3
フィールド別 METHOD
磯釣り
磯釣り
豊かな環境が揃った
魅惑のフィールド!
ダイナミックなロケーションの磯は、ウキフカセ釣りの醍醐味を存分に味わえるフィールド。沈み根あり、海溝ありと地形の変化に富み、周囲を海に囲まれた沖磯へ渡れば潮通しも申し分ありません。
ポイントは沈み根や海藻帯といった地形の変化と、潮目などの流れが集まる場所。磯に立ったら周囲をよく観察して、よい条件がなるべく多く揃った場所を攻めるとよいでしょう。
荒れ気味で磯の先端へ出られないようなときは、奥まったワンドの中も狙い目です。エサを求めて浅場へ入ってくる個体は活性が高いことが多いので、パターンが見つかれば入れ食いになることもあります。
水深が浅く、個体数が少ないエリアでは魚が底近くでエサを食う傾向があります。このような地域では水深いっぱいにウキ下を取り、底近くを集中的に狙う釣り方が有効です。
一方、瀬戸内のように魚影が濃く、ダラダラと落ち込んだ先で20m前後もの水深があるエリアでは、コマセを撒くとかなりの浅ダナまで魚が浮く傾向があります。このようなケースではウキの浮力が0〜G2程度の軽い仕掛けを使い、表層からコマセと同調させながらゆっくり落としていく攻め方も有効です。状況によって全遊動や沈め探り釣りも絡めていくと、中層でエサを拾う個体のアタリをキャッチすることができます。逆に底に落ちたエサをついばんでいると感じたときは、思い切ってハリスを底に這わせてみるのもよいでしょう。
堤防釣り
堤防釣り
誰もが気軽に楽しめる
定番ポイント
最も身近な釣り場といえば堤防。入釣しやすいことに加えて足場もよく、気軽に楽しめるフィールドです。ただし、立地環境や条件によって沖磯にも劣らない釣果を得られる場所もあり、決して侮れません。
地方の堤防周りは、沖磯に比べると潮の動きに乏しい場所が大半です。したがってポイントは沈み根や海藻帯の周り、船道などのミゾ、カケアガリ、足下のケーソン際、消波ブロック周りといった、魚が身を隠せる場所、あるいは回遊ルートとなる海底に変化のある場所に設定するのが最も手堅いといえるでしょう。もちろん、潮が動いているならばコマセが溜まりやすい潮目周辺は最高のポイントになります。外海が荒れているときは奥まった場所も狙い目となります。
仕掛けは円錐ウキ、棒ウキのどちらでもOKです。潮が止まっていたり食いが渋いときには、感度に優れていて、わずかなアタリも拾える棒ウキがおすすめです。
ある程度の波っ気があり、潮が適度に濁っているようなときがベストな条件。好条件が揃えば、ビックリするような浅場でも大胆に食ってきます。ただし、釣り座が波をかぶるようなときは釣りをしないなど、安全面にはご注意ください。逆に、ベタナギで海底が丸見えになるほど潮が澄んでいるときは、水深のある場所へ移動するとよいでしょう。
なお、堤防によっては釣り禁止や立入禁止の措置がとられている場合があります。そう言った場所には決して立ち入らず、ルールやマナーを守って釣りをしましょう。
渚釣り
渚釣り
無限の可能性を秘めた
新定番ポイント!
砂浜から竿を出すウキフカセ釣りを「渚釣り」と呼びます。近年、クロダイ(チヌ)はエサを求めてかなり広い範囲を回遊する魚であることが認知されて愛好者も増えていますが、全国にこの釣りが広まったのはごく最近のことです。それまでは山形県の庄内地方など、地域限定の伝統釣法でした。
広々としたサーフは混雑とは無縁。まだ未開のポイントも多く、最も多くの可能性が残されたフィールドといえるかもしれません。完全な砂地底で入れ食いになることもあり、コマセに寄った個体が波立ちの中に見える光景は渚釣りならではと言えます。
フラットな砂地底でも食ってきますが、海底に変化があるほうがより有望なポイントになります。反転流で掘れた所や、カケアガリは特に狙い目。また、沈み根や海藻帯は群れが止まる要素になります。砂浜特有の横方向へ流れる潮があれば、これに仕掛けを乗せて広範囲を攻めるのもよいでしょう。
タックルについては堤防や磯で使うものと同じでOK。ただし、海況によっては波足が長いケースもあるので、タックル、コマセともに遠投が利くものが適しています。
渚釣りでは、波が高いときに竿を立てて仕掛けを操作することがあります。そのため道糸は細く、水切れのよいものを選びたいところ。PEラインを使用するのもよいでしょう。
活性が高いときは、波口でも活発にアタリが出ます。ウキが波に揉まれて落ち着かないときは、思い切って重めのオモリを打ち、ハリスを底に這わせてみるのもよい方法です。